さて、私は英米言語文化コースの学生。そんな私が、ホームページをつくるにあたって思いついた事、シェイクスピアをもっと身近に感じたい!私自身、そして友達にも、もっと気軽に読むようになりたい。私が今まで読んだシェイクスピアの作品を、読む人の興味を注ぐように、わかりやすく紹介したいと思います。(実はあんまり歴史とかに通じてないので、単なる読み物としてしか解釈できない…。でもいつかは?!)独断と偏見により、ノブコの選ぶ、名作!得意分野は厚めにおとどけします!読む気はないけど、粗筋ぐらいは知っておきたい人も、大歓迎さっっ!!!
私は基本的に、イギリス文学というとシェイクスピアです。シェイクスピアの人気がこんなに高いのは、イギリス本国と日本だけとか。なにゆえ?さぁ、ねえ?他に知ってるのは、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』とか、ブロンテ姉妹(シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』とエミリー・ブロンテ『嵐が丘』)くらい?本屋さんで見る海外作品って、案外イギリス作家のが少ない気がするよねー。ドイツとか、フランス、最近のミステリーとかじゃ、アメリカの作家ばっかり。でも、せっかくこうして本が読める時代にいるんだから、ありがたく読みたいよね!ただし、シェイクスピア作品は戯曲なので、慣れるまで読みにくいかも。でもはまればすごく楽しく読める事請け合い!
彼については、ホントに書くこと多し。というか、私自身がすごく好き。幼い頃から身の回りに彼の本があったものだから…。要するに親が好きだったんだね。…この人って、よく実在の人物かどうか分からないっていわれてるんだ。でも今はどうやら存在していた説のが有力だって。そんな事は私にとってはどうでもいい事なんだよなァ。ここに名作があるんだからさ。
『ロミオとジュリエット』
舞台はヴェローナ(今のヴェニス)。その地の2大名家というのが、ロミオのモンタギュー家とジュリエットのキャピュレット家。二人は反目する家系にもかかわらず恋に落ちる。ところがロミオはジュリエットの従兄弟ティボルトといさかいを起こし、不運にも彼を殺してしまう。互いの家の憎しみはさらに深まりロミオは身を隠さなければならなくなった。ところがその間に、ジュリエットにはパリスという男との結婚話が持ちあがる。ジュリエットは結婚を誓ったロミオを裏切るわけにはいかないので、仮死状態になる薬を買い、それでロミオが戻るまで墓の下に潜むという計画を立てた。そして周到にロミオにその節を書いた手紙を送ったのだが…。ロミオはというと、ジュリエットの死の知らせを聞いて飛ぶように帰ってくる。不運にもジュリエットの手紙は届かなかったようだ。ロミオは毒薬を買い、ジュリエットの墓をあけ、まだ美しい彼女の死体のそばで死のうと、その薬を飲む。その後すぐ、ジュリエットは目を開け、ロミオが死んでしまっているのに気づく。ロミオを追っていた人々が近づいてくるのを聞きつけて、ジュリエットはロミオの短剣で胸を貫いて、ロミオのあとを追うように死んだ。
…はい、なんて悲しいお話なんでしょう。私は、自分一人で読んでたら、ボロボロ涙こぼしながら読むんだけど、紹介するのにそんな事出来ないしね。正直、この話と、次に紹介する『ハムレット』はあんまり好きじゃない。なんか、あんまりにもきれいなお話過ぎてさ。なんか鼻につくっていうか…。
『ロミオとジュリエット』で有名なのが、この最期の二人のすれ違い自殺シーンでしょうね。「ホントに運命って皮肉」って思う瞬間。でもこの後、遅すぎるんだけど両家は仲直りしたんだとか。またまた皮肉ね。他に有名なシーンがジュリエットの独白。ロミオがいるのに気づかないで、彼への思いをペラペラしゃべっちゃうシーン。さすが劇だけあって、長い長い独り言です。(笑)この話は有名だし、飽きてきてしまうから、そのジュリエットの独白を少し引用して終わりにしましょう。
