第3節 現代女性の生き方〜OL留学ブームの深層〜

 

 日本において英会話産業は今や世界最大の市場であると言われており、さらにその消費者の殆どは女性と言われている。女性が英会話産業を支えていると言っても過言ではない程、「英会話ブーム」の担い手ともいえる存在なのである。また、OLが仕事を辞めて海外留学をすることが主流となってきたのは1980年代以降のことである。確かに、女性は男性に比べて英語が好きな割合も高く、日本女性の英会話に対する没頭ぶりは男性のそれを遥かに凌ぐものがある。

津田(2000)は英語と女性の生き方との関連性について、「やや極端な言い方をすれば、『自立した、開放的な、そして仕事のできる女』を目指す女性は、『英語好き』であることが多いようである。だから『英語が好き』というのは、単にことばの好みを超えて、その女性の生き方を示唆するものなのだろう」(津田 2000: 93)と述べていることから、英語好きな女性が目指す生き方には何らかの特徴があるようだ。津田(2000)によれば、英語好きな女性は“自立”や“開放的”といった生き方を好むらしいことが分かる。

少し前のところで、英語を武器に優れた能力とたゆまぬ努力で社会的な成功を収める“自立した”キャリアウーマンに対する“憧れ”を持っている女性も多いと述べたが、女性には“夢”と“幻想”は与えることはあっても、多くの女性にとって英会話学校に通うことは「社会的な成功=立身出世」を収めるための手段かというとそうではない場合が多い。実際に、英会話学校に通う女性の殆どはスキルアップとしての意味づけよりも、どちらかというと趣味、自己実現、生涯学習といった意味合いで捉えていることの方が多いように思われる。

ここでは、津田(1993)の日本女性の生き方に英語・留学への意識が深く関わっているという論述を参考にして、第1項では日本女性と英語・留学の関係について述べる。第2項では、英語好きな日本女性の行動と意識形態を通して3通りの生き方を選ぶ女性像(@)クリスタル感覚派、(A)モラトリアム探求派、(B)スーパーウーマン志向派について津田(1993)の論述を参考にしてまとめる。