4.マンガ経験とマンガのイメージ
4−1 各年代におけるマンガ経験の傾向
マンガ経験とマンガのイメージの関係を表すために、まず前提条件として各年代におけるマンガ経験を明らかにする必要がある。そこで、ここでは各年代におけるマンガ経験の違いを表やグラフを使って表わそうと思う。
使用する設問
問15であるが、分析に適したかたちに変数の加工を行った。マンガへの関わり方の積極性という観点から大きく3つのグループに分ける事にした。最も積極的にマンガに接していたグループとして(1)「買って読んだ」グループ、消極的にマンガに接していたグループとして、(2)「立ち読み程度」のグループ、ほとんどマンガに接触しなかったグループとして(3)「読まなかった」グループである。それぞれのグループの実際は、(1)が問15の(a)の1と2に回答した人、(2)が問15の(a)の3から6に回答した人で1と2に回答していない人、(3)が問15の(a)の7に回答した人である(以後この加工したデータを問15nとする)。
同様に問17であるが、分析に適したかたちに変数の加工を行った。マンガへの関わり方の積極性という観点から大きく3つのグループに分ける事にした。最も積極的にマンガに接しているグループとして(1)「買って読む」グループ、消極的にマンガに接しているグループとして、(2)「立ち読み程度」のグループ、ほとんどマンガに接触しないグループとして(3)「読まない」グループである。それぞれのグループの実際は、(1)が問17の(a)の1と2に回答した人、(2)が問17の(a)の3から6に回答した人で1と2に回答していない人、(3)が問17の(a)の7に回答した人である(以後この加工したデータを問17nとする)。
問15nと問30のクロス集計
(表4-1-1)各年代における12〜13歳の頃のマンガ経験
度数(%) | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | 合計 |
買って読んでいた | 25(78.1) | 30(57.7) | 30(57.7) | 15(35.7) | 9(25.0) | 109 |
立ち読み程度だった | 1(3.1) | 5(9.6) | 12(23.1) | 13(31.0) | 10(27.8) | 41 |
読まなかった | 6(18.8) | 17(32.7) | 10(19.2) | 14(33.3) | 17(47.2) | 64 |
合計 | 32 | 52 | 52 | 42 | 36 | 214 |

買って読んだ割合は、年代が上がるにつれてだんだん低くなっていくのだが、反対に、立ち読み程度だった割合はだんだんと高くなっていき、50代が31%とトップになっている。また、30代が20代、40代と比べて割合が低いことが分かる。しかし、全体的にみて、年代が高くなるにつれてマンガ経験が低くなっていることが分かる。
問16と問30のクロス集計
(表4-1-2)各年代における今と昔のマンガへの接し方
度数(%) | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | 合計 |
子供の頃も今も読んでいない | 3(9.7) | 8(15.1) | 2(3.8) | 8(20.5) | 18(50.0) | 39 |
子供の頃の方が今よりも読んでいた | 18(58.1) | 33(62.3) | 41(77.4) | 29(74.4) | 16(44.4) | 137 |
子供の頃も今も同じくらい読んでいる | 6(19.4) | 5(9.4) | 3(5.7) | 1(2.6) | 2(5.6) | 7 |
今の方が子供の頃よりも読んでいる | 4(12.9) | 7(13.2) | 7(13.2) | 1(2.6) | 0(0) | 19 |
合計 | 31 | 53 | 53 | 39 | 36 | 212 |

マンガを今も昔も読んでいない割合は、60代が最も高く、40代が最も低いことが分かる。また、今より子どもの頃の方が読んでいた割合は、40代、50代が最も高い。子どもの頃も今も読んでいる割合、子どもの頃より今の方が読んでいる割合は、年代が高くなるにつれて、低くなっている。全体的にみて、40代が最もマンガ経験があり、後は年代が高くなるにつれてマンガ経験が乏しくなっている。
問17nと問30のクロス集計
(表4-1-3)各年代における現在のマンガへの接し方
度数(%) | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | 合計 |
買って読む | 13(41.9) | 13(24.5) | 12(22.6) | 1(2.4) | 4(11.8) | 43 |
立ち読み程度に読む | 11(35.5) | 24(45.3) | 28(52.8) | 25(59.5) | 10(29.4) | 98 |
読まない | 7(22.6) | 16(30.2) | 13(24.5) | 16(38.1) | 20(58.8) | 72 |
合計 | 31 | 53 | 53 | 42 | 34 | 213 |

買って読む割合は、年代が高くなるにつれて低くなっていくが、60代以上で少しだけ高くなっている。立ち読み程度の割合は、50代までは、年代が高くなるにつれ高くなっている。全体的にみて、マンガ経験は年代が高くなるにつれて乏しくなっている。
全体のまとめ
全体的にみて言えることは、年代が高くなるにつれてマンガ経験は乏しくなっている。しかし、「今のマンガの接し方」において60代以上の「買って読む」が意外に多いのは、推論になるが会社を退職して余暇が増えたからなのかもしれない。また、40代でマンガ経験が高くなるのは、もしかしたら、手塚治虫全盛期の影響かもしれない。
担当:上林万里子
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