第3章 インタビュー報告                          

 

 2章、第2節の意識調査は、「恋愛と結婚の分離」が広がり、若者の間でも恋愛と結婚が必ずしも一致しないという考え方が広がっていることを示している。これに基づき、本章では、現在、大学4年生の女性7人にインタビューを行った。大学4年生は、就職活動など自らの進路選択をする時期であり、今いる恋人との関係においても何らかの決断を迫られる時期ともいえる。そこで今回のインタビュイーは、就職活動(進学を含む)時期に恋人がおり、就職先や恋人との今後の関係について何らかの決断をしなければならない人を対象者とした。このような対象者を選ぶことにより、彼女たちの進路選択における恋愛の位置づけを探りたいと思う。

 

インタビュー内容

1.異性の選択条件

・恋人になる時点で、相手の出身地や家の続柄(長男、次男など)を意識していたか。

・恋人にする相手の条件や結婚する相手の条件の違いはあるのか。

 

2.過去の恋愛経験

・過去の恋愛について、結婚を意識したことはあったのか。(恋愛と結婚を結び付けやすい方か。)

 

3.就職活動場所の選択の仕方

・就職する場所を決定するとき、重視したことは何か。

・就職について恋人と話し合いをしたり、影響したことはあったのか。

 

4.迷いや戸惑い葛藤

・これまでのような恋人との関係が変わることについての不安はあったのか。

・自分の進路選択についての不安や悩みなど。

 

5.恋愛と結婚についての考え方

・恋愛と結婚は別と考えるか。

・将来の結婚についての考えなど。

 

など大体の質問内容は以上のようなことであるが、一問一答形式という形ではなく、できるだけ相手にいろいろな話を聞きだすようなインタビューにした。

 

 

インタビュー報告

インタビュイーは全員で7名であり、すべて恋人がいる(Aさんを除く)22歳の女性で4年制大学に通う4年生である。インタビューは2007819日から20071018日の間に行い、FさんとGさん以外は11でインタビューを行った。(FさんGさんは合同で行った。)以下に、分析に必要な最低限の情報を提示することにする。以下に示す交際歴はすべてインタビュー時点でのものである。

 

Aさん 

愛知県の4年制大学に通う22

恋人:(Aさんと)他県出身の同大学4年生(インタビューの近日中に別れてしまったという。)

交際歴:約2年(途中2回別れたこともあった。) 

インタビュー場所:某喫茶店

 

<異性の選択条件>

今は別れてしまったという元恋人とは1年の冬に部活のマネージャーと部員として出会った。付き合うときに、彼の出身や家の続柄(長男)を気にしたことはなく、将来のことも考えてはいなかったという。恋人に関しては特に条件などはなく、結婚相手に関しては、多少仕事に関する条件があるようだったが、基本的には休みがあって、家族サービスもちゃんとしてくれる人ならよいということであった。

 

<過去の恋愛経験>

高校生のころと比べれば、恋人の選びかたは変わり、長く付き合えそうな人を選ぶようになったという。「なんか今更昔みたいなノリであの人カッコイイから彼氏にしてみたいとかは思わんげん。それは大学の2年までやと思う。せめて3年。4年は違うと思うよ。」というように、4年生から付き合うとなると環境の変化など将来のことを視野に入れなければならないから意識は変わるということであった。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

Aさんは就職活動でも自分のやりたい仕事がなかなか見つからず悩んでいたという。最終的に愛知県にある専門学校でデザインの勉強をすることにしたという。相手が愛知の人だったから最終的に愛知に決めたわけではなく、名古屋の方がチャンスがたくさんあったからということだった。就職活動時期は金沢に帰って来ようかも悩んでいたという。

その当時、恋人に就職場所について相談したところ、「俺が口出しできることじゃないから」と言われたという。

 

<迷いや葛藤>

 恋人から「口出しできることじゃないから」と言われたときは、「そりゃそうだよね」と思ったが寂しい気もしたという。「なんか金沢帰ることになっても、別に別れるわけじゃないやんとかいっとったん、向こうは。そんなん私はそれが納得できんくて、だって金沢に帰るってことは私はずっと金沢におりたいから、何でそんな気楽に考えれるん?みたいな。」と相手が遠距離になることを安易に考えすぎていると怒りも感じたようだった。普段から相手の言うことを否定したり、相手に意見を合わせる傾向があるという彼に対して不満をもっているようであった。しかし、「(何年後の約束でも)いってほしいよね、保証できんとかいらんから。」といい、相手からの意志があればもちろん名古屋に残ることも考えたし、結婚もしてもいいと思っていたと話していた。

