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童話作品・その14
Pickwick Papers

[主な作品]
『ピクウィック・クラブ遺文集』(Pickwick Papers 1836-37)

[作品解説]
  24歳の時に刊行した『ボズのスケッチ集』が好評だったので、出版者の依頼でディケンズが執筆したもの。読者の反応によって結末を変えるなど、当初の企画を大幅に逸脱して、毎月1冊のペースで20ヶ月連載の分冊で発表。『ボズのスケッチ集』では、ロバート・セイモアの風刺漫画の挿し絵も話題となったが、セイモアが自殺したため、H・K・ブラウンがその役を引き継ぎ、成功を収めた。風俗見聞道中記というべき内容で、登場人物約300に上るパノラマ・ピカレスク小説。物語は全57章からなり、冒険旅行を楽しむ人たちの社交の場、ピクウィック・クラブを創設した初老のサミュエル・ピクウィック氏と従僕の好青年サム・ウェラーが、3人の若い紳士とともに、イギリス各地を旅行し、行く先々で珍妙なトラブルに巻き込まれるが、そのつど、お人好しで憎めない展開を見せ、最後には、ハッピー・エンドで解決する。

[作者]
  チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens 1812-70)
  イングランド、ポーツマス生まれ。父親は海軍経理局の事務官。父親の借財が原因で、靴墨工場で働き、その後、法律事務所の事務員の仕事に就く。20歳で、新聞記者となり、「ボズ」というペンネームを使って雑誌に「ポプラ通りの晩餐会」を発表する。24歳で『ボズのスケッチ集』を出版する。『ピクウィック・クラブ遺文集』は、新聞記者をやめ、作家生活に入るきっかけとなった処女作ともいうべき作品で、これ以後、『オリヴァー・ツイスト』『ニコラス・ニクルビー』『骨董屋』『ドンビー父子』『デイヴィッド・コパーフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』『我らが共通の友』などを発表。

▼『ピクウィック・クラブ遺文集』の表紙。▼