過疎地域において郵便局の果たす福祉的役割

 

〜ひまわりサービスを事例に〜

 

 

 

 

富山大学人文学部人文学科社会学コース

10210046

丸山昌洋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目次

 

1章 問題関心・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第2章 郵政民営化とそれに伴う議論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

 郵政民営化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2節 郵政民営化の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第3章 郵便局が行う福祉サービス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第1節 過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大・・・・・・・・・7

第1項 ひまわりサービスの誕生と郵政省による取り組み・・・・・・・・・・・7

第2項 ひまわりサービス詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

第2節 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律・・・・・11

第4章 調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

第1節 調査対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

第1項 富山県南砺市平地区 平郵便局・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

第2項 長野県東筑摩郡生坂村 生坂郵便局・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第2節 インタビューを基にした調査結果のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・16

第1項 富山県南砺市平地区 平郵便局・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

第2項 長野県東筑摩郡生坂村 生坂郵便局・・・・・・・・・・・・・・・・・19

第5章 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第1節 調査結果からみるひまわりサービスの問題点・・・・・・・・・・・・・・22

第2節 郵便局に求められる福祉的役割とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章  問題関心

 

2003年4月1日、日本郵政公社が発足した。20051021日に公布された郵政民営化関連法律に基づき、200710月1日に日本郵政公社を民営・分社化、移行期を経て2017年の最終的な民営化実現を目指す。

国営から民営に移行することで、民間企業的な経営手法の導入による効率的な経営、企業間競争によるサービスの向上が望まれている。更には約340兆円の郵貯・簡保の資金が民間向け資金として有効活用されることで経済が活性化し、今まで免除されていた法人税や法人事業税、固定資産税の免除がなくなり、約26万人の常勤職員が民間人になることで国や地方の財政再建が期待される。

その反面、営利追求が加速し、全国に展開された約24,600局の郵便ネットワークが整理・統廃合され、過疎地域にある郵便局の撤退や採算の合わないサービスの切り捨てなど、社会に浸透した組織だけに民営化に対する不安も多い。特に過疎地域において無料で行われている、高齢者を対象とした福祉サービス「ひまわりサービス」は、人員的・時間的コストの面からも廃止・縮小が検討されることは避けられないとの見方が強い。事実、多くの地域で郵便局の業務縮小が図られており、不安は現実となりつつある。

郵便局の行っている福祉サービスにはどのようなものがあり、どのように行われ、どのような役割を果たしているのか。実際に福祉サービスを行っている郵便局長へのインタビューを通じてその実態と有意性を明らかにし、郵政民営化に伴う議論の一端の考察を試みる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2章 郵政民営化とそれに伴う議論

 

郵便局の行う福祉サービスが注目されるようになったのは、国会において郵政民営化論議が激しくなったことに端を発する。その後議論が広まり、民営化によって維持できなくなる現行サービスの一例として郵政民営化反対論者の一部が指摘したことによる。

ここでは郵便局の行う福祉サービスが取り沙汰されるきっかけとなった、郵政民営化とそれに対する賛否等について簡単に触れておく。

 

 

第2章第1節 郵政民営化

 

郵政民営化の主たる目的は財政投融資の廃止を断行すること、つまり現在おもに公共事業に融資されている郵貯資金を民間企業に融資できるようにするため、また民営化を行うことで経営の効率化・合理化を目指すためである。国家公務員が行っている郵便局の仕事を民間の仕事に替え、国が郵便貯金・簡易保険で集めた、日本の大手4銀行と4大生命保険会社を合わせたものと同レベルの規模で、日本の個人金融資産の4分の1にもなる巨額の資金を縮小し、資金の流れを官業部門から民間に移すことを目的としたもので、第878889代内閣総理大臣小泉純一郎により推進された。

郵便、郵便貯金、簡易保険の郵政三事業を民営化することで、以下が利点として期待されている(以下、自由民主党・自民党政務調査会・公明党・民主党・首相官邸・ウィキペディア「郵政民営化」・橋本裕「文学人生world」・「政治経済の庵」各HPより参照)。

 

1、民間にできることは民間に委ね「小さくて効率的な政府」を実現することにより、経済の活性化を図る。

 

「大きな政府」は政府がさまざまな形で国民生活の面倒をみるため国民にとっては心地良いかもしれないが、「官」の関与が多ければ多いほど国家の運営はコスト高になり国民の税負担も多くなる。団塊世代の引退に伴い日本は本格的に少子高齢化社会を迎え、少ない働き手が多くの高齢者を支える構図となる。現在税収約40兆円に対し、国債発行などで約80兆円の国家予算を組んでいる。これまでの債務に加え、運営コストのかかる大きな政府路線を続けていては日本が持ちこたえることができないとされている。

小泉改革が「小さな政府」をめざすのにはこのような背景がある。国民の税金で行われている公的部門をスリム化する「小さな政府」論は単なる支出削減の効果だけではなく、官の関与をできるだけ少なくして民間の創意工夫を引き出し、それによる税収増も財政再建に大きく寄与する。

「小さな政府」は巨額の財政赤字を抱える財政を再建する道として期待できる。

 2、国の郵政事業への関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより、質の高い多様なサービスを国民に提供できるようになる。

 

郵政公社の4機能(窓口サービス・郵便・郵便貯金・簡易保険)が有する潜在力が十分に発揮され、同業民間企業とのサービス・価格競争などが期待でき、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を向上させる。

 

3、約350兆円の郵便貯金と簡易保険の資金が民間向け資金として有効活用され、経済の活性化につながる。

 

郵便貯金や簡易保険の資金は、国の財政投融資制度を通じて特殊法人の事業資金として活用されてきた。しかし、かつては重要な役割を果たしていた事業であっても次第に使われ方が硬直化し、国鉄や道路公団などに見られたように大きな無駄を生じさせ、結局国民の税金で補填しなければならない例もある。郵政民営化が実現すれば、350兆円もの膨大な資金が官でなく民間に流れ、有効に活用されるようになる。

 

4、約26万人の郵政公社の常勤職員が民間人になるとともに、これまでは免除されていた法人税・法人事業税・固定資産税等の税金を支払うことになり、財政再建にも貢献する。

 

郵便貯金は銀行が、簡易保険は保険会社が同じようなサービスを提供している。また宅配便や信書便ができ、郵便同様もしくは郵便にないサービスも既に民間企業が提供している。このように郵政三事業(郵便貯金、簡易保険、郵便)は公務員でなくても行うことができる事業である。「民間にできることは民間に」任せることで前述の「小さな政府」を目指す。

また警察官約25万人、自衛隊員約24万人、外務省関係職員は世界各国の大使館員も含めて約6千人であるのに対し、郵政公社の常勤職員は約26万人、主婦や学生アルバイトなどの非常勤務者を合わせると、国家公務員法の適用下にある郵政職員は約38万人にものぼる。郵政民営化が実現すれば全国家公務員の約3割が民間人となる。

