The Man of Mode

 

George Etherege の ‘The Man of Mode’を読みながら、関連する現代ロンドンの生活英語も学ぶ。

 

課題1(作品)

最初の献辞やプロローグは読み飛ばしてください。登場人物から丁寧に読んでください。適宜ヴァージニア大学のあらすじも参照してください。(ただし、ざっとあらすじを読んで、登場人物がごちゃごちゃしてよくわからない印象を持っても構いません。課題をこなした後、もう一度読めばよくわかります。)

 

さて最初はDorimantという女好きの主人公がラヴレターらしきものを作成しているところです。最初の二行はEdmund Wallと言う人の書いた“Of a War with Spain, and a Fight at Sea”という文章の書き出しです。Fanaticというのは非国教徒のことです。Royal Aidとかchurch dutiesというのは税金のことで、信仰がないのに税金だけ払わされる味気なさを言っています。気のないラヴレターを喩えています。女性がラヴレターを精読するのも当然で愛のうつろいを最初に見つけられるからといいます。’TwillはIt willのことI’ the right はIn the rightです。こうした省略は古いといえば古いのですが、イギリスでは文章語で教科書に出てきますから殆ど誰でも読める正書法です。現代英語の省略はもっとひどいのがあります。

 

さて、それから後はHandyという部屋係を呼びつけ外の様子を聞き、オレンジ売りの女性を呼びいれます。若い女性がtown(ことわりなしに言うときはロンドンのこと)に到着したといいます。Dorimantは興味を示します。Handsomeを女性に使うとしゃきっとした存在感のある魅力的な女性という意味になります。Dorimantはオレンジ売りの女性に桃を出させて食べ、そこへMedleyという男性がやってきて、Dorimantと男同士でキスをするのでオレンジ売りは嫌がってつばを吐きます。その後代金をDorimantが払わないというので言い争いになってゆきます。次の注を参考にスラング的表現が多くて読みにくいでしょうが、何とか雰囲気でもつかんでください。An angel: Gold coin, worth about ten shillings.  Fruz: Short, curled wig. Change: The New Exchange, a fashionable arcade of shops. A mask: A masked woman.  Canary: Wine from the Canary Islands; canary-bird was also slang for shore

 

さて、作品についての課題ですが、このあたりで桃とかフルーツは文学的にみてどんな効果をもたらしていますか。あるいは何かを象徴しているのでしょうか。冒頭でスペインの話が出てきますが何か関係があるでしょうか。個人的な感想でもかまいませんから述べてください。

 

課題1(生活)

現代のロンドンでも果物はスペイン産のものが多く、スーパーマーケットでは自分で計ってビニールの袋に入れてレジにもってゆくシステムです。(あらかじめ計ってくれているものもある)。次はロンドンのスーパーマーケット(Safewayという名の)に並んだメロンの(オレンジ、ピーチが見つからなかったので代わりに)表示です。

Large Galia Melon

A sweet melon with pale green flesh. Ripe when skin is yellow. Class I

DISPLAY UNTIL 21 JUL

BEST BEFORE 24 JUL

ORIGIN: SPAIN

PACKERS CODE: 8581/05

Store in a cool, dry place. Packed for Safeway, 6 Millington Road

Hayes UB3 4AY copyright Safeway 1998

この表示を見て、日本のスーパマーケットのメロンなど果物を並べるときの表示などと比べ、何か特徴的なものを感じないか、感想を述べてください。もし興味があれば英米と果物との関係をインターネットで調べてみてください。

 

課題2(作品)

Dorimantはオレンジ売りが噂として出した若い女性をここに連れてきたら代金を払うなどといいます。女性と母親はオレンジ売りの家に下宿しているが名前は言えないといいます。やがてMedleyがその女性も母親もよく知っているといいだし、すばらしい女性だといいます。ウィットもあるし慎み深さもあるといい、母親は娘を気遣って、訪ねてきた裁判官さえ娘をじろじろ見て挨拶のキスを念入りにした話などもします。The gentleman of the long robeは裁判官、弁護士などのことです。

 

作品についての課題ですが、ここでは集中的に若い一人の女性の魅力が語られます。それが、やがて18,9世紀のヨーロッパの小説の、しつこいくらいのヒロイン描写につながります。本人が登場する前にまわりで褒め称えるドラマとしての手法、褒める理由やその考え方の質について感想を述べ、論じたいことがあれば論じてください。

 

課題2(生活)

若い女性の魅力、容姿の描写があることに関連して、化粧などの英語を考えます。イギリスではwhitening(美白)などというのは人種差別になりますから使えません。だから案外表現は豊かとはいえません。次の英語はどのような化粧品の使い方を言っているか想像して説明してください。

 

Apply liberally to clean, towel-dried hair.  With nozzle 15-20cms from hair, press pump firmly with short quick strokes.  Style as desired.  Avoid spraying near eyes.

おしゃれについての英語をインターネットや身の回りの輸入化粧品についたものから集め、自分なりに、こうだと感じた特徴があれば論じてください(感想程度でもよい)。一見女性用の課題のようですが、男性も興味がある人はやってみてください。そもそも作品名‘The Man of Mode’は男性のおしゃれに関係があることですから。

 

課題3(作品)

オレンジ売りには代金を払ってお引き取り願い、話題はDorimantが書きかけていたラヴレターのことになります。Dorimantが娼婦(vizardは masked woman の意味でしばしばwhoreを意味します)と芝居に行ったことを勘付かれたMrs.Loveit宛のもの(Medleyが朗読)です。女性を捨てたいDorimantは、捨てるときに騒ぎが起ることすら楽しむような、性質の悪い女好きですが、さらに、その娼婦が考案した悪巧みをする話などをMedleyとします。その後