第5章 まとめ

 最後に今までのまとめとして、第1章では地域おこしの歴史から始まり地域おこしの分類、地域間交流の流れを、第2章では山田村の概要やインターネット導入の経緯を説明した。第3章からは調査に入り、第4章において山田村の地域おこしが新しい地域間交流型の形として含めるべきことを明らかにした。しかし、山田村を新しい地域間交流型に含めるとしても、山田村の交流には問題がないわけではない。その代表として思いつくのが、交流の格差の問題である。つまり、山田村の交流において大きな位置を占めているふれあい祭は、第4章の結果からも分かるように、他の地域間交流にもみられるような一部の者が盛り上がっている偏った地域間交流になっているのである。とはいえ、山田村の場合、いつでもインターネットによって交流に参加する機会が与えられているわけで、今はまだ村民全員に理解されていない面が多々あるとしても、村民、特にこうりゃく隊と学生の熱意によって、また、将来村を背負ってたつ若者の理解によって少しずつではあるが交流が深まっていくのではないかと期待している。けれども、参加者だけが盛り上がって、参加していない村民への配慮を忘れたり、学生が村を荒らすだけあらして帰るようなマイナスイメージを残していっては、この交流は続かない。幸い山田村は、平成10年11月10日、11日の「全国過疎問題シンポジウム」において、過疎地域活性化優良自治体(注3)として国土庁長官賞を受賞した。山田村は、平成5年にも同シンポジウムで過疎地域活性化連盟会長賞を受賞しているのだが、この時は、スキーと温泉、イべント、友好都市提携等、年間を通して活発な交流活動を展開しているとして表彰された。そして、今回の受賞は、山田村が情報化による地域おこしを進めるなかで、学生などのボランティアや支援グループとの交流によって、村の様々な方面の活性化やイベントの創出につながり、地域の活性化に極めて大きな効果があったこと。また、スキーといで湯の里という場所に安住せずに、電脳村というユニークな構想にいち早く挑戦した点もさることながら、情報化をきっかけとした住民間の相互扶助や、村外からのボランティアの活動などの様々な交流の目が大きく育ったことにより、地域が活性化され、若者が村に誇りと愛着を持ち、高齢者も情報化を通じて新たな生きがいを見つけることができたことなどが高く評価され、今回の受賞となった。このように、山田村の地域おこしは評価を受けるまでに成長しており、村民や学生がこの交流を誇りに思い、今後もこの交流が続いていくことを望んでいるなら、村の更なる活性化につながるだろうし、この地域間交流も全国的に定着していく可能性があるのではないかと考えている。


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