さらに、郵政公社はこれまで法人税も法人事業税も固定資産税も支払っていないが、民営化され税金を払うようになれば国や地方の財政に貢献するようになる。また政府が保有する株式が売却されれば、これも国庫を潤し財政再建にも貢献する。

 

このように「小さな政府」「民間の活力を生かした経済」を実現する、小泉改革の本丸として郵政民営化は推し進められた。

第2章第2節 郵政民営化の問題点

 

郵政民営化がここまで大きな議論となったのは与野党含め、多くの議員・知識人からの強い反発があったからである。ここでは郵政民営化反対側が問題とする意見の中から一部をピックアップし簡単にまとめる(以下、自由民主党・自民党政務調査会・公明党・民主党・首相官邸・ウィキペディア「郵政民営化」・橋本裕「文学人生world」・「政治経済の庵」各HPより参照)。

 

 1、特に過疎地・僻地等での利便性の低下し、全国一律のサービスが困難となる。

 

郵便局は全国のすべての市町村に最低1ヶ所はあり、全国で約24700局ある。国内最大の民間銀行であるみずほ銀行ですら、出張所を含んでも全国に1000店舗に到底満たない。また郵便局以外の金融機関がない市町村も多い。

採算性を重視し利潤を追求することが民間企業の経営の責務であり、赤字経営は問題外である。しかし郵便局の75%が赤字経営と言われており、その多くは過疎地域にある郵便局である。これらの郵便局は統廃合され、結果的に国民の利便性が低下すると考えられている。また採算を地域によって料金体系やサービス内容に差が出るなどの懸念もある。郵便・郵便貯金・簡易保険のような公共性の高い事業であるユニバーサルサービスは、義務教育と同様、地域社会に対して保全する義務が国家の役割として当然ある。

 

2、民営化によって財政的メリットはない。

 

郵政事業に携わっている公務員26万人の給与(年間約2.4兆円)は、郵便・郵便貯金・簡易保険の3事業で得た利益ですべてを賄っており、他の公務員と違って国民の税金を1円たりとも使っていない。よって公務員が民間人となることで税金支出が減るわけではない。

また民営化すれば現在は納めていない法人税や固定資産税などを払うことになり、国への納付が多くなるとされているが、郵政公社は利益の50%を国庫納付金として国に納めることになっており、これは国と地方分を合わせた法人税率(約40%)より高い。政府の試算をもとに2007年度から2016年度の10年間の納税(納付)額を比較すると、民営化後のほうが約四千億円も少なくなる。

民営化によって約26万人を非公務員にしてもそれは公務員の数を減らすだけであり、また納税額は民営化により少なくなるため、国庫には何のメリットもない。

 

 

 

3、民営化した海外の事例では失敗が多い。

 

ドイツでは1989年に民営化を決定。1990年に郵政事業はドイツポスト(郵便)、ドイツテレコム(電話通信)、ポストバンク(預貯金)に分割された。その結果、1990年当時29000局あった郵便局は2003年末には13000局にまで激減。そのうち直営の郵便局はわずか5000局と郵便局の激減が社会問題化。多くの地方で郵便局が廃止され、住民は遠くまで出かけなければならず、配達回数も半減した。政府は郵便局を12,000局以下にしてはならないとの政令を作らざるを得なくなった。

ニュージーランドは1987年に郵政事業は民営化で三分割、うち郵貯はオーストラリアの銀行に売却された。ニュージーランドでは規制緩和で銀行が外国資本の傘下に入り、サービスに手数料をとるほか支店の閉鎖が相次いた。

民営化したドイツ、イギリス、ニュージーランド等の国では民営化に際し郵便料金は上がっているし、結果としては大失敗に終わっている。

アメリカで2003年に財界人・学者・福祉活動家らがメンバーとなり大統領の諮問に答えて提出した報告書「米国郵便庁(USPS)に関する大統領委員会」によると、「郵便ネットワークの改革」について「ユニバーサルサービスの維持に必要な郵便局は、たとえ大幅な赤字であっても閉鎖すべきでない」と明確に「郵便局によるユニバーサルサービスの維持」を位置づけた。

 

 

ここで列挙したものは反対側の意見のほんの一部を簡潔にしたものであるが、多くの反対の中、郵政民営化法案は与党・自民党の了承なしの閣議決定(2004年)、直前に採決方法を慣例の全員一致から多数決に変更した、最高意思決定機関である自民党総務会での決定、「郵政民営化に関する特別委員会」の採決では反対派委員の賛成派議員を差し替える、などの経過を経て、衆議院本会議で可決(賛成233.反対228.欠席棄権14・病欠2)されたが参議院本会議では否決(賛成108.反対125.欠席棄権8)されたため、小泉純一郎内閣総理大臣(当時)は衆議院を即日解散した。

その後2005年9月11日に投開票が行われ、与党が327議席(自民党が296議席・公明党が31議席)と圧倒的勝利を収め、第163回特別国会で同内容の法案が再提出され、20051014日に可決、成立した。

 

2006年6月28日、法案成立を受けた日本郵政公社は200710月の民営化移行を視野に入れ、2007年3までに1,048の集配局を無集配局に再編し合理化を図る「集配拠点等の外務営業拠点の再編計画」を発表した。

この中で無集配局とされる1,048局の大半は離島や山間地域、過疎地の郵便局であり、郵便物の集配や金融サービスなど地域住民の日常生活に必要不可欠な生活基盤となるサービスを提供している局も多い。

 

「採算性のみを重視したこの合理化計画が実施されると、郵便物の配達にとどまらず、貯金や保険、「ひまわりサービス」など現在の郵便局サービスが低下することとなり、住民の不安が高まっている。また、郵便局機能の縮小は、郵便局員や家族の減少にもつながり、地域経済に与える打撃は極めて大きく、地域の過疎化は勿論、地域破壊に繋がることも懸念される。

 このような地域の実情と住民の声を無視した無計画で唐突な統廃合計画は、非現実的、非合理的であり、真の行政改革にも逆行するものである。また、「民営化すればサービスは良くなる」「サービスは低下させない」などの国会答弁にも反するものであり、到底認めることはできない(沖縄県国頭郡大宜味村議会「集配局の廃止再編計画に反対する意見書」2006年9月25 )。」

 

上記のような郵政民営化に反対する意見書は多くの地方自治体から提出され、そのほとんどに「郵便局のサービス低下」が挙げられている。

次章では郵便局の行っているこれらのサービスのうち、「ひまわりサービス」を主とする福祉的なサービスについて検証する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3章 郵便局が行う福祉サービス

 

