+King Arthur+
童話作品・その8
King Arthur
[作品解説]
ケルト人の伝説的英雄アーサー王に関する記述は、12世紀のジェフリー・オヴ・モンマスがラテン語で書いた『ブリテン王列伝』に初めて現れるが、その後の文献をもとに、14世紀末にウォーリックシャー州出身のサー・トマス・マロリーが3800行以上の詩文で著わした『アーサー王の死』(Le Morte Darthur)が最も影響力のあるアーサー王騎士道物語とされる。これをウィリアム・カクストンが1485ねんい、21巻にして出版したことで、一般に広く普及した。エドマンド・スペンサーの『妖精の女王』もアルフレッド・テニスンの『国王牧歌』もこのアーサー王の物語を下地にしたものである。
物語の内容は、アーサー王の臣下である円卓の騎士たちが織りなす騎士団の盛衰記である。アーサーの誕生、予言者マーリンの魔法から生じた王位継承権問題から物語が始まる。成長したアーサーは、教会の大理石に刺さった剣を引き抜いたことで王位を主張する。グウィネヴィアとの結婚に際し、マーリンが作った円卓に150人の騎士を坐らせ、忠誠を誓わせる。騎士団とともにローマ遠征に出かけ、聖なる剣エクスカリバーの力でローマ皇帝となる。しかし、自分を殺す人物と予言されている近親相姦で生まれたアーサーの子モルドレッドの影に怯える。一方、アーサー王妃グウィネヴィアとランスロットとの恋愛は、たとえ美しくとも不倫であり、騎士団の衰退を招く象徴となっている。次に、キリストの最後の晩餐で使われ、磔刑で流された血が注がれた聖杯探求の冒険が展開される。勇気あるランスロットもガヴェインも罪ゆえに探求に失敗するが、ランスロットの子のガラハドが成功する。その後、いくつかの戦いがあり、父と子の対決でアーサーも死に、修道院で亡くなったグウィネヴィアを埋葬したランスロットも食を断ってその後を追う。
▼Ford, H. J. (1860-1941)"How Arthur Drew the Sword" (1902)▼