ホーム :スライド6〜16:「商店街の人」(各個人の紹介) :


(3)稲垣 俊之(いながき としゆき)さん――喫茶チェリオ(グランドプラザ)(スライド8)

前へ 次へ

「行政はイベントよりも、別にやることがある」。稲垣さんは静かな口調ながらも言葉を選び、ご自分の考えを力強く語ってくださいました。生まれも育ちも総曲輪の稲垣さんは、街づくりに携わる商店主の中では1981年生まれの30歳とかなりの若手です。東京の大学で金融を学び、証券会社に就職されましたが、父親が倒れたことをきっかけに、祖父が創業した店を「自分のせいでなくしたくない」という思いでUターン。お店を継ぐにあたり、調理師の専門学校へ通いながら銀座のイタリアンレストランで1年間修業を積まれました。今はすっかり元気になった父と母、そして姉2人の家族を中心に、礼儀正しさを重視して雇ったスタッフたちとともに喫茶チェリオを営んでいらっしゃいます。
 「街中に1個キャンパスを作っちゃえば、強制的に若者が街中に来るようになるし、若者向けの投資も増える」と若者を街中に呼び寄せ、街づくりを促進するための発想を理論的に展開してくださいました。「考える力を身につければ、どんな職業に就いても、結構順応できる」。証券会社勤務から喫茶店のオーナーという、異色の経歴を持つからこその説得力が感じられるお言葉でした。
 決してイベントが無駄なわけではありません。ただ、行政はそれを主導するよりも「民間人がイベントをやりやすいシステムを構築すべき」だと考えていらっしゃいます。
今後は、総曲輪を「北陸で一番人の集まる街にする」ことが目標だそうです。個人的には「ステーキ屋さんを街中でやりたい」そうで、店内が全部木製で、ウエスタンハットをかぶった店員さんが分厚い肉を焼いて……「西部劇みたいな雰囲気が好きなんです」。
 落ち着きを見せながらも、夢を語るその瞳には、羨ましいほどの輝きが宿っていました。私たちにも何か力になれることはないでしょうか。「暇な時間があれば、何も買わなくてもいいから街の中をうろうろしてほしい」さっそくうろうろしに行きたいと思います。


スライド6〜16:「商店街の人」(各個人の紹介) に戻る