本来は郵便物の集配を行う郵便局が福祉的活動を行うようになったのは、1997年に郵政審議会が報告した『郵便局ビジョン2010』に依る。

これは全国各地に展開する郵便局の持つ利便性と地域に根付いた特性、また少子・高齢化、情報通信の高度化、国際化等、日本の社会経済環境の変化を踏まえた上で、「21世紀社会を展望しつつ、国民本位の視点に立ち、全国の国民が豊かで安心できる生活を享受できる社会づくりに貢献するため、郵便局ネットワーク及びそのサービスの在り方並びにその実現のために講ずべき方策」について報告しているもので、この中で「郵便局は、自助支援サービスの改革や郵便局の情報・人的ネットワークの開放・活用により、地域社会の「安心の拠点」としての役割を果たしていくことが期待される(郵便局ビジョン2010第4章 郵便局ビジョンU:安心の拠点2)」とし、福祉サービスに関しては、特に高齢化が深刻な過疎地等において、地方自治体等と連携して人と人の触れ合いやきめ細かな福祉サービスの提供を通して、超少子・高齢化の進展の中で人々が共に助け合い高齢者等の社会的弱者を支援していく、共生と社会的公正の実現が地域社会にとって極めて重要な課題としている。

 

この「郵便局ビジョン2010」を受け、郵政省(当時)は1997年8月に開始した「過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大(呼称:ひまわりサービス)」を2000年4月1日に施行された「過疎地域自立促進特別措置法()」に基づき全国的に推奨した。

また200112月1日に「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」が施行され、更に福祉サービスの幅を広めた。

 

 

第3章第1節 過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大

 

「過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大(以下呼称:ひまわりサービス)」は、郵政省(当時)が過疎地域において高齢者が安心して暮らせる地域社会づくりに資するため、『郵便局ビジョン2010』の「(2)郵便局による福祉関連施策への協力 ア 自治体等と連携した福祉支援」施策として提言されている(総務省郵政事業庁報道発表資料)。

 

 

第3章第1節第1項 ひまわりサービスの誕生と郵政省による取り組み

 

ひまわりサービスは1995年鳥取県智頭(ちづ)郵便局が町と連携して始めた「ひまわりシステム(独居老人宅訪問事業)」が基となっている。

郵便局が町役場、病院、農協等の協力を得て高齢者世帯を対象とするこの福祉サービスは、公務員法に抵触するなどの反対の中、縦割り行政を横断する新しい試みとして1995年4月に誕生した。最初は智頭町のうち、富沢地区に一人で暮らす高齢者12人を対象にスタートしたが、1996年4月以降はホームヘルパーとの相談の上、対象を町全体に広げて実施した。

智頭町の取り組み内容は、高齢者への声掛け・安否確認、生活用品等の受注・配達等、現行のひまわりサービス内容とさほど代わりは無い。薬事法・医師法に触れるとして現在は行われていないが、病院からの薬の配達も行われていた。

「ひまわり」にはいくつかの意味が込められている。外務職員が仕事ついでに毎日のように回る「日回り」、また植物の「ヒマワリ」は成長段階で太陽に沿って動いたり、花そのものが太陽になぞられたりするなど、明るさと温かさを表す。

外務職員のヒマワリのような温かい笑顔で、孤独になりがちな一人暮らしの高齢者の目に見えない暗い部分を照らしてあげようというこのシステムの本質は、件数よりも声掛けによって生まれる「心のケア」に目を向けていることにある。実際、生活用品等の受注・配達や薬の配達(現在は廃止)の依頼件数はさほど多くなく、今では安否確認が重要なウエイトを占めており、一人暮らしの高齢者からは「見守ってもらえて安心」「声を掛けてもらえるだけで嬉しい」と喜ばれている。一方、外務職員からも、サービス開始当初よりも「お年寄りの顔が明るくなった」との声も聞かれるようになっている。

 

郵政省(当時)はこの「ひまわりシステム」をモデル事業とした「ひまわりサービス」を全国の郵便局に紹介し、1997年8月から本格的にサービスを開始した。開始当時の実施自治体・局数は12市町村14局のみであったが、2000年3月には191市町村、2002年3月には200市町村300局を超えた。実施市町村は近年、減少に転じている(表1)が、これは「平成の大合併」で市町村数が減少したことによるものであると考えてよいだろう(鳥取県智頭町HP・日本海新聞・第154回国会参議院総務委員会議事録第22号)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表1:略年表

1992

 

「はてな運動」(長野県生坂郵便局他)

1995

4月

「ひまわりシステム」開始(鳥取県智頭町)

1997

610

『郵便局ビジョン2010』

 

8月

「ひまわりサービス」開始(郵政省:当時)

 

 

12市町村14郵便局

2000

3月末

191市町村

 

41

「過疎地域自立促進特別措置法」

2001

121

「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」

2002

3月末

221市町村302郵便局

2003

3月末

216市町村

 

41

日本郵政公社発足

2004

3月末

210市町村

2005

10

郵政民営化法成立・公布

2006

1

日本郵政株式会社発足

 

3月末

155市町村

 

628

「集配拠点等の外務営業拠点の再編計画」

2007

101

郵政事業民営化

2017

10月1日まで

最終的な民営化

 

 

第3章第1節第2項 ひまわりサービスの詳細

 

「ひまわりサービス」は前述のように過疎地域自立促進特別措置法に基づき推奨されたものであるため、実施対象地域は過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項 ()で指定された過疎地域(高・高齢化率地域)で、「原則」として70歳以上の一人暮らしの高齢者・高齢者夫婦世帯が対象となる。近所に店が無く不便で、移動販売車等のサービスが常時得られるような環境下でないことが条件として必要となる。通常の集配業務を活用したサービスであるため、本業に支障が出ないよう対象世帯数は50世帯以内を目安としている。

ただし「ひまわりサービス」は郵便局が単独で行うサービスではなく、自治体・社会福祉協議会、農協や警察署等の関連機関と連携して行うものであり、人口や高齢化率、交通利便性や郵便局側の諸事情等、その地域の実情を踏まえて実施される。よって前述の対象世帯やその条件、関連機関等はすべての自治体、郵便局において画一ではない。後述する実施サービス内容等も統一的な制度上のものである。そのため対象年齢が65歳以上の市町村があれば80歳以上に限定する市町村もあり、対象世帯数が50世帯を超える市町村もある。

 

自治体等と協議が整ったところから「ひまわりサービス」は実施されるが、導入に際しては準備期間として通常約二ヶ月を要する(表2)。

 

表2:ひまわりサービス導入までの経緯

二ヶ月前

サービス開始日の検討、生活サポート協議会の設立・役員決定・規約作成、協力店募集、対象世帯選定(社会福祉協議会等)

一ヶ月前

対象世帯選定(郵便局)、励ましメッセージ差出先への依頼

十日前

地元・対象世帯への説明

一週間前

業務推進の打ち合わせ、表示器具の設置

 

 

