第1章 問題関心
グリーン・ツーリズムは、従来の手法とは異なる農村政策のひとつとして注目され、日本に持ち込まれた観光のあり方のひとつである。富山県でも2003年3月の県議会で「都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例」が可決され、重点地域の指定やグリーン・ツーリズム研究会の開催など、県としてグリーン・ツーリズムが展開・支援されることとなった。
ライフスタイルの変化や都市住民のニーズなど、国民の自然体験や農作業体験への潜在的な関心は高いといえ、グリーン・ツーリズムがテレビやラジオなどのメディアに取り上げられることも多い。しかし、グリーン・ツーリズムが発祥したヨーロッパと日本では、農村環境や社会制度といったグリーン・ツーリズムの背景となる条件が大きく違う。そのため、ヨーロッパで行われているグリーン・ツーリズムと、現在日本で行われているグリーン・ツーリズムは、内容が異なっていると考えられる。では、現在の富山で実際に行われているグリーン・ツーリズムはどんなものなのか。富山県内のグリーン・ツーリズムを調査し、それらを分析することで実態を明らかにしたい。