しかし「でもなんか一方では彼氏がおるからって自分の行動を決めたくないって言うのはある。何で彼氏で人生が左右されないかんのやろーみたいな。っていうのもあるんやけど、なくなっとるよねそんな気持ちが、いつの間にか。何がしたいのかわからん、自分がないのかな。」と語り、自分の中で恋人の位置づけに葛藤していたことも分かる。

 

<恋愛と結婚についての考え>

 恋愛と結婚についての考えについて尋ねたところ、「なんか恋愛は、責任がない感じがする。相手がどうなろうが。結婚は責任もって付き合っていかんなん。それくらいかな。相手にたいして責任持つし向こうも気をつけてね?みたいな。」といい、恋愛と結婚に関する相手の条件というものはないが、責任という時点で違うと話した。結婚もタイミングだからと話していたAさんの中には「結婚したい」というより「結婚してもいい」と思える相手と恋愛したいと考えているように思った。このような発言からAさんが、恋愛と結婚を別として考えているという印象はなかった。

 

Bさん

富山県の4年制大学に通う22

恋人:(Bさんと)他県出身の同大学4年生

交際歴:約1年

インタビュー場所:Bさん宅

 

<異性の選択条件>

今の恋人とは、Bさんが相手を気に入り、知人に紹介してもらい交際することになったという。交際を始めたとき、相手の出身を聞いて漠然と遠いなと思ったという。しかしその条件を特に気にすることはなかった。恋人にする条件も特にないという。

 

<過去の恋愛経験>

 大学に入って交際するのは2人目だと話すBさんは、元恋人とは18ヶ月の交際期間だったという。結婚願望が人一倍強いBさんは中学や高校生の頃の交際でも結婚を夢見るようなことがあった。でも真剣に結婚について考えるようになったのはやはり大学に入ってからで、元恋人とも結婚ということについて考えたこともあったという。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

 就職活動を始めた時期はまだ交際を始めて7ヶ月だったということでこの先どうなるかも分からなかったから、自分から相手の県に合わせて就職したいとはいえなかったという。相手は長男で実家に戻ると話していたらしく、自分が合わせなければ離れ離れになることは確実であった。「私は(付き合った)期間は気にしないけどなんか付き合ってまだ7ヶ月で、彼女がむこう(相手の出身県)に行くのは重いんじゃないかってすごい私は考えた。彼が言ったわけじゃない。重いって思われるのがいやだったから「行っていい?」って話は何もせんかった。でも行きたいとは思っとったから、むこうで受けた会社は1個だけでそこは、受かれば行きたいなっておもっとったけど。むこう(彼)には彼がいるから受けたんじゃなくて出版の会社に行きたいから、色々視野を広げるために他の県の出版社もうけるんだという風にいった。」と話す。しかし、最終的に県内の就職が決まり、そこに決めたという。

 

<迷いや葛藤>

 まだ就職活動を始めた時期に、交際期間が短かったこともあって相手がこの先のことをどう思っているかも聞けず、相手からも自分の就職先についてきて欲しいということも言われなかったという。そのため、相手についていってこの先どうなるのか、という不安があり、最終的に彼についていくことはできなかったと話す。しかし彼から、自分についてきて欲しいといわれれば喜んでついていったし、その(相手のいる)県でしか就職することしか考えなかったらしい。そしてこれからの二人の交際について、「本当に将来の約束をしとってそれこそ遠距離をしとっても2年たったら迎えに来るよとか、を言ってくれとるんやったら、ある意味期間限定のやったら全然いいんやけど、この先どうなるか分からんのが・・。」と、遠距離恋愛が不安というよりも、相手がこの先の二人のことをどのように考えているのかに不安を抱いているようであった。

 