生活サポート協議会は、郵便局のほかに自治体・社会福祉協議会、農協・察署・商工会・民生委員協議会等の関連機関で構成される「ひまわりサービス」の運営母体となる組織で、多くは社会福祉協議会の中に事務局を設置している。郵便局と生活サポート協議会との共同施策は、小学生等からの定期的な励ましのメッセージのお届けや生活用品等の受注・配達、その他に基本的に郵便局が単独で行うものとして、励ましの声掛け(安否確認)や郵便物の集荷サービスがある。

 

1、励ましの声掛け(安否確認)

現在全国的にひまわりサービスの中心となっているのが励ましの声掛け(安否確認)である。外務職員は集配の際に対象者に対し声掛けを行う。これは対象者の安否を毎回確認する意味もある。対象世帯には配布された専用の意思表示器具が外務職員から見えやすい箇所に設置してあり、対象者はそれを掲示することで訪問意思を示すことができる。その場合は配達物がない時でも外務職員は必ず立ち寄らなければならない。

 

2、郵便物の集荷サービス

差し出したい郵便物がある時に外務職員が集荷に訪れるもので、意思表示器具を掲示し外務職員に直接伝えても良いが、ひまわりサービスは本業に支障をきたすことがないようにするため、郵便物がない場合は外務職員が訪れないので郵便局や生活サポート協議会に直接電話しても良い。

ただし郵便物の集荷サービスはひまわりサービスだけではなく通常業務としても行われている。

 

 

3、生活用品等の受注・配達

簡潔にしてしまえば、対象者が依頼した生活用品等を郵便局が配達するというもの。準備段階で協力店を募集しておく。協力店は原則として同市町村内で協力を承諾した店が対象となる。また実施市町村は福祉関係経費等で官製葉書を購入、生活サポート協議会宛ての「福祉葉書」として対象世帯及び郵便局に配布しておく。

生活用具が必要となった対象世帯は福祉葉書に必要事項を記入し、ポストに投函するか直に外務職員に渡す。または電話で郵便局に注文内容を連絡し、郵便局側が受付内容を福祉葉書に記入した上で郵便物として引き受け、生活サポート協議会に配達する。葉書を受け取った生活サポート協議会は注文内容を分類し、該当する協力店に通知する。協力店は注文品を小包郵便物等として差し出し、それを郵便局が配達する。なお早急に必要なものや郵送に適さないもの、協力店が配送システムを整えている場合は協力店が直接配送する場合もある。

送料は協力店か自治体が負担し、代金は配達時にその場で受け取るか、郵便局の自動払い込みや郵便振替を利用する。

 

4、小学生等からの定期的な励ましのメッセージのお届け

地域の小学校などに依頼し、小学生などに定期的に励ましの手紙や絵を対象者宛に書いてもらい郵便物として対象者へ届ける。

 

以上の4つが「ひまわりサービス」に基づいた福祉的サービスとして行われているものである(日本郵政公社HP・情報えひめ2000年6月号・同7月号)。

 

 

第3章第2節 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律

 

「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(以下略称:郵政干渉法)」は、地方公共団体が処理する事務のうち、特定の事務に関する業務や地方公共団体から委託された業務を身近な公的機関である郵便局で取り扱うことにより、住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織・運営の合理化を目的として2001121日に施行された。概要例は以下の通りである(本論文に関係するものは5、6)。

1、住民票の写し等の即時交付

郵便局は利用者からの請求書を受け付け、請求書をFAX等により地方公共団体に送信する。地方公共団体はその請求書を審査した上で証明書を作成し、電子公印のデータとともにFAX等で郵便局に送信する。郵便局は受信した証明書(公印が押印されたもの)を利用者に渡す時に手数料を受領する。これにより、戸籍の謄本・抄本等、納税証明書、外国人登録原票の写し・外国人登録原票記載事項証明書、住民票の写し・住民票記載事項証明書、戸籍の附票の写し、印鑑登録証明書等の交付請求の受付や証明書の交付を行う(2006年3月末現在、121市町村453局実施)。

 

2、公営バス回数券等の販売事務

公営バスの回数券・ごみ処理券・屎尿処理券・商品券・ゴミ袋等を地方自治体から預かり、郵便局窓口で販売する(2006年3月末現在、117市町村1111局実施)。

 

3、利用券等の交付事務

バス利用券・タクシー利用券・電車利用券等を地方自治体から預かり、郵便局窓口ではがきを持った交付対象者に交付する(2006年3月末現在、10市町村1780局実施)。

 

4、公的施設等の利用申込み取り次ぎ事務

公営施設・学習講座の利用申込みの受付を郵便局窓口で行う。

 

5、高齢者等当への生活状況確認

地方公共団体の選定した高齢者等の対象者宅へ定期的に訪問し、生活状況の聞き取りを行った上で記録票を作成、地方自治体に報告する(2006年3月末現在、18市町村29局実施)。

 

6、生活用品の注文・図書の貸し出し等の受付・配送

地方公共団体の選定した高齢者等の対象者宅へ定期的に訪問し、要望があれば日用品や図書名・著者名の聞き取りを行った上で記録票を作成し、地方公共団体へ提出する。地方公共団体は当該図書館等に依頼し、ゆうパック等で配送する(2006年3月末現在、1市町村1局実施)。

 

7、廃棄物の不法投棄の見回り

集配の際などに地方公共団体が指定した場所に廃棄物の不法投棄がないか定期的に見回り、発見した場合は地方公共団体に報告書を提出する(2006年3月末現在、7市町村20局実施)。

 

これらの内容は地域の実情を踏まえて郵便局と自治体が協議し決定するため、自治体によって内容は異なる。

更にこれらは郵便局と自治体の両者間の契約という形で行われるが、契約には有料契約と無料契約があり、例えば「7、廃棄物の不法投棄の見回り」の場合、無料契約ならば集配途中に異常を発見した場合のみ自治体に報告する程度で良いが、有料契約ならば集配物の有無に関わらず指定された地域を必ず見回り、異常の有無に関わらず報告しなければならない、などの義務的要素が含まれる。財政状況もあり無料契約には前向きだが有料契約は避ける自治体が多い(日本郵政公社HP参照)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4章 調査

 

本章では、第3章で扱ったサービスが郵便局では実際どのように行われているのか、その地域の郵便局や対象高齢者にどのような影響を及ぼしているのか、実情を調査する。

第3章では異なる制度に基づく2つの福祉サービスを取り上げたが、第3章第2節「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」に基づく施策は、完全に福祉的サービスに限定した施策ではなく、その中でも福祉的サービス(第3章第2節5・6)はひまわりサービスにも同様のサービスが組み込まれているおり、更に市町村合併による契約の自然消滅の恐れがあるため、第3章第1節「過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大」に基づくサービスに関して調査を行う。

 

 

第4章第1節 調査対象

 

