富山大学人文学部社会学教育研究分野の紹介
社会学教育研究分野は1993年に富山大学の改組にともない、人文学部人文学科行動文化講座社会学コースとして新設されました。スタッフは教養部から移籍した中河と新たに赴任した佐藤の2名でスタートしました。2001年度からは、佐藤と伊藤の2名となり、2006年度からは、新カリキュラムのもと「社会学教育・研究専門分野」となっております。
社会学教育研究分野の教育方針
「自分で調べる」
当教育研究分野では非常に広い意味での「調査」を重視しています。自分の問題意識に応じてあらゆる手段で資料を集め、確かな根拠に基づいた判断を下してゆける、そんな人材を育成したいと考えています。
資料収集の方法は実に様々です。文献の収集、統計資料の読みこなし、計量的調査(アンケート)、聞き取り調査(インタビュー)、データベース検索などなど。教育研究分野の学生はこれらを専門3年間のうちにできるだけたくさん経験し、最終的には自分自身の問題意識に応じて何れかの方法で卒業論文を執筆します。
理論と調査データの統合
調査の技術だけでなく、資料を読みこなし、分析し、なんらかの結論を引き出すためには、確かな視点・鋭い視角が必要です。そのためには、社会学の既存の理論も学ばなくてはなりません。当教育研究分野では、社会学がこれまで蓄積してきた理論を、「理論のための理論」、「ひけらかすための知識」としてではなく、問題解決のための実践的知識として身につけてほしいと願っています。
カリキュラム
社会学分野では次のような授業を用意しています。( )内は受講する時期です。
- 社会学概論(1年次後期)
社会学の基本的な視点、基礎知識を学ぶ講義形式の授業です。
- 社会調査法(2年次〜3年次前後期)
社会調査の基本的な方法を学び、実際に調査を行って報告書を作成する、調査実習の授業です。前期と後期でセットになっていますので、通年での受講が基本となります。
質的調査と量的調査を年毎に入れ替えて実施します。2007年度は質的調査です。
- 社会学フィールド演習(2〜3年次前後期)
社会学研究分野の中心となる授業です。2〜4人程度のグループを作って、それぞれのグループでテーマを決めて調査を行い、報告書を作成します(ただし、2年次前期は、そのための導入的な内容になります)。インタビューに行ったり、アンケートを作成してそれを集計したり、メディア言説を収集して分析したり、テーマに応じてさまざまな調査がこれまで実施されています。
テーマは受講者それぞれが考え、テーマや調査方法が近い人同士が集まってグループを作り、自分たちで活動計画を立てます。2年次の後期から受講しますが、最初は3年生の先輩についてグループ研究を体験し、3年生の前後期で自分がやりたいテーマを調査します。
多くの学生は、この授業で調査したことを卒業研究のステップにしています。
- 社会学演習(3年次〜4年次前後期)
卒業研究のための授業です。自分の卒業研究の経過を随時報告し、ディスカッションの中で練り上げていきます。
- 社会文化講読(2年次後期)
社会学が担当する社会文化講読は、社会学の実証研究論文をそれぞれが読んで発表する形式をとります。この授業を通じて、どのような調査によってどんな研究が可能なのか、データや資料からどのように結論を導いていくのかといったことを学びます。2年次から受講します。
- 社会文化特殊講義(2〜3年次前期)
社会学の個別のテーマについて講義します。担当教員の専門分野に近いテーマを取り上げることもあります。
研究テーマ
学生が研究するテーマには特に制限を設けていません。社会学が対象とする領域は非常に広いので、これまで学生が選んできたテーマも様々です。「研究室」の「卒業論文・修士論文ライブラリ」で、どのような研究テーマの例があるのかを見ることができます。