<恋愛と結婚の考え方について>

 Aさんと同様、Bさんの話しの中からも現在の恋愛と将来の結婚というものを分離して考えているという傾向は見られなかった。むしろ結婚願望の強いBさんは「私はできちゃった結婚賛成派なんやってね!そう、なんていうかこういうこというのあれなんやけど、例えば今とかでも、そうできちゃえばいいのにって時々思うよ普通に、そしたらもう絶対結婚できるやん。」とも語っていることから、きっかけが何であれ、早く結婚がしたいという意志があることを語った。

 

Cさん

石川県の4年制大学に通う22

恋人:(Cさんと)他県出身の同大学4年生

交際歴:約1年半

インタビュー場所:某喫茶店

 

<異性の選択条件>

 今の恋人は同じ大学の同じクラスの人だという。異性の選択条件では、恋人においては特になく、結婚相手につい「ちゃんと働いている人がいい。」というくらいであった。ただ結婚して相手の両親と同居するのは嫌だからできれば長男は嫌だが、恋人にする時点でそのようなことは考えないという。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

 就職活動については、自分の付きたい仕事がある場所を優先したという。また一人暮らしに憧れがあり、就職したらそうしようと考えていたらしい。Cさんの学校では、自分のやりたい仕事について教授に相談したり、進路指導をしてくれたりする学校だという。クラスの中にはカップルがなん組かいるらしいが、特に就職先を合わせたりすることはなく、離れ離れになることは多いということだった。就職場所についての二人の相談は、「もともと離れ離れになると思っていたから深刻にもならなかったし、それが当たり前という感じだった」と話す。

 

<迷いや葛藤>

 就職活動をしていた時期は、就職のことで頭がいっぱいで、二人の今後のことについて深刻になることはなかったが、今になってだんだん離れるんだなという実感がわいてきているという。ただ今でも、遠距離恋愛についての話を相手の方からされることはほとんどないらしい。結婚についての話も「私はするけど、あっちはまだそんなの考えれんみたいな。だから結婚の約束とかもできんみたいな。遠距離になるから自分的にはそうゆう目標があった方が、遠距離も続くなと思ってそうゆうけど、なんか全然それは考えれんみたいな。いつ結婚できるか分からんと思って続けとるのも・・いやだ。」と、Cさんは例え遠距離になっても、ずっと東京で暮らすつもりはなく、相手がいるところについていく意志はあるという。しかし相手から結婚という話が出ることはなく、むしろ結婚を目標として付き合ってるんじゃなくて今好きだから付き合っているだけと言われたと言う。このような発言にCさんは「男はー、恐いんかなと思って結婚とか。奥さんと子どもができたら養っていかんなんから、その勇気がないみたいな。」と男性にとっての結婚と女性にとっての結婚は重みが違うからではないかと話した。

 

<恋愛と結婚の考え方について>

 Cさんも付き合い始めの頃は、卒業したら別れるものだと思っていたけど、付き合ってから結婚ということも考え出したと話す。やはりBさん同様、今の恋人との結婚を多少なりとも意識していることから、現在の恋愛に対する真剣さもうかがえる。ただ、今は結婚よりも仕事を優先したいと話していたことから、今すぐ結婚したいというような結婚願望の強さは見られなかった。

 

Dさん

富山県の4年制大学に通う22

恋人:他県にいる会社員24

交際歴:約1年3ヶ月

インタビュー場所:喫茶店

 

<異性の選択条件>

 Dさんは、大学3年生の頃8月のあるイベントで今の恋人と出会ったという。

相手の選び方については、家の続柄は特に気にしないが、相手の出身地があまりにも遠かったり、全国展開の会社で転勤が多そうな人とは付き合いたくないという。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

就職に関しては Dさんの地元で働ける会社を中心に選んだという。就職活動について恋人に相談することはほとんどなかったという。当時は関係がうまくいっていなかったらしく、「そんな相談なんて意味ないと思った」と話す。たまたま相手と働く場所が同県になるとしてもそれは、恋人のために選んだわけではなく、あくまでも自分の意志で恋人は関係ないという。相手から就職の相談を求められることはあったらしいが、就職活動場所について要望されたりすることはなく、「そんな発言の可能性は0パーセントだよ」と笑って話していた。

 

