『不思議の国のアリス』(Alice's Adventures in Wonderland, 1865)
作者:ルイス・キャロル(Lewis Carroll, 1832-98)
 


☆アリス誕生☆

 キャロルは学寮長ヘンリー・ジョージ・リデルの三人の娘と交友があり、テムズ河で舟遊びを楽しんだりしました。リデル三姉妹とトリニティ・カレッジの同僚ロビンスン・ダックワースとボートに乗っているとき、三姉妹の次女のアリス・リデルのために即興で物語を作りました。その即興の物語を気に入ったアリス・リデルがキャロルにその話を本にしてくれるように頼み、翌年キャロルは『地下の国のアリス』という本を書き上げます。
 その後、挿絵の部分を書き上げたキャロルは1864年に絵本をアリスにプレゼントします。この本の出来栄えを見た絵本作家ジョージ・マクドナルド夫妻の勧めを受けてキャロルは本を正式に出版することを決意し、タイトルを『不思議の国のアリス』に改め、1865年に2000部の初版が発行されます。出版と同時にキャロルの処女作は好意的な書評に迎えられました。
 アリス・リディアに贈った、『地下の国のアリス』は、持ち主のアリスが売却し、さまざまな人の手に渡りますが、現在は大英博物館に展示されています。
 



☆『不思議の国のアリス』☆ 
 主人公の少女アリスが風変わりなウサギを追って「ウサギの穴」に飛び込んでしまうところから始まります。「不思議の国」にたどり着いたアリスはイモムシやチェシャ猫、三月ウサギ、帽子屋、グリフォン、ニセ海亀、トランプの女王などの個性派ぞろいの登場人物たちと珍妙なやり取りを繰り広げていきます。アリスはお姉さんのひざの上で目を覚まし、物語は幸せな結末を迎えます。






『鏡の国のアリス』
(Through the Looking-glass and what Alice Found There)
作者:ルイス・キャロル(Lewis Carroll, 1832-98)
   初版:1871年



☆『鏡の国のアリス』☆

 『不思議の国のアリス』の続編です。
 『不思議の国のアリス』の出来事から半年後の十一月のある日、アリスは自分が鏡を通って反対側に抜けられることを発見します。鏡の向こうの世界は、文字が左右逆さまで、何かに近づくためには逆にそれから離れなければならない「逆さまの世界」でした。
 道に迷ったアリスは大きなチェス盤の模様をした土地にたどり着き、そこで「白の女王のポーン」の役割を与えられ、チェスのルールに従って移動して行きます。ハンプティ・ダンプティや赤の女王といった有名なキャラクターが登場します。
 この物語の終わりも、アリスが夢から覚めるところです。アリスは赤の女王は、自分の飼い猫のキティだったと思うのでした。


 『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を原作として、ディズニーの長編アニメ、『不思議の国のアリス』(Alice in Wonderland)やTVドラマが作られました。 




☆引用されている歌☆
The Queen of Hearts(ハートの女王)
Twinkle, twinkle, little star (きらきら星)
Humpty Dumpty sat on a wall
(ハンプティ・ダンプティへいにすわった)




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