 調査は富山県南砺市平地区平郵便局と長野県東筑摩郡生坂村生坂郵便局の2ヶ所の郵便局を対象にして行う。平郵便局の調査は200412月2日の平郵便局長のインタビューを基に、2006年9月から11月にかけて補足という形で再度話を聞き、生坂郵便局は2006年の10月から12月に生坂郵便局長に対しての二度のインタビューと電話による補足説明を数回行った。

 

 

第4章第1節第1項 富山県南砺市平地区 平郵便局

 

南砺市平地区(旧東砺波郡平村)は富山県の西南端に位置し、岐阜県に接している東西9.2km、南北16.9km、総面積94.06km2の山村である。この地域は白山山系の1,000m級の急峻な山岳によって囲まれており、平野部とは永く隔絶されている。2004111日に周辺7町村(城端町・上平村・利賀村・井波町・井口村・福野町・福光町)と合併し、6万都市「南砺市」となった(旧平村HP)。合併前の2004101日現在で人口1315人、高齢化率は約39.8%、富山県で最も高齢化率が高い市町村(旧自治体)である。翌2005年に行われた国勢調査では高齢化率が40.21%を超え、全国でも50番目前後に高齢化率が高い地域である。参考調査が同一ではないので断定は出来ないが、人口・世帯数共に減少の一途を辿っているとみてよい(表3)。

地理的・人口動態から、南砺市平地区はひまわりサービス対象地区として適切であるといえる。また自治体と連携して実施されるひまわりサービスが、市町村合併による地域環境の変化でどのような影響を受けるのか調査が可能である。

 

表3:平地区の人口・世帯数の推移(とやま統計ワールド)

 

人口(人)

世帯数(戸)

参考調査

1996

1588

516

人口統計調査

1997

1555

513

人口統計調査

1998

1533

515

人口統計調査

1999

1497

510

人口統計調査

2000

1416

464

国勢調査

2001

1392

461

人口統計調査

2002

1353

453

人口統計調査

2003

1333

453

人口統計調査

2004

1315

---

富山県人口移動調査

2005

1278

420

国勢調査

2006

1334

424

住民基本台帳

 

 

第4章第1節第2項 長野県東筑摩郡生坂村 生坂郵便局

 

生坂村は長野県のほぼ中央部、東筑摩郡の北西部に位置し、県庁所在地の長野市から約50km、松本市から25km、海抜500m強の山に囲まれた山村で、南北に12.2km、東西5.4kmで面積は38.97q2。20051227日公表の国勢調査では人口2162人、世帯数は759世帯。

高齢化率は1995年に30%を超過し長野県内120市町村(1995年当時)19番目。現在高齢化率は36.8%を超過しており、県内81市町村中15番目に高く、全国1840市町村中102番目に高い(平成18年度版住民基本台帳人口要覧)。

生坂郵便局は郵政省(当時)が1997年8月にひまわりサービスを開始した時の12市町村14郵便局の一つであり(郵政公社報道発表資料)、また政民営化に伴う議論が激化した2005年には生坂郵便局が取り組んでいるひまわりサービスの様子が全国ニュースで取り上げられるなど、ひまわりサービスと関連が深い郵便局である。

 

 

 

 

 

 

 

 

表4:生坂村の人口・世帯数の推移(生坂村役場)

 

人口

世帯数

高齢化率

1996

2591

850

31.6%

1997

2583

850

32.2%

1998

2575

863

32.9%

1999

2518

850

34.1%

2000

2489

854

34.5%

2001

2436

838

35.1%

2002

2388

828

35.5%

2003

2328

820

35.3%

2004

2263

806

36.3%

2005

2200

802

36.8%

 

 

第4章第2節 インタビューを基にした調査結果のまとめ

 

調査結果では、平・生坂両郵便局長へのインタビュー及び関連機関への聞き取り、インターネット等による情報をまとめたものであるが、基本的には平・生坂両郵便局長の話を中心に用い、その他の諸情報等を補足として用いている。

 

 

第4章第2節第1項 富山県南砺市平地区平郵便局

 

平郵便局がひまわりサービスを始めたのは1997年8月、北陸郵政局郵務部地域振興企画課(当時)からひまわりサービス導入に関する通達が届いた。平村(当時)との協議の結果、特に問題もなく実施に至った。対象者は、平社会福祉協議会が70歳以上の独居老人及び双方が70歳以上の高齢者夫婦世帯を対象に希望調査を行い選定された51世帯。ただし希望調査が行われたのはこの1997年のみで、その後はひまわりサービスの広報活動等も特にしておらず、平社会福祉協議会も希望調査も行っていないので新規に選定される対象者はいない。更に市町村合併により生活サポート協議会自体が開催・運営されていない状況で、死亡等で対象世帯数は減少しているため平郵便局では現在の詳しい対象者数は把握しておらず、概数で約35世帯だという。

 

1、励ましの声掛け(安否確認)

南砺市平地区には簡易郵便局を含めて郵便局は3局あるが、配達業務を行っているのは平郵便局だけであるため「励ましの声かけ(安否の確認)」は平郵便局の外務職員が行っている。平地区全域がひまわりサービス対象地域であるため、外務職員の4人全員が「励ましの声かけ(安否の確認)」を行っている。

郵便物を対象世帯に届ける際はもちろんだが、配達途中に高齢者と道端で出会った時や畑に出て作業をしている時などにも声をかけている。ただし本業に支障が出ない範囲でのサービス活動であるため、安否確認のためだけに対象世帯を訪れることは無く居座って話をすることもない。安否確認が前提なので配達のついでに声をかける程度であり、高齢者とゆっくり話をして励ますようなものではない。配達途中に高齢者の家を一軒一軒まわるだけの時間的余裕が無いため、配達物がない時は家を訪れることができない。そのためある世帯を訪れることが出来る頻度は3〜4日に一度程度だという。

家を訪れ対象者が見当たらない場合、その場で探し出したりすることはない。郵便物が溜まったままになっているなど職員が不審に思った場合には、平村役場(現平行政センター)に連絡を入れ、引き続き集配業務を行う。

もちろん対象者の生死に直結するような緊急事態であれば救急車を呼ぶなどの然るべき処置を施すが、平地区ではそのようなことが起きたことはまだ無い。

しかしながら、過疎地域のような山村の農村には独特の文化ともいうべき地域交流が存在する。平地区も例外ではなく、ひまわりサービス実施以前から外務職員は集配の際に村の人たちに声をかけるのは当然の行為であった。職員のほとんどが平地区の住民であるので、同じ地域に住んでいる知人に出会えば声をかけることは必然であった。励ましの声掛けは、もともと平地区にあった外務職員と地域住民の関わりが成文化され形になったものである、と平郵便局長は話していた。

 