<迷いや葛藤>

就職活動に関して、ほとんど恋人と相談するようなことはなかったと語るDさんでも、まわりの友達が恋人と就職活動に関して相談などをしているのを聞いて「うらやましいなって思ったかもそんときは。将来を見据えれるぐらいの深い関係なんだなっていう。」と話す。しかし、Dさんの相手は就職場所を相談できるような相手ではなかったと話す。「そういう話し合いをすることがあまりにも自分にとって負担過ぎたから、就職活動悩みが多すぎて、そん中にそんなことまでいわれたら本当に勘弁してよって感じで。」と、就職活動の悩みにプラスして、就職について恋人に相談するということも負担に思っていたようだ。

 

<恋愛と結婚についての考え方>

 現在の恋人との結婚は「今のとこないと思う」というDさんは結婚に関しての理想像があるらしい。今の恋人とは価値観が違いすぎるという。Dさんが結婚に関して一番重視しているのは家族を大事にできる人かどうかという点らしい。Dさんの家族はとても仲がよいらしく、Dさんも家族を大切に思っているという。しかしDさんの恋人はDさんが見る限り、大事にしようという気持ちが何もないと語る。将来自分もそのような立場に立たされると考えるだけでぞっとするし、家庭が違いすぎると話す。そしてDさんは相手と将来について話すこともほとんどないらしい。相手から持ちかけられることも同じく、ほぼないという。相手の気持ちについても「しばらく結婚とかするつもりなくて、付き合うって事に関しては取り合えず彼女って感じで、私とほぼおんなじで。(二人とも)同じ気持ちだと思う。ただ付き合ってる人って感じ。」と現在の恋人と限りのある関係だということを強調しているように思われた。ただ結婚の話をしたくないのか?と問うと「したくなーい、なんか傷つきそうだし。」とやや意味深な発言をしていた。何に傷つくのかは自分でも分からないと話す。

 

Eさん

富山県の4年制大学に通う22

恋人:同大学の出身で、現在は他県にいる会社員23

交際歴:約1年半

インタビュー場所:Eさん宅

 

<異性の選択条件>

 現在の恋人は同大学の出身で、Eさんが3年生で相手が4年生の春ごろに知り合ったという。相手の家の続柄などは特に気にせず、さらにDさんとは他県の出身だが、そんなことは関係なく、普通に好きだったから付き合ったと話す。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

 就職活動に関して恋人の影響はかなりあったという。二人は付き合った当初から就職に関しては同県にしたいねと話していたらしく、Eさんはもともとの自分の意志や、やりたい仕事があったからというのもあるが、相手が同県にいれば心強いだろうというのも一つの要素だったと話す。相手は年上のため、先に就職し、現在は離れ離れになったが、その約束があったため、就職活動場所は相手と同県に絞ってしていたと話す。

 

<迷いや葛藤>

 付き合いはじめから、お互い積極的に就職のことや将来について話していたというEさんだが、その頃のことを「一緒にいることをこれから先も疑ってないみたいな状態でいたから、なんかもう一緒に暮らせるんだって、一緒に暮らして仕事できるんだったら楽しいなって思って。」と少々安易に考えすぎていたと今は語る。Eさんの中では地元での就職も考えたらしいが、その約束があったため、相手からの期待も大きく、プレッシャーに感じていたという。相手と遠距離になって冷静に考えるようになったという今、将来についてや仕事についての不安のほうが大きいと話す。

 

