第3章 郵便局が行う福祉サービス

 

本来は郵便物の集配を行う郵便局が福祉的活動を行うようになったのは、1997年に郵政審議会が報告した『郵便局ビジョン2010』に依る。

これは全国各地に展開する郵便局の持つ利便性と地域に根付いた特性、また少子・高齢化、情報通信の高度化、国際化等、日本の社会経済環境の変化を踏まえた上で、「21世紀社会を展望しつつ、国民本位の視点に立ち、全国の国民が豊かで安心できる生活を享受できる社会づくりに貢献するため、郵便局ネットワーク及びそのサービスの在り方並びにその実現のために講ずべき方策」について報告しているもので、この中で「郵便局は、自助支援サービスの改革や郵便局の情報・人的ネットワークの開放・活用により、地域社会の「安心の拠点」としての役割を果たしていくことが期待される(郵便局ビジョン2010第4章 郵便局ビジョンU:安心の拠点2)」とし、福祉サービスに関しては、特に高齢化が深刻な過疎地等において、地方自治体等と連携して人と人の触れ合いやきめ細かな福祉サービスの提供を通して、超少子・高齢化の進展の中で人々が共に助け合い高齢者等の社会的弱者を支援していく、共生と社会的公正の実現が地域社会にとって極めて重要な課題としている。

 

この「郵便局ビジョン2010」を受け、郵政省(当時)は1997年8月に開始した「過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大(呼称:ひまわりサービス)」を2000年4月1日に施行された「過疎地域自立促進特別措置法()」に基づき全国的に推奨した。

また200112月1日に「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」が施行され、更に福祉サービスの幅を広めた。