2、郵便物の集荷サービス

集荷してほしい郵便物がある場合、制度上では電話で直に郵便局に連絡したり、意思表示器具を掲示したりすることによって外務職員に伝えるが、世間で「オレオレ詐欺」と称される高齢者を狙った詐欺が横行するようになり、意思表示器具が振り込め詐欺等の犯罪に悪用される恐れが大きくなったため意思表示器具は撤去されており、対象者が集荷物の有無を表示することが困難となっており、ほとんど機能していない。

 

3、生活用品等の受注・配達

ひまわりサービス開始当初は平地区内に3軒の協力店があった。しかし開始当初に数件の依頼があっただけで以後は需要が無く、現在ではほぼ自然消滅してしまっている。

平地区には個人経営の商店が数軒あり、更にJAが電話受注・無料配達を「顔パス」で行っているため、わざわざ専用葉書に記入して社会福祉協議会を経由するというシステムが受け入れられなかったのだろう。また村内には村営バスが通っており、また2006年9月からは市営のコミュニティバスが運行されている。郵便局による受注・配達が無ければ生活できないというほど交通の便は悪くない。

社会福祉協議会はこのサービス以外には実質的に関わっていないため、現在はひまわりサービスに関与していない。

 

4、小学生等からの定期的な励ましメッセージのお届け

平郵便局は年3回、春休み・夏休み・冬休みに実施している。ひまわりサービス対象者名簿とグリーディングカードを各長期休業前に平小学校へ届け依頼している。が、郵便局はあくまで小学校側への依頼までしか関与できない。

学校側が実施するかしないか、実施した場合、児童がメッセージをちゃんと出すか出さないか等は、ボランティアとして無償で行っているサービスだけに強制することはできない。そのため一回につき35通前後を小学校に届けるが、仮に学校側が実施したとしても、全てのグリーディングカードがポストに投函されるとは限らない。児童は自分が選んだ対象者に手紙を出すため、何通もグリーディングカードが届く対象者もいればまったく届かない対象者もいる。それでも対象者にとっては孫同然の子供たちからのメッセージであり、届いた対象者からは喜びの声が聞かれた。

しかし平小学校に確認したところ、2004年に5・6年生がグリーディングカードを出したのが最後で、今後行うかどうか2006年9月の時点では未定である。

 

5、ひまわりサービスのコスト

ひまわりサービスは本業に支障をきたさない範囲内で行っているため、配達にかかる時間や外務職員の労働時間に特別な変化はない。しかしひまわりサービスは営利目的で行われているのではなく、あくまで地域の高齢者のために無償で行われているボランティアなので、グリーティングカードや切手の購入など金銭面での出費が多少ある。

 

6、市町村合併・郵政民営化による環境の変化

サポート協議会が実質的に分解してしまった一因は市町村合併にあると考えてよい。

しかしながら市町村合併によって郵便局が果たす役割が大きくなる見込みはある。合併に伴って自治体自体の人員が削減され、それまでの行政サービスが維持できなくなって地域の要望に対応できなくなった場合、まずは郵便局が無償で行っているひまわりサービスに対する要望が増し、更に手が回らなければ郵政干渉法に基づく有料契約が結ばれる可能性もゼロではない。
 しかし世間の郵政民営化反対論者が危惧していたように、生田総裁を筆頭とする日本郵政公社は今後もひまわりサービスを変わらず続けていくとしてはいるが、実際に現場で働く郵便職員は採算が合わないという理由による郵便局の撤退やサービスの廃止という可能性を、自身の感想としてだけではなく、利用者の反応としても危惧していた。

 

 第4章第2節第2項 長野県東筑摩郡生坂村 生坂郵便局

 

ひまわりサービスが制度化されたのは1997年8月だが、生坂郵便局及び近隣の集配郵便局では福祉的活動の一環として「はてな運動」という独自のサービスを1992年頃から展開しており、ひまわりサービスが実施されてからも「はてな運動」は現在も絶えることなく続いている。

「はてな運動」には具体的な内容や活動基準、明確な対象者基準等は無く、あるとすれば窓口に来局した利用者や集配先で聞いた利用者の声、職員が集配の際に気付いたことなどを基に、業務に支障が無く利用者の利便性の向上が望めることはやってみようというものである。地域住民への声掛けはもちろんだが、村の「御用聞き」「なんでも屋」としての色合いも強く、実際、集配中に落し物や迷い犬、更には徘徊老人の捜索を依頼された実例がある。

しかしすべて何でも引き受けていたわけではなく、前述の事例のような集配のついでにはできないようなことや緊急ではない場合、公務員が行っても問題の無い事案かどうか判断が難しい場合などには一職員や局長の判断ではなく、信越郵政局や郵政省など当時の上層機関に確認を取ってから実施していた。郵政干渉法の中の郵便局窓口での公営バスの回数券販売は、生坂郵便局に訪れた高齢者からの提案を制度として取り入れたものである。

このような土壌がすでにあった生坂郵便局で、ひまわりサービスが導入されるのに時間はかからなかった。通常業務の都合もあるため、郵便局は生坂村社会福祉協議会に20世帯に限定して対象世帯をピックアップし、選出された対象者候補には生坂郵便局の職員が直に訪問して、制度やサービスの説明をし、承諾を得た世帯をひまわりサービス実施対象世帯とした。郵便局員が説明に行ったところ「まだまだ元気だからそんなサービスはいらない」と断られることは多々あったが、「はてな運動」がより形式的な「ひまわりサービス」となったから、という理由で断られた例は無かった。

その後も二年置きに社会福祉協議会が候補者を選出し、対象者の追加・更新等を行っている。特に具体的な選定基準を設けてはいないが、基本的に遠方に一人で住んでいる65歳以上の高齢者が対象者となった。ひまわりサービス開始当初の対象者は16人、その後人数は上下し、最近までは9人いたが、そのうち8人は1999年にできた生坂村在宅介護支援センターに移り住み、残りの1人は生坂郵便局管内から引っ越したので、現在ひまわりサービス対象者はいない。

 

1、励ましの声かけ(安否の確認)

生坂村には簡易郵便局を含め4局あり、うち2局が集配業務を行っていたが、民営化による再編で20061016日から広津郵便局が無集配局となった。このため広津郵便局管内の集配業務を生坂郵便局が行うこととなり、広津郵便局の外務職員が生坂郵便局に配属された。集配業務は元々生坂郵便局にいた3人、広津局から配属された3人、その他非常勤職員10人の計16人で行っている。

生坂郵便局のような山間の過疎地域にある郵便局は、仕事の忙しさが通数ではなく一本の配達ルートに集配物が有るか無いかに関わってくる。そのため集配物があれば例え一通でも配達に行き安否確認を行うが、一通もなければ配達に行かないので安否確認も行わない。

