第3章第1節第2項 ひまわりサービスの詳細
「ひまわりサービス」は前述のように過疎地域自立促進特別措置法に基づき推奨されたものであるため、実施対象地域は過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項 (2)で指定された過疎地域(高・高齢化率地域)で、「原則」として70歳以上の一人暮らしの高齢者・高齢者夫婦世帯が対象となる。近所に店が無く不便で、移動販売車等のサービスが常時得られるような環境下でないことが条件として必要となる。通常の集配業務を活用したサービスであるため、本業に支障が出ないよう対象世帯数は50世帯以内を目安としている。
ただし「ひまわりサービス」は郵便局が単独で行うサービスではなく、自治体・社会福祉協議会、農協や警察署等の関連機関と連携して行うものであり、人口や高齢化率、交通利便性や郵便局側の諸事情等、その地域の実情を踏まえて実施される。よって前述の対象世帯やその条件、関連機関等はすべての自治体、郵便局において画一ではない。後述する実施サービス内容等も統一的な制度上のものである。そのため対象年齢が65歳以上の市町村があれば80歳以上に限定する市町村もあり、対象世帯数が50世帯を超える市町村もある。
自治体等と協議が整ったところから「ひまわりサービス」は実施されるが、導入に際しては準備期間として通常約二ヶ月を要する(表2)。
表2:ひまわりサービス導入までの経緯
二ヶ月前 |
サービス開始日の検討、生活サポート協議会の設立・役員決定・規約作成、協力店募集、対象世帯選定(社会福祉協議会等) |
一ヶ月前 |
対象世帯選定(郵便局)、励ましメッセージ差出先への依頼 |
十日前 |
地元・対象世帯への説明 |
一週間前 |
業務推進の打ち合わせ、表示器具の設置 |
生活サポート協議会は、郵便局のほかに自治体・社会福祉協議会、農協・察署・商工会・民生委員協議会等の関連機関で構成される「ひまわりサービス」の運営母体となる組織で、多くは社会福祉協議会の中に事務局を設置している。郵便局と生活サポート協議会との共同施策は、小学生等からの定期的な励ましのメッセージのお届けや生活用品等の受注・配達、その他に基本的に郵便局が単独で行うものとして、励ましの声掛け(安否確認)や郵便物の集荷サービスがある。
1、励ましの声掛け(安否確認)
現在全国的にひまわりサービスの中心となっているのが励ましの声掛け(安否確認)である。外務職員は集配の際に対象者に対し声掛けを行う。これは対象者の安否を毎回確認する意味もある。対象世帯には配布された専用の意思表示器具が外務職員から見えやすい箇所に設置してあり、対象者はそれを掲示することで訪問意思を示すことができる。その場合は配達物がない時でも外務職員は必ず立ち寄らなければならない。
2、郵便物の集荷サービス
差し出したい郵便物がある時に外務職員が集荷に訪れるもので、意思表示器具を掲示し外務職員に直接伝えても良いが、ひまわりサービスは本業に支障をきたすことがないようにするため、郵便物がない場合は外務職員が訪れないので郵便局や生活サポート協議会に直接電話しても良い。
ただし郵便物の集荷サービスはひまわりサービスだけではなく通常業務としても行われている。
3、生活用品等の受注・配達
簡潔にしてしまえば、対象者が依頼した生活用品等を郵便局が配達するというもの。準備段階で協力店を募集しておく。協力店は原則として同市町村内で協力を承諾した店が対象となる。また実施市町村は福祉関係経費等で官製葉書を購入、生活サポート協議会宛ての「福祉葉書」として対象世帯及び郵便局に配布しておく。
生活用具が必要となった対象世帯は福祉葉書に必要事項を記入し、ポストに投函するか直に外務職員に渡す。または電話で郵便局に注文内容を連絡し、郵便局側が受付内容を福祉葉書に記入した上で郵便物として引き受け、生活サポート協議会に配達する。葉書を受け取った生活サポート協議会は注文内容を分類し、該当する協力店に通知する。協力店は注文品を小包郵便物等として差し出し、それを郵便局が配達する。なお早急に必要なものや郵送に適さないもの、協力店が配送システムを整えている場合は協力店が直接配送する場合もある。
送料は協力店か自治体が負担し、代金は配達時にその場で受け取るか、郵便局の自動払い込みや郵便振替を利用する。
4、小学生等からの定期的な励ましのメッセージのお届け
地域の小学校などに依頼し、小学生などに定期的に励ましの手紙や絵を対象者宛に書いてもらい郵便物として対象者へ届ける。
以上の4つが「ひまわりサービス」に基づいた福祉的サービスとして行われているものである(日本郵政公社HP・情報えひめ2000年6月号・同7月号)。