1章 問題関心                            

 

人生に恋愛は必要か。恋愛を人生の中でどれだけ重要視するかは、きっと人それぞれであると思うが、恋愛をしない人生を過ごす人はおそらくいないのではないだろうか。ドラマや音楽、漫画なども恋愛をテーマに作られたものが数多く輩出されているがこれも恋愛が人間にとって重要であり、興味をそそられるものであるからに違いない。そして恋愛には様々な形や展開があり、人生の大きな機転になることも数多くあるだろう。しかし、恋愛の延長にあるものが結婚であるという考えは人によって違うと思うことがよくある。友達のカップルを見ていても将来を見込んで私ぐらいの年齢から計画的にお互いの進路について相談しあうカップルもいれば、まだまだ結婚は先と割り切って現状を楽しんでいるといったようなカップルもいる。「結婚」という言葉など私の日常からかけ離れた,現実感のないものに感じていた。いつかは結婚したいと思っていても,私にとって,結婚はまだまだ遠いドラマのワンシーンを思うようなくらいのものでしかなかった。

しかし、大学4年生になって自分の進路を考えたとき、将来の自分というものを具体的に考えるようになった。就職先やその場所、さらに結婚なども少しではあるが視野に入れるようになった。就職活動の時期によく友達との話題に上ったのが、自分と恋人の就職場所についてだった。幸い、私は交際相手と同県の出身だったため、就職後も今の状態で交際を続けていくことは可能だった。しかし、私の友達では大学卒業後の二人の交際ついて、何かの選択をしなければいけないカップルが大勢いた。それはつまり、大学を卒業することで離れ離れになる可能性があるということである。このような状況において彼らはどのような選択をするのだろうか。将来とは関係のない学生時代の恋愛と割りきって、恋愛を謳歌するだけなのか、それとも結婚についてお互いが多少なりとも意識し、将来を考えた土地での就職先を選んでいくのか。現代の若者の恋愛とはどれほど真剣なものなのだろうか、また進路選択において恋愛がどれほど影響を与えるものなのだろうか。

また日本の未婚化・晩婚化は進む一方で,それに伴って引き起こされる少子化問題についても様々な議論がなされている。そしてそれは特に女性について多く言われている。 しかし、未婚女性が結婚をしたくないと思っているわけでは決してないと私は感じていた。それなのにこれほど未婚化、晩婚化が進むのはなぜか。将来を担っていく若者の結婚願望は本当に低くなっているのだろうか。

本稿では,先行研究から過去に言及されてきた未婚化・晩婚化の要因として、「恋愛の変化」が関係しているといえるのかをまず確認しておきたい。そして大学生を対象とした意識調査から、現代の大学生が恋愛や結婚についてどのような意識を持っているかを知りたい。そして、実際に進路選択を迫られた大学4年生という特別な時期において彼女たちの進路に恋愛がどのように影響するのか、またはしないのかをインタビュー調査によって明らかにしていきたいと思う。ここから若者の進路において恋愛がどのように位置づけられているかを探り、さらに現代の晩婚化の要因について垣間見ることができれば幸いである。