「ああ、ロミオ様、ロミオ様!なぜロミオ様でいらっしゃいますの、あなたは?あなたのお父様をお父様でないといい、あなたの家名をお捨てになって!それともそれがお嫌なら、せめては私を愛すると、誓言していただきたいの。さすれば、私も今を限りキャピュレット家の名を捨ててみせますわ。(以下省略)」
長すぎ。でもこんな情熱的な恋って、今も昔も受けるんだよねぇ。永遠のテーマだね。
『オセロー』
舞台はまたもヴェニス、そしてキプロス島。ヴェニス公国に仕える高潔な騎士のムーア人オセローは、公国の元老院議員の娘、デズデモーナと結ばれる。そしてそのオセローの旗手であるイアーゴーが、策略でもって自分の地位を高めようと試みる。オセローの副官キャシオーの悪い噂を作り流す事で、まわりの人の運命を変えていくのである。イアーゴーは巧みにキャシオーとデズデモーナの間柄があやしいと臭わせ、オセローを嫉妬の渦に巻き込んでしまう。結局、オセローは、イアーゴーの嘘にだまされあまりの嫉妬に耐えられず、自分の無実の妻を殺してしまう。最終的にイアーゴーの悪行は、自分の手先であった人物の手紙や、デズデモーナの付き人のくちからばれてしまう。そして最期には何も残らない。
…この作品は、読んでもらうのが一番だと思うんだよなァ。なんてったって、こんな短い粗筋じゃ、イアーゴーがオセローを巧みに追いつめるシーンが伝わらないし。とにかくおもしろいのは、イアーゴー。私がシェイクスピアの書いた作品の中で、一番魅力的だと感じる人物!彼のあまりにもしたたかな行為は、人間の深層をえぐりだしたその姿以外の何物でもない。残虐で悪辣。私のお気に入りのシーンは、イアーゴーがオセローを嫉妬させようとしているのに、彼に向かって、また、小憎らしいセリフを言うんだわ!
「お気をつけなさい、将軍、嫉妬と言う奴に。こいつは緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、それをもてあそぶのです。」
イアーゴー自身が、緑の目の怪物になっているんではないのかな?深読みしすぎかな?でも、この嫉妬が「緑色の目の怪物」って、なんか分かるようでない?!
注)ムーア人というのは、北西アフリカの先住民ベルベル人だとか。でも中世になるまでに、イスラム教徒を指す言葉になっていったらしい。肌の色が浅黒かったらしいよ。それがまた、イアーゴーの気に食わないところでもあったんだね。
『ハムレット』
舞台はデンマーク。先王の父の亡霊がハムレットのもとに現れる。父は、自分の叔父である現王クローディアスと、母親ガートルードによる計略で殺されたと告げた。ハムレットは悩んだ末に復讐を思い立ったのだが、日々悶々として過ごす。以前愛していたオフィーリアという、宰相ポローニアスの娘にも見向きすらしなくなった。そしてある日、勘違いでポローニアスを殺してしまう。その事で弱ったオフィーリアは自殺してしまいました。その後ハムレットは、どのような方法で、現王の罪を暴き出そうか迷った上で、クローディアスが先王にした殺し方、そのままを模した劇を催すことにした。そこで、ハムレットはクローディアスとガードルードの反応を確認する。ところが、クローディアスは普通の剣術の試合と思わせて、レイアーティーズというポローニアスの息子にハムレットを殺させようとする。レイアーティーズの剣には毒が塗ってあり、それでハムレットは致命的な傷を負う。が、いつのまにか剣が入れ替わり、ハムレットはレイアーティーズをそれで刺してしまう。そして、その時ガートルードも、クローディアスが毒を仕込んでおいたハムレットの飲み物に口をつけてしまい死んでしまう。ハムレットは、策略に気づき、自分の最期を知りながら毒の塗られた剣でクローディアスの胸を突き、父王の復讐を果たした。
…これも、私の苦手な作品。なんかハムレットがウジウジしてるのが腹立つ!とか言ってる場合ではないか。でもこの作品には、有名なセリフがありましたよね。
「生か、死か、それが疑問だ、どちらが男らしい生き方か、じっと身を伏せ、不法な運命の矢弾を耐え忍ぶのと、それとも剣をとって、押し寄せる苦難に立ち向かい、とどめを刺すまであとには引かぬのと、一体どちらが。」
