田邊 元(スポーツ人類学・講師) 10:00~11:00
「祭りへのまなざし再考 ―獅子舞から考える「不足」と「余白」」
野澤 豊一(文化人類学・准教授) 11:00~12:00
「生きた芸能を記述する ――獅子舞のエコロジーに向けて」
【概要】
○田邊 元 「祭りへのまなざし再考 ―獅子舞から考える「不足」と「余白」」
本発表では、日本の祭りの多くが抱える担い手不足と呼ばれる問題に対して、その根底にある「不足」という前提のあり方を批判的に検討し、
祭りに向けられたまなざしの再考する。祭りを対象とした諸研究において避けては通れない問題が担い手不足問題であり、多くの研究はこの問題に人びとがどう向き合っているのかを明らかにしてきた。本発表では、富山県下において行われる獅子舞を取り上げ、どういった人びとが継承を支え、どういった仕組みのなかで継承されているのかを示す。その上で、「不足」という語が連想させる問題の相対化を目指す。
○野澤 豊一 「生きた芸能を記述する ――獅子舞のエコロジーに向けて」
地域において継承される芸能や祭礼の研究は、通常、歴史や系譜の調査、担い手となる地域の社会組織や人間関係の記述が基礎となる。これらのアプローチの重要性は疑うべくもないが、多くの人が芸能・祭礼の場で感じているはずの、気分の高揚や共同体が活気づけられる「感じ」を伝えないといううらみも常につきまとう。本発表では従来とは異なる方法として、フィールドワークにもとづく「生態学的アプローチ」を提案し、富山県の獅子舞にかんする若干の事例をもとにその有用性をさぐる。