キャンパスライフ

卒業生メッセージ

           

哲学・人間学コースの魅力

哲学・人間学コース(人間学) 2023年卒業

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近年の演習室での勉強風景

私は高校で受けた倫理の授業がきっかけで、哲学・人間学を専攻することに決めました。とはいっても初めから特定の思想家に対する強い関心があった訳ではありません。授業を通して、哲学・人間学で取り扱う諸問題が浮世離れしたものではなく、身の回りにある些細な問いと地続きであることに気づかされ、その面白さに惹きつけられていきました。

最も印象に残っているのは、メルロ・ポンティの著作である『知覚の現象学』をテキストとして扱った演習授業です。演習の大まかな流れは、テキストを各自読み込む→持ち回りでレジュメを作成→担当者が発表→議論といったもので、受講者の議論を中心として授業が展開されていくことに特徴があります。高校までは知識付与に特化した授業形式が大半であった私にとって、このスタイルはとても新鮮でした。また、哲学・人間学分野に対して抱いていた「個」の思索というイメージが、良い意味で少し変化するきっかけにもなりました。

『知覚の現象学』に限らず、哲学書というものは難解で、一読しただけでは意味が理解出来ない箇所が多々あります。しかし原典を丁寧に読み込み、自分の解釈や疑問点を不格好でも言語化してみること、そしてそれを他者に共有し議論することで、着実に理解は深まっていきました。かなり地道な反復作業ではありますが、独りよがりな思いつきではなく筋道の立った理論をどう構築するか、時に停滞し脱線する議論をどう進めていくかといったことに試行錯誤した経験は、卒業後の今も様々な場面で役立っています。

私が思う人文学部の魅力は、自分の「気になる!」を突き詰められることです。漠然とした興味であっても、様々な専門的知識を持った先生方に相談すれば、学問領域への落とし込み方を共に考えてくださると思います。また探究心を持って集まった同学部の友人達からは、良い刺激が貰えるはずです。富山大学人文学部で、皆さんが充実した日々を過ごせることを祈っています。

                                  

人生が変わる出会いを

社会文化コース(社会学) 2020年卒業

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大学2年の時、人文学部社会文化コース社会学を選んだ理由は、社会が好きで、やれることの幅が広そうだったからです。それまで将来の夢も、やりたいこともなく、アルバイトとサークルに時間を費やしていました。白状すると、緩そうというイメージの不純な動機です。それなのに、いつの間にか卒業研究にのめり込み、これを仕事にできたらと思って、新聞記者になっていました。社会学に入って、人生が変わったと言っても過言ではありません。

社会学で一番楽しかったのは、なんと言っても現地調査(フィールドワーク)。卒論のテーマに地方で深刻な問題になっている「買い物弱者問題」を選び、偶然知った「移動スーパーとくし丸」の販売パートナーを取材するために、富山県や京都府に2年弱で10回以上通いました。山奥でスーパーまで行けないお年寄り、やりがいを感じたいと転職して販売パートナーになった男性、移動スーパーを各地に広める元公務員、たくさんの人に出会いました。現場の声を文字に起こし、分析・考察する時間は苦しい。先生の部屋のドアを何度も叩き、仲間と夜中まで研究室にこもってパソコンとにらめっこしていたのでよく覚えています。最終的にA4用紙95枚分の卒論を書き上げることができました。社会学は、先生が学生の熱量に応えてくれるところが何よりの魅力です。

取材テーマを考え、対象者にアポを取り、話を聞き、写真を撮り、文章にまとめて、社会に提言する。現在、地方で新聞記者をしていますが、基本的な動作は大学生の時と変わりません。社会学は現代社会の身近な事象を扱います。興味関心を持ったテーマにどうアプローチしていくか、物事を多角的に見るための方法を学んだことが活きていると思っています。

新聞を読む人は減っていて、若い人はなじみが薄いと思いますが、ぜひ一度ページをめくってみてください。新聞は、世界を広げる一つの道具です。皆さんにも、大学で素敵な出会いがありますように。

            

(この方の卒業論文は当ホームページから閲覧することができます。アドレスは以下の通りです)

                   
                  

フランス言語文化専攻の魅力

ヨーロッパ言語文化コース(フランス言語文化) 2013年卒業

フランス
            

私は、他の大学でフランス語を専攻している姉の影響で、高校時代からフランスに興味を持ち、大学に入ったら何か新しいことを始めたいとも思っていたので、フランス語を専攻することに決めました。初めは、フランス語イコール難しいというイメージが強く、この専攻でやっていけるのか不安でしたが、先生方の授業外のマンツーマンでの発音練習や、暗唱テストなどの熱心な指導、気さくに相談し合える先輩や仲間たちのおかげで不安もなくなり、今ではすっかりフランス語のもつ美しい響きのとりこになっています。

また、この専攻の2・3年次では、フランスのオルレアン大学で約一か月間、語学研修に参加することができます。私は早いうちに体験したかったので2年生のときに参加し、大きな刺激を受けました。大学で言語や文化を学ぶのはもちろん、ホームステイ先では毎日会話に苦労しましたが、日ごとに耳が慣れ、いちいち言葉を頭で変換することなく、すっと入ってくる感覚がとても楽しくて、これは日本で教科書の勉強をしているだけでは味わえない感覚だと思いました。

そして実際に現地で生活してみたり、休日に美術館や歴史建築物を訪れたりすることで、新たな発見や感動がありました。見るもの・聞くものすべてが勉強だった1か月はあっという間でしたが、ホストファミリーとは今でもメールやプレゼントのやりとりをするくらい、本当の家族のような絆ができ、とても貴重な体験となりました。

この専攻の魅力は、自分から求めれば得られるものが多いところだと思います。研修に参加したことで、より自分に必要な勉強とは何かがわかり、その後の勉強態度も変わったように思います。私自身、もっとフランスを知りたい、もっとフランス語を話せるようになりたいという気持ちが大きくなり、モチベーションの向上にもつながりました。

韓国での留学を振り返って

東アジア言語文化コース(朝鮮言語文化) 2013年卒業

韓国

私は短期大学で韓国語を専攻していたのですが、3年次編入で富山大学に入学しました。

朝鮮言語文化は現地での研修や留学生に対してとても積極的です。所属生の全員に留学経験があります。私もその1人で、ソウル大学で訪問学生として1年を過ごしました。希望に満ちて臨んだ留学でした。しかし、専門の科目では現地の学生と同じ条件で講義を受けることは困難で、苦労しました。また、1年という限られた時間では友人と親密な関係を築き上げることが難しく、孤独に悩まされました。その中でも留学生が対象の授業はとても充実したものでした。同じ思いを共有する留学生同士なので、すぐに打ち解けて協力して課題に取り組みました。辛い思いもしましたが、確実に言えることは留学に行って良かったということです。良くも悪くも留学によって破壊された韓国に対するイメージは私にとってとても刺激となりました。

このような想いは実際に経験しなければ理解できなかったことだと思います。留学は決して楽しいことばかりではありませんが、その経験からきっと何かを得られるはずです。これから出発する後輩たちが充実した留学生活を送れることを祈っています。

University of Toyama School of Humanities

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