<恋愛と結婚についての考え方>

 Eさんは恋人が近くにいるのといないのでは考えが変わったと話す。「大学生でやっぱ近くにいると、違うと思う。なんか近くにいたらしょっちゅう会えるし、会えばあうほど、なんかいいなあとか、一緒にいたいなとかなるけど。」「仕事の不安からもあるし、なんか一度離れて暮らしたら、ちょっとある程度冷静に考えるようになったっていうか、だから別に将来一緒になりたくないってわけじゃないけど、今はなんかよく考える時期だと思うんだよ。」と半同棲をしていた頃には見えなかった相手の生活の一面を垣間見たり、相手の仕事の大変さなどを実感すると、「結婚てそんな簡単じゃない。」と気づいたという。前は結婚にとても期待をしていたが今は結婚の話が恐いと話す。Eさんの恋人は結婚についてとても積極的らしいが、Eさんいわく、それも安易な考え方だという。経済的なことや家族の問題などEさんとの価値観の違いがあるという。だからといって結婚について真剣に考えられるとそれはそれで困るらしい。「今真剣に考えられたら余計ちょっと焦るかも。色々真剣に細かく考えられてたら、もう完全に結婚への道のりが出来上がるわけじゃん。あたしは今は好きだけど、まだ二人のこの先のことを考えてる時期だから、まだ理想では結婚してもいいかなみたいなこと言ってるけど、本当にこの人で大丈夫なんかな、とかいうことあるし、余計そんな細かく考えられたら、就活のときじゃないけど、結構期待されて、自分の選択肢を縮めてっちゃうかも。不安になるかも逆に。」「だから今はまだフランクに付き合ってたい。もうちょっと。」という言葉から、今は二人の将来というよりも自分の将来について考えている段階であり、まだ不安な要素が多いようだった。付き合い始めの頃に、結婚したいと強く思っていたのも「私も含めてそれは誰もが通る道なんだよね。でもそっから先に考えが行くかどうかって言うのは人それぞれだよね。誰でも考えるっしょ、これからどうなるのかなーとか。でももう結婚するなんて軽々しくいえないけどね!」と付き合い始めの頃との心境の変化を口にした。

 

Fさん

富山県の4年制大学に通う22

恋人:同大学の出身で、現在は他県にいる会社員23

交際歴:約1年3ヶ月

インタビュー場所:学食

 

<異性の選択条件>

 Fさんと今の恋人はサークルで知り合い、1年生の頃からよく遊ぶことがあったらしいが、その頃はお互いに別の相手がいたという。交際しだしたのはFさんが大学3年の夏ごろで、相手のことを以前から気に入っていたらしい。相手の家の続柄などは特に気にしないという。Fさんたちが交際しようと決めたときにはすでに、相手は就職が決まっており、他県だったため遠距離恋愛になることは覚悟で付き合うことにしたという。

 

<過去の恋愛経験>

 大学で付き合ったのは二人目だが、結婚について考えたりすることは現在の人が初めてだと話す。今まではゆくゆくはそうなるのかな?と思ったくらいで、真剣に考えたりしたことはなかったという。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

 Fさんは漠然と就職は地元ですると決めていたが、自分が何をしたいのかはなかなか決められなかったという。就職について悩んでいるとき、恋人にも相談したところ地元での就職が一番いいといってくれたという。ただ、将来自分との将来的なことも考えて欲しいといわれ、最終的に全国展開で相手のいる県にも転勤が可能な会社を選んだ。

 

<迷いや葛藤>

Fさんはもともと就職は地元でと決めていたため、恋人と付き合ってからは本当にそれでいいのかと悩んだりしたという。「私ももちろんそれは頭に入れてあの人のことも考えた上で、どっちが大きかったかって言われたら難しい、恋愛か自分かって。私は自分のしたいことを優先したんじゃなくて、本来そういうものがなかったから、けど地元で就職しようっていうのが念頭にあったから。やっぱ自分のことすごい考えとったからね。」「私にとって地元に就職するのがたぶん安全だっていうのが、周りからの意見もあったし、私もおもっとったから多分そうしたんやと思う。目に見えてわかっとったぶん、自分の安全なほうにいったんかなあって言うのはある。」と、恋人との将来を考えつつも自分の将来の不安な方が大きく、今は距離をとることを選んだと話す。ただFさんたちが他の人と違うのは、今は遠距離恋愛をとてもポジティブに考えているようであった。相手は関東に就職したが、今でも月に2回は会っているという。「相手も信じれる人だったし、遠距離もできるなって思ったから、地元に決めたんかも。」と二人の関係に遠距離は関係ないようだった。今はまだFさんが学生で自由な時間も多いが、Fさんも来年になれば仕事でまた環境が変わると思われる。「でもそれを乗り越えていけたら本当にすごいと思うから、そこが関門だね。」と明るく話していた。

 

