+Ethics of Elfland+  
童話作品・その19
Ethics of Elfland

[主な作品]
『おとぎの国の倫理学』(Ethics of Elfland 1906)

[作品解説]
  チェスタトンの精神的自伝といわれる代表作『正統とはなにか』(Orthodoxy 1906)全9章中の第4章のことである。邦訳は、『G・K・チェスタトン著作集』全10巻中の第1巻に収録。この中で、チェスタトンは、こう論じている。おとぎの国は、単なる詩的な空想の世界でなく、詩人の目で見た現実の世界で、そのおとぎの国の法則には、世間でいう理性よりもさらに深い理性があり、人間本然の深い欲求や直観と完全に調和する。そして、いくつかの具体的な例を挙げ、独特な逆説の論理によって、現実と想像とを結合させた世界で正気を保つことが可能であり、真理を語ることができることを立証している。

[作者]
  ギルバート・キース・チェスタトン(Gilbert Keith Chesterton 1874-1936)
  イギリス、ロンドン、キャムデン・ヒル生まれ。ロンドン大学付属スレイド美術学校時代から美術評論家として活動する。評伝では、『チャールズ・ディケンズ』が最も評価が高く、ほかにも『ロバート・ブラウニング』『ジョージ・バーナード・ショウ』『ウィリアム・ブレイク』、そして『チョーサー』がある。宗教的な評論では『アッシジの聖フランシスコ』と『トマス・アクイナス』がある。1911年の『ブラウン神父の童心』に始まるシリーズではカトリック司祭が探偵役を務めているが、チェスタトン自身がカトリックに改宗したのは11年後のことであった。オーソドックスなキリスト教徒の立場からの自由闊達な論客として、ジャーナリズム、詩、小説、評伝、評論、エッセイ、挿し絵など八面六臂の活躍をした。