1−4 2タイプのヒーロー


図1−4−1

 まずは上のグラフの説明から始めます。このグラフは問8を整理したものです。このなかで、2、4、7、11、12が特に賛成が多かったのでこの5つと問2、7のクロス表をとってみました。この5つのクロス表は5%検定にも通ったし、信用のおけるデータになったのですが言えることは当たり前のことだったのであまり面白くありませんでした。そこで問8のなかでも票がわれた(票がばらけた)質問に目を向けることにしました。1、3、6、8、10、13をとりあげて問2、7とクロス表をとってみることにしました。そこで検定に通った2つのクロス表を見ていきながらヒーローについて考えていこうと思います。

図1−4−2

 これは問2と問8のクロス表です。問2は「あなたにとってのヒーローはなんですか」という質問に対する答えです。横軸の1〜8はそれぞれ、1「偉大な行為をなした、自分の理想の人物で尊敬の対象」、2「自分の人生の目標」、3「夢中になれるあこがれの対象」、4「生きていく上での心の支え」、5「世間の辛さ、ストレスを解消してくれる存在」、6「自分の代わりに何かをしてくれる存在」、7「特になんでもない」、8「その他」を表しています。そして縦軸の1〜5は、問8の8「ヒーローは逆境から生まれる」に対して1「賛成」、2「どちらかといえば賛成」、3「どちらともいえない」、4「どちらかといえば反対」、5「反対」を表しています。このクロス表で注目したところは問2の1〜3は3「どちらともいえない」に答えが集中しているのに対して、問2の4〜6は1「賛成」に答えがよっているところです。1〜3をaグループとし、4〜6をbグループとします。ここで私が考えたことはaとbではヒーローが生まれる背景についての考え方が違うのではないかということです。aはヒーローは逆境から生まれてくるものではない、つまりヒーローの生まれる背景は特別なものでないと考えていることが考えられます。もうちょっと考えを進めると、誰にでもヒーローになれるチャンスはある(自分にだって)と考えているグループということができます。それに対してbはヒーローは逆境から生まれるもの、つまり「逆境」といえるようなある程度の経験をもった人でないとヒーローにはなれないと考えていることがわかります。つまりヒーローとは誰にでもなれるものではない(自分も含めて)と考えているグループということができます。

図1−4−3


 私の考え方をもっとはっきりと示しているのがこのクロス表です。これは問7「未来に望むヒーロー」と問8の10の「ヒーローはごく一部の人だけがなれるものだ」のクロスです。横軸が問7です。横軸は1「頂点に立つ強者」、2「印象が良く皆から好まれる人」、3「独力で必死に生きる人」、4「他人のために生きる人」、5「普通の人」、6「華麗な演技、技術で人々を楽しませる人」、7「常識をくつがえすようなことをする人」、8「望まない」を表しています。縦軸は上のグラフと同じく、1から5へ「賛成→反対」となってます。ここで注目したことは1、6、7は「賛成」に偏り、3、4、5は「反対」に偏っているところです。この1、6、7をcグループとし、3、4、5をdグループとします。このcグループに共通していることは「才能が必要だ」ということです。具体的にいえば1には「リーダー性」が、6には「運動神経や歌唱力や容姿」が、7には「決断力や判断力」が必要になります。つまり、この種のヒーローになるためには生まれながらにして持った条件が必要となるのです。それに対し3、4、5は「努力や考え方しだい」ということになると思います。3、4、5はどちらかといえば性格的なもので表面に出にくいことだと思うのです。そしてこの種のヒーローには才能も、年齢もなにも関係ありません。つまり、cグループは「ヒーローは誰でもがなれるものではない」と考えており、dグループは「ヒーローは誰でもなれろものだ」と考えているのです。
 この二つの仮説をあわせて考えてみると、aとdが、bとcがまとめられると思います。aとdを@、bとcをAとします。ヒーローにはその背景や性格から2つのタイプがあると考えられます。@は「後天的ヒーロー」、Aは「先天的ヒーロー」というようにいえると思います。3部でみてきた「スポーツ界のヒーロー」はAにあたります。このように今まではAのヒーローが一般的だったように思いますが、現代ではデータからもわかるように@のタイプのヒーローも増えてきているように思います。つまり世間の人々が持つヒーロー像は一つではないということがいえると思います。

担当:高橋 良香

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