第3章 「ヤングジョブとやま」の概要
第2章で、フリーターやニート、ひきこもりを支援する、さまざまな機関について考察した。
本章では、それらの機関のうち、ジョブカフェに注目し、その概要について触れている。
ジョブカフェは平成15年に内閣府、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の1府3省合同で策定された「若者自立・挑戦プラン」の事業の一環として、平成16年より全国に広がっていった。
その流れの中で、富山県でも平成16年7月1日に、(財)富山勤労総合福祉センターが運営する「ヤングジョブとやま」が発足した。
ヤングジョブには「ハローワーク富山若年者職業センター」が併設されており、インターネットによる求人情報の検索や職業相談、職業紹介のサービスを受けられるが、ヤングジョブではそういった具体的な職探し加え、ジョブカフェとしてさまざまな支援事業を展開している。
ヤングジョブの最大の特長は、キャリアカウンセラー、産業カウンセラーの資格を持った職員から、キャリアカウンセリングが受けられることである。自己理解や職業理解を図りたい人や、転職を考えている人はもちろん、「就職活動のしかたがわからない」「やりたいことがわからない」といった相談から、「フリーター・ニートから卒業したい」という悩みまで、幅広い範囲の相談を受け付けている。
また、カウンセリング以外にも、適職診断やさまざまな就職支援セミナー、合同企業説明会の開催などのサービスを提供している。就職支援セミナーの内容に関しては、いずれも定員制で「面接トレーニング(基礎編、実践編)」、「コミュニケーショントレーニング」「ライフキャリアと自己分析」「就活塾(学生向け)」「就業中の若者の職場の悩み相談会」などが実施されている。
さらに、平成18年8月1日に、厚生労働省の運営により、ヤングジョブと併設で「富山県若者サポートステーション」(以下サポステ)が開設された。これは、15歳から34歳までのニート・ひきこもりなどの若者とその家族を対象に、彼らが抱える「最初の一歩を踏み出せない」現状を支援している。
サポステはヤングジョブに比べ、より「働きたいけど働けない」若者に重きを置いた支援活動を行っている。
具体的な事業としては、キャリアカウンセラーによるカウンセリング(特にその必要があると判断された場合には、臨床心理士への相談を受けられる)、「親の悩み相談会」、高岡、魚津への出張相談、ボランティア活動や職場体験の機会の提供などを行っている。また、利用者個人の状況に応じて、各種支援団体への斡旋や紹介も行っている。
その他には、社会に出る準備としての基礎訓練を施し、自力での就職活動への移行を支援する「勤トレ」や、ニートやひきこもり、またはその親などを対象とした、「親・ぼく・会」という名の交流会、「ニートから脱出するための支援セミナー」の運営を実施している。この3つの事業については、第4章で詳しく述べている。
サポステは今日まで若者に対し、さまざまなサポートを施した実績があるが、元々は厚生労働省によって2年という運営期間を定められている。そのため、当初の予定通りならば、平成20年の7月末をもって閉鎖することになる。
しかし、実際に閉鎖してしまうと、これまで支援を受けてきた若者が拠りどころを失ってしまうため、現実には閉鎖は考えにくい状況にある。
現在はサポステ側が支援策の実績を見極めている段階だが、運営の母体である厚生労働省がどのような判断材料をもって存続の可否を決めるのかは、サポステの関係者によるとよくわからないらしい。
もし仮に、サポステが当初定められた2年の期間の通りに閉鎖することになれば、支援を受けていた若者たちを、どこか別の支援機関に引き継ぐ必要がある。
本章の最後に、サポステ、ヤングジョブがそれぞれ昨秋から始めた就業支援プログラムについての紹介をする。
サポステは平成19年9月に、「アタック4(フォー)」という就業支援コースを開始した。これは、勤トレを修了して就職活動の段階に移行した人を対象に、サポステの職員のサポートの下、4週間区切りで就職活動に挑むという内容である。その流れは、4週間以内に必ず1社、面接や職場実習などの形で企業に応募し、良い結果が得られなかったら、次の4週間でまた1社に応募する、というものである。参加できる期限は決まっていないため、本人が納得できるまでアタック4を試みることができる。
12月20日現在で、アタック4に参加した人のうち、3人がアルバイトという形で職に就いている。
ヤングジョブは平成19年11月5日から平成20年3月14日までの期間限定で、「再チャレンジ学習支援」という就業訓練プログラムを実施している。これは、ヤングジョブが協力を依頼した6つの職場で就業体験を行い、参加者が職業経験と就業意欲を養うことを目的としている。1つの職場につき、2週間の訓練期間を設けている。
再チャレンジ学習支援の存在は、インターネットやチラシなどの表立った形では告知していない。勤トレの参加者や、カウンセリングを受けた人などの中から、再チャレンジ学習支援での訓練が適していると思われる人を選んで、カウンセラーなどが彼らに再チャレンジ学習支援の存在を告知し、面談を通して、参加者を募っている。