対象者は意思表示器具の掲示を気軽に行っていて、話し相手としてはもちろん、届いたはがき(税務関係)の内容が分からない時やテレビの映りが悪い時、切れた蛍光灯を交換して欲しい時などにも表示板を掲示するケースがある。

このため特に対象者やその家族の郵便局に対する評判は良く、中には生坂郵便局管外に引っ越した後も保険や貯金業務を生坂郵便局で行ったり、引っ越す際に家族が挨拶に来たりすることもあった。

 

2、郵便物の集荷サービス

基本的には意思表示器具が掲示されている対象世帯は必ず訪問するのだが、広津管内では5日以上意思表示器具が掲示されていなかったら、集配物の有無に関わらずその世帯を訪問するように改善した。しかし特に需要があるわけではない。

ひまわりサービスのサービス内容と直接は関係無いが、各家の郵便ポストに配達物を置いておけば外務職員が持って行ってくれる習慣がある。

 

3、生活用品等の受注・配達

ひまわりサービス開始当初は数件の利用があったが、注文品より郵送料の方が高かったり、生鮮品を取り扱う店が村内に一店しかなく受注当日の配達が困難であったりするなどの理由で衰退していった。

平地区同様、生坂村内にも個人経営の商店が数軒あり、また村の中心を走る国道(一部県道)に沿って隣町のショッピングセンターまで運行されている村営バス(日祝全面運休)が朝6:00頃から夜20:00頃の間に13本あり、村の中心部を発着地として村内を循環するコミュニティバスもある。更に隣接する市町村の公営バスが生坂村村内までつながっていることもあるため、交通の便は決して悪くは無く、多くの住民は自家用車が無くても村外のショッピングセンターに行き買い物をすることが可能である。

 

4、小学生等からの定期的な励ましメッセージのお届け

生坂小学校では毎年敬老の日に合わせて児童が近所や知り合いの老人宛に手紙を書く習慣が、ひまわりサービスが始まる以前の15年前には既に存在しており、現在も続いている。郵便局がひまわりサービスの一環として始めたものではないので、金銭的負担や必要な物の用意は教育委員会が行っており、郵便局は実質的には配達するだけであまり深く関与しているものではない。

 

5、ひまわりサービスのコスト

ひまわりサービスは業務に付したサービスなので特に外務職員への時間的負担は無いが、前述の通り20061016日に広津郵便局の集配業務が生坂郵便局に統合されたことで集配距離が長くなり、新しい集配ルートを模索している段階なので現在自由に時間を割くことは難しい。

 

6、市町村合併による変化

郵便局は集配区域を市町村で区分けするわけではない。事実、広津郵便局は隣接する旧八坂村(現大町市)の集配業務も行っていた。しかしひまわりサービスは郵便局の他に自治体や社会福祉協議会等などの市町村単位の組織と連携するサービスである。今までひまわりサービスを行っていた旧八坂村がひまわりサービスを行っていなかった大町市に組み込まれたことで、旧八坂村のひまわりサービスを廃止するのか大町市と新たにひまわりサービスの導入を検討するのか等の課題も出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5章 考察

第5章第1節 調査結果からみるひまわりサービスの問題点

 

郵便局の行う福祉サービスの実態はどうなっているのか――今回の調査では調査前にイメージしていたよりもマイナスの部分が多く見えた。

一番大きいのは一部のサービスが縮小されたり行われなくなってしまったりしていること。

ひまわりサービス実施郵便局では、日本郵政公社が定めている基本的な4サービス「励ましの声かけ(安否の確認)」「郵便物の集荷サービス」「生活用品等の受注・配達」「小学生等からの定期的な励ましメッセージのお届け」の全てを必ず実施するのではない。今回の調査地のように最初は全サービスを導入したが、そのうち衰退したサービスが徐々に淘汰されるケースが多い。事実、日本郵政公社北陸支社によると、4つのサービス全てを行っている郵便局は北陸支社管内には無いという。逆に全ての郵便局で必ず行われているサービスもなく、採用しているサービスは郵便局ごとに異なり統一性が無い。

 

今回の調査では生坂郵便局では生活用品等の受注配達が、平地区ではそれに加えて小学生等によるメッセージ等のお届けも現在は行われていないことが分かった。原因は様々あるが、生活用品等の受注配達はニーズに合っていないこと、地域実情に適していないことが主要因として挙げられる。山間地域に暮らす独り暮らしの高齢者といえども、地域の中心部や近隣市町村のお店に移動できるだけの交通手段を有しており、買い物に行けないので配達をお願いしたい、という場面はほとんど無いのではないか。

またはがきで申し込みにしろ外務職員へ直接申し込むにしろ、受注から配送までの手続きが複雑で時間がかかり、即行性がかなり低いことは大きな課題である。早急に必要なものがあるので持って来て欲しい、という場合には利用できないのである。これに対し平地区ではひまわりサービスより簡素な、電話一本による手続きで配送を行っているJAがある。

このように交通網がある程度整っていて、別に既存の配達サービスがあるところでのニーズはもともとあまり期待できないのではないか。

そもそもこのような過疎的地域内での配送サービスは、購入・配送に携わる人が全員顔見知りであることも少なくは無いだろう。自分が何を購入するのか他人に知られてしまう可能性に抵抗がある人がいたとしたら、このような配送サービス自体が受け入れられないかもしれない。また、「よそ様に迷惑を掛けたくないからできるだけ自分で」という高齢者独特の心理も何かしら影響しているのかもしれない。

もしこのサービスを再生・発展させるのならば、簡単な手続き体系の確立、受注から配送までの迅速化、配送対応品の充実、関連する情報の秘匿システムの確立など、安心性とスピードの確保が重要である。

 

平地区における小学生等によるメッセージのお届けの問題点は、協力機関である小学校との連携不足によるものが原因と考えられる。ボランティア色の強い制度だからといって無理強いはもちろん良くはないが、小学校や教育委員会への働き掛けがもっとなされても良いはずである。教育委員会・小学校の主導で行われている生坂村ではもっと郵便局が積極的に関与し、回数を増やすなどの諸策を講ずることもできる。

いずれにしろ高齢者の目線から考えれば、孫や曾孫と同じくらいの小学生からのメッセージは、例え自分の実の孫・曾孫でなくとも喜ぶことは必至ではないだろうか。実際平郵便局には高齢者からの喜びの声が届いている。メッセージを送ったことがきっかけで高齢者とのやり取りが始まり、小学生と高齢者の間に交流が生まれれば高齢者にとってはさらに嬉しいことになるはずであるし、小学生にとっても高齢者と接することでいろいろと学べるのではないか。地域交流が生まれ、温かい地域風土が育つ期待もできる。

またサービス外でのやり取りが増えれば郵便局が扱う郵便物も多くなり、業績にも少なからずプラスになるかもしれない。

 

