4−2 過去のマンガとの接触の度合いとマンガへのイメージの関係について


 ここでは、過去(12〜13歳頃)のマンガとの接触の度合いが、マンガのイメージ形成に関係しているかを見てみる。なお、ここで使用した設問は、問9〜12(マンガのイメージ)、問15(過去のマンガとの接触の度合い)である。これらをクロス集計にかけてみた。但し、問9、10は変数を加工して、5段階評価を3段階にカテゴリーをまとめた。こうして得られたデータの中から有意水準(5%)を通ったものを選び、更に関連の強いものをグラフとして使用した。
(問9−17)図 4−2−1


 このグラフでは、マンガをよく読んでいた人ほどマンガに対して身近なイメージを抱いており、あまり読んでなかった人ほど縁遠いというイメージを抱いていることがわかる。よく読んでいたということは、それだけマンガに慣れ親しんでいたということであり、身近なイメージを抱くのは当然と言えよう。しかし、あまり読んでいなかった人達の中でも身近に感じている人が多く、これはマンガ自体がすぐ手に届くようなイメージを持っていると言えよう。                                   以下では、マンガのみのイメージではなく、活字メディアとの比較の中からマンガに対するイメージへの影響を見てみる。
(問10−3)図 4−2−2

 このグラフでは、マンガをよく読んでいた人ほど、マンガに対して情緒が豊かになるというイメージを抱いている。マンガのストーリーに深くのめり込んでいたため、情緒が豊かになると感じたのだろう。このグラフから目につく点は、全然読まなかった人たちの「どちらも同じ程度」と答えている比率が低いということである。ただ、全然読まなかった人たちの割合が少なかったので(約7%)、この人たちのデータは信憑性が低いのかもしれない。。
(問10−15)図 4−2−3

(問10−16)図 4−2−4
 これらの2つのグラフは、似たような項目に関しての回答である。どちらのグラフも、マンガより活字メディアのほうが教養になると考えている。ただ、マンガをより多く読んでいた人ほど、マンガは教養的に好ましいメディアだと捉えている。活字メディアは万人に教養的メディアと捉えられているのに対し、マンガは、関わりあっている度合いによって、薬にも毒にもなるといったところだろうか。
(問12)図 4−2−5
 このグラフでは、ほとんどの人がマンガには何かしらの悪影響があると答えている。その中でも特に、「少しはある」と答えている人が5割を超えている。この「少し」に分類されるマンガというのはおそらく、性的表現、暴力的表現などに問題があるマンガのことだろうと思われる。逆説的には言うと、教育的に『良いマンガ』が多くないので、こういったマンガのイメージになるのではないだろうか。                   しかし、マンガ自体が悪いのではなく、マンガを読みすぎることによって勉強をしなくなるといった、2次的な悪影響ということも考えられる。この点については今後の研究に生かせるのではないだろうか。
担当:安田真人

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