教護院の学校化言説−−児童福祉法改正の焦点−−
現行児童福祉法制定以来50年が経過した現在,その見直しと改正についての動きがあります。その焦点のひとつに,教護院入所児童の「教育権の保障」問題があります。教護院は,非行のあった児童の健全育成を目的とした全寮制の児童福祉施設です。全寮制ゆえに生ずる,義務教育年齢にあたる子どもたちの学校教育からの隔離は,「教護院の“準ずる教育”」として,長いあいだの論争点となっています。
教護院における施設内「学習指導」の原理・方法が,文部省の「学習指導要領」にもとづいた学校教育制度にあっていない現状の当否が論争点になっていると言えます。法改正の焦点のひとつにはこの問題がふくまれていますが,児童福祉法はその保護の対象が「児童」であるために,この問題にかんする議論に児童が直接加わることはありません。いわば当事者ぬきの議論として,児童の受ける利益・不利益が議論されていることは否定できないと思います。
報告は,「聞き取り」資料からの分析を中心に,上記の問題を考察するものです。
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