<恋愛と結婚についての考え方>

 Fさんは、現在の恋人とは付き合い始めから結婚の話はしていたという。最初はそんなの早いと感じたらしいが、考え方はだんだん変わってきたらしい。「今は遠距離やから結婚を目標にしないと気持ち的に続いていかんかな」と話す。「結婚するためにも、早く仕事できるようになって、25,6歳には結婚したいなー早いよね〜でも気持ち的には!」と語る姿勢は明るく、今の恋人との交際の真剣さが伝わる。遠距離だからこそ、将来の話を現実的に考えるし話せるんじゃないかと、遠距離恋愛は二人の将来の意志を確かめ合う、いいきっかけを与えてくれたようである。

 

Gさん

富山県の4年制大学に通う22

恋人:同大学4年生

交際歴:約3年半

インタビュー場所:学食(Fさんと合同)

 

<異性の選択条件>

 Gさんと現在の恋人は入学したての頃からの付き合いで、交際歴は3年半になる。サークルで知り合い、Gさんが一目ぼれして声をかけたという。基本的に一目ぼれ系なので、出会った頃が大学のはじめということもあるのか、相手の家の続柄や出身などは全く気にしなかった。ただ結婚に関しては、婿養子、健康で、出世できる人がいい、といくつか条件があるようだった。

 

<就職活動場所の選択の仕方>

 就職については、自分のやりたいことを優先したという。相手に相談もしたらしいが「自分がいいと思ったところでいいんじゃない?」と仕事に関しては何もいわれなかったという。二人は就職先を合わせるようなことはぜず、お互い別々の県での就職先が決まった。恋に振り回されて自分の就職先を決めるのは嫌という思いがあったらしく、口出しはされたくなかったと語る。Gさんは三女であるが、姉二人がもう嫁いでしまったらしく自分が地元に残り、家を継ぐのだという使命感が強いようだった。

 

<迷いや葛藤>

 相手は「結婚したら嫁に来て欲しいと思っているタイプだから結婚はないね!」と語るGさんだが、相手との将来を現実的に考えているようでもあった。「帰りも遅いし、土日休みたいんに私のために会いにいきたいとか、そんなんやったら近場の女捜すかなって思うし、連絡もとれんくて、連絡ないまま飲みにいったりとかして、そんなんやったらすっごい苦しいと思うってっていうのもあって。」Fさんカップルがうらやましいとは思うが、実際就職や将来について言われても困ったという。「働いてもない基盤もない状態で、無責任なことはいえんて。やっぱ昔の若い恋愛って結婚しようねって何にもないただの口約束でそんときは幸せやったかもしれんけど、今はリアルに現実的に考えなんから、この年だから適当なこといえんて言うのはある。私も確かに、納得できるし、いわれたあとでやっぱあんときああ言ったんに何で別れたんみたいな感じで言うの嫌やし。」と、相手と将来についての考え方は似ているらしい。好きだから就職先を相手に合わせるという考えはGさん的には安易な考えで、就職先に関して迷いはなかったようだった。

 

<恋愛と結婚についての考え方>

Gさんはこれまでの恋愛でも、付き合いたての頃は結婚願望をもつらしいが、いつも夢どまりだと話す。Gさんは現実主義のようで相手も自分も責任が持てないうちはそんなことを話す意味がないと思っているようだ。将来を考えていないわけではないし、相手との将来を想像したりするのは好きらしいが、それはあくまで理想らしい。「家庭環境も考えるし、カッコイイからとかで付き合う年齢じゃないよね。もう無理できんから恋愛には。口先だけじゃ信用できないよね。」と語るGさんだが、恋愛については積極的で、「でも、今はまだいろんな人見たいって思う。もっと恋愛経験をつみたいって思う。」という。しかしその半面「惚れっぽいけど、私は考える。今の彼を失ったらどんなに辛いか分かる。」とも話す。彼との交際は真剣ではあるが、結婚はまだ先の話という考えが彼女の中にあるように見える。できちゃった婚についても否定的で「絶対ありえない、かわいそうだけど産めないだろう。」と話す。Gさんのインタビューの中の「でも今は前に進むしかなくて、結婚なんてリアルじゃないし、ただやってみんとわからんし、でも別れたくないし、もうなんも今は無視しようってかんじだよね。」というセリフは正直で、彼女の現在の素直な気持ちを表しているように思えた。