第3項 マイペースに

 

このまま一生習い続けようというタイプ

・「それで終わりというのがないと思うし、長く通い続けることが大事(効果があること)」(30代女性会社員Cさん、Mさん、40代女性会社員Rさん)

・「辞めると“そこまでだ”と思うし、来るだけでもって感じのところがある」(40代女性会社員Rさん)

・「辞めようと思ったことはない」(20代女性会社員Oさん、40代女性会社員Rさん)

・「辞められないし、辞めたら絶対損する」(30代女性会社員Mさん)

英会話学校に通うこと自体が目的化しているケースもみられた。(特に30代女性会社員Mさん、40代女性会社員Rさんはその傾向がより強い)

        

このまま一生英語を学び続ける強い気持ちは見られないタイプ

 ・「英語に関して特に目標なし。楽しければいい」(20代女性会社員Uさん)

 このまま一生英語を学び続けるという強い気持ちは見られなかった。

 

インタビュイーの動機付けを見ていくうちに、英語を習うこと自体、「自己目的化」しているのではないかと考えるようになった。英会話に通うということ自体がインタビュイーの自信になり、英会話を続けていく動機付けとなっているのではないだろうか

英会話学校に通い始めて10年になるMさん(30代女性会社員)は「来ることでモチベーションを維持している」と語っており、「辞めたら絶対損する」とMさんは考えているようで、これからも「辞めずにゆっくりマイペースに単語の1つでもいいから」英語を学び続けていこうと語っている。

また、同じく英会話歴10年のRさん(40代女性団体職員)は「より上のレベルの資格を目指して達成したときの喜びは感じない」と語っており、「今さら進歩していないような感じもするし、自分にとっては通い続けることが一番だ」といい、Rさんは英会話学校で勉強すること自体、「生涯学習」と捉えている。

Rさんが他のインタビュイーとなぜ少しだけ違う感じがしたのかというと、少し語弊があるかもしれないが30歳を過ぎで英語に目覚めたという点である。Rさんが大学時代に突然英語が嫌いになったと話していたが、大学を卒業し実社会にでてから10年経って、30歳を過ぎたある日に「雑誌で30歳過ぎても英語を勉強して国連の仕事に就いたり、国際的な場で活躍している人々の特集記事を見て、英語ができると世界が拡がる、いろんなチャンス可能性が拡がるという、そういう感想を持った」と話してくれた。それから、「通訳を介さずに自分で全部理解できたらと思った」とも言っていた。「少しでも喋れれば、行っても行くところを選ぶなどして自分でも動ける」からだと、“旅行を楽しむためのツール”として英語を捉えている面もあるという。それに加えてRさんはもともと洋画を見るのが好きで、「英会話をはじめてみるのも“面白そう”という気持ちもどこかにあったのかもしれない」という。

 英語を使う職業に転じたいわけでもなく、より上のレベルを目指す喜びは感じないのだというが、一方で「成功物語は望まないが可能性はキープしたい」と考えているようで、「いざというときのため」という考えもどこかにあるようだ。

Rさんにとっては「生涯学習」としての捉え方がなされている。英語を特技として持ちたいわけではなく、仕事をやっていく上で必要性に迫られているわけでもない。Rさんは「ここまでやればOKみたいな感じがしない」と語っているように、英会話学校に通い続けることがRさんにとって一番良いことだと考えている。Rさんは英語を使う職業に転じたいわけでもなく、より上のレベルを目指す喜びは感じないのだというが、一方で「成功物語は望まないが可能性はキープしたい」と考えているようで、「いざというときのため」という言葉がとても印象に残ったことを覚えている。

 他に、「マイペースに少しずつやっていこうかな」と語るUさん(20代女性会社員)は「英語に関して特に目標なし。楽しければいい」そうで、かといってこのまま一生英語を学び続けるという強い気持ちも見られなかった。Uさんの場合は、ほぼ“生涯学習”の意味合いが強いMさんやRさんとも異なる。