郵便局側の積極性にも疑問が残る。

対象者の更新がされなかったり市町村合併によって連携が曖昧になっていたりと自治体や社会福祉協議会等関連機関との連携が必ずしも強いとは言えない。郵便局側からの働き掛けはなされないのであろうか。

さらにサービス内容も地域性や社会状況を考慮したものではない。通常サービスの一部をそのままひまわりサービスに組み込んでいるのもその一例である(「郵便物の集荷サービス」)。衰退するサービスを盛り返すために日本郵政公社がサービス内容や対応などを改善したわけでもなく、合わなかったサービスはそのまま放置されている。

本業に支障が出ない範囲内でのサービスとはいえ、利用者の利便性を考慮すればもっとよい対応ができるのではないだろうか。

 

 

第5章第2節 郵便局に求められる福祉的役割

 

少子高齢化や核家族化が進み高齢者のみの世帯が多い今の日本社会では、都市・地方に関わらず高齢者の孤独死が珍しくない。地域を統べる自治体にとっても高齢者の安否、生活・健康状況の把握は、高齢化率が高い山間地域ほど重要な課題であろう。

その中でほぼ毎日のように地域をくまなく回る郵便局の、特に山間部等の過疎地域での重要性は高い。ほとんど来客者などいないであろう高齢者にとって、週に幾日か、長くてもたった数分とはいえ人と触れ合える時間は貴重なものである。孤独で変化の少ないであろう日々の生活の中で、「人」と接することができるわずかな時間、その中で高齢者は「生」を改めて認識することもできるのではないか。

これはもともとひまわりサービスによって生み出されたものでは無い。山間・農村地域の郵便職員の多くはその地域に住む者で構成されているため、外務職員と地域住民との間に交流が生まれるのは必然であったのかもしれない。これは流動的な都市社会では成立し難い。郵便局が持つ全国的なネットワークではなく、一つの「個」としての郵便局がその地域に持つ、明治以来培った地域に根差す密着型のネットワークが生み出したものなのである。

ひまわりサービスの評価すべき点は、「個」の郵便ネットワークが生み出したメリットを全国津々浦々にネットワークを持つ郵便局が全国の過疎地域にある郵便局に広めたことである。制度化して全国約24,600局のネットワークで高齢者世帯の生活を見守ろうとしたことである。

 

この評価すべき部分をどうやって今後も残していかなければならないのか。

郵政民営化による環境の変化は決して小さいものではない。今までは公務員として利益抜きで考えていた施策は、平・生坂両郵便局に限らず全ての郵便局において多くあった。しかし民営化によって収益・損益を否が応でも考慮せざるを得ず、そうすると今までの考え・施策を必然的に見直さなければならなくなる。福祉サービスにおいては、無料のまま続けるのか、有料化するのか、自治体単位ではなく個人との個別契約とするのか等、見直さなければならない点がいつか出てくる。郵政公社本社は現行のひまわりサービス続行を打ち出してはいるものの、検討の必要があることは間違いない。

では何をどのように検討しなければならないのか。

介護が有料サービスとして定着し、介護サービスで生計を立てる人もいる中、元公的機関で巨大な民間企業となる郵便局の福祉事業への介入には否定的な意見もあるが、郵便局の持つネットワークは他の組織にはなかなか作り出せるものではない。インターネットが普及した現代、分社・民営化以降に郵便事業だけで生き残れるのか不安視されている。ネットワークを活かした福祉事業への本格参入は有り得ないことではない。

また前節でも軽く触れたが、ひまわりサービスによって業績が伸びる可能性もある。採算度外視としてひまわりサービスを縮小するのではなく、ひまわりサービスをきっかけとした、二次的な収益にも目を向けてはどうであろうか。

 

繰り返しになるが、郵便局の一番の魅力はネットワークである。このネットワークを残したまま福祉サービスとして活用することが、過疎地域にとって一番有効的な福祉サービスになるはずである。

 

 

 

 

(1)

議員立法により、10年間の時限立法として1970年に過疎地域対策緊急措置法、1980年に過疎地域振興特別措置法、1990年に過疎地域活性化特別措置法、2000年に過疎地域自立促進特別措置法が制定された。

(2)

「一  次のいずれかに該当すること。ただし、イ、ロ又はハに該当する場合においては、国勢調査の結果による市町村人口に係る平成七年の人口から当該市町村人口に係る昭和四十五年の人口を控除して得た人口を当該市町村人口に係る同年の人口で除して得た数値が〇・一未満であること。

イ 国勢調査の結果による市町村人口に係る昭和三十五年の人口から当該市町村人口に係る平成七年の人口を控除して得た人口を当該市町村人口に係る昭和三十五年の人口で除して得た数値(以下「三十五年間人口減少率」という。)が〇・三以上であること。

ロ 三十五年間人口減少率が〇・二五以上であって、国勢調査の結果による市町村人口に係る平成七年の人口のうち六十五歳以上の人口を当該市町村人口に係る同年の人口で除して得た数値が〇・二四以上であること。

ハ 三十五年間人口減少率が〇・二五以上であって、国勢調査の結果による市町村人口に係る平成七年の人口のうち十五歳以上三十歳未満の人口を当該市町村人口に係る同年の人口で除して得た数値が〇・一五以下であること。

ニ 国勢調査の結果による市町村人口に係る昭和四十五年の人口から当該市町村人口に係る平成七年の人口を控除して得た人口を当該市町村人口に係る昭和四十五年の人口で除して得た数値が〇・一九以上であること。」(過疎地域自立促進特別措置法)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引用・参考文献

 

 

参考文献

 

日本・地域と科学の出会い館(編),1997,『ひまわりシステムのまちづくり --- 進化する社会システム』,はる書房

 

郵政審議会,1997,『郵便局ビジョン2010』

 

 

参考URL

 

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沖縄県国頭郡大宜味村議会,2004,「郵政民営化に関する意見書」

http://www.vill.ogimi.okinawa.jp/gikai/iken/16-05.htm

 

倉橋秀樹,2007,「政治経済の庵」(http://www.saturn.sannet.ne.jp/kura/index.htm

 

公明党ホームページ,2007,(http://www.komei.or.jp/

 

自民党ホームパージ,2007,(http://www.jimin.jp/index.html

 

自民党政務調査会,2005,「郵政民営化に自民党は再挑戦します―早わかり郵政民営化―」

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2005_seisaku/hayawakari/index.html

 

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総務省ホームページ,2007,(http://www.soumu.go.jp/

 

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154回国会参議院総務委員会議事録第22号,2002

http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/~hiroi/index-genzai_no_sigoto-sangiin-somuiinkai-154-21.htm

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http://www1.town.chizu.tottori.jp/dd.aspx?menuid=1

 

内閣官房内閣広報室,2007,「首相官邸」(http://www.kantei.go.jp/

 

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GDS,2007,「あのまちこのまち」(http://www.gds.ne.jp/