あと、劇中劇と言う技法。演劇の中で、また演劇をするといった、不思議でおもしろい感覚をおぼえるよ。でもこれ読んで思うのが、オフィーリアって一体なんのためにいるんだろう?とかね。かわいそうだなー。
シェイクスピアの描く女の人って、面白いよね。なんか、オフィーリアみたいに超従順な娘がいたり、『ヴェニスの商人』のポーシャみたいに頭が切れる女性とか。あと、『じゃじゃ馬ならし』のカタリーナみたいなのとか。当時の社会とか文化ってあんまり女性にとっていいものじゃなかったと思うんだよね。だって、女役は男がやってたんだもん。え?てことは、ポーシャの女役をやる男の人は、ポーシャが男の弁護士を演じる時は、素で演じたのかなァ?なんか不思議で魅惑的だね。
『リア王』
舞台はブリテン。つまりイギリス。リア王には3人の娘がいました。ゴネリル、リーガン、そしてコーディリア。王は、自分の引退のときに、この娘達の愛情の深さの割合ごとに、王国を分け与えようとしました。上の二人は口先ばかりの世辞を言い、うまくとりいりましたが、末子のコーディリアは正直だったため、飾った言葉は何も言えず、王の逆鱗に触れてしまいました。ケント伯爵がその中を取り持とうとしたのですが、彼自身もリア王に追放されてしまいます。(しかし、後にケイアスという道化師としてリアのもとへ戻り、忠義を尽くします。)そして彼女はなにももらえなかったのですが、彼女の真意を知っているフランスの王は彼女を妻にしたいと申し出ました。リアはその後上の二人の娘の城を行ったり来たりすることになったのですが、双方とも、だんだんとリアを疎ましがるようになり、結局リアは、半狂乱になってしまうのでした。そして、その狂人と化したリアを見つけたケント伯爵(道化師ケイアス)は、リアをうまくドーバー海峡まで連れて、コーディリアのもとへと運びました。二人はそこでお互いを許しあい、幸せに暮せれば良かったのですが、また別の話、自分の成功にしか目がないグロスター伯爵という男が、ゴネリルやリーガンとともにフランスへと差し向けた軍隊が勝利してしまうのです。コーディリアは獄中で死に、その後を追うようにリアも死んでしまいました。
…なんとも悲しいお話です。リア王が哀れになりますね。ばかげた事が、こんな大惨事になるなんて、誰が思うかねぇ。さすがシェイクスピアってか。孝心というものは、この世では成就しないものなんでしょうか。あ〜、なんか暗くなってしまう。この作品でおもしろいのは、リア王と娘3人の話のほかに、グロスター伯爵を根っこにした、もう一つのお話があるところです。粗筋じゃ書ききれなかったのですが、それがあるからまたおもしろい作品なんで、おすすめ。
なんだか悲劇ばっかり扱ってしまったので、暗いページになってしまったかも。でも私は決して、シェイクスピアが悲劇にのみ優れているとは思ってません。喜劇にもおもしろいのがたっくさんあるし。最期に、他の喜劇や歴史劇の紹介と、シェイクスピア自身の話をして終わりにします。
歴史劇
『ジョン王』『ヘンリー8世』『ヘンリー6世』『リチャード3世』など。
喜劇
『間違いの喜劇』『じゃじゃ馬ならし』『ヴェローナの二紳士』『夏の夜の夢』『空騒ぎ』『お気に召すまま』など
(他に暗い喜劇と呼ばれるものに『尺には尺を』とか『終わりよければすべてよし』などがある。)
ローマ史劇(悲劇かな?)
『ジュリアス・シーザー』『アントニーとクレオパトラ』など
あと、ソネット集という詩集とかあるみたい。演劇の方はくわしくないのでごめんなさいだけど、でも映画は『空騒ぎ』とか、『ロミオとジュリエット』を観たよ。最近のでは『恋に落ちたシェイクスピア』も面白かったよね。当時の文化とか、良く分かったし。
最後にシェイクスピアについて。彼の作品全般に通じるものとして、私が感じるのは、彼は、どこか非常に冷たく、また熱い感じがする。どんなに悲しい話でも、その中には激しい言葉のぶつかり合いや、苦しみがあり、どんなにおもしろい喜劇でも、人を皮肉り嘲るような、そんな雰囲気でいっぱい。あと、エリザベス女王のもとで働いただけあって、なかなか王家に関する話がたくさん書かれてるよね。私は、当時の歴史や文化を学んで、もっともっと自分の興味を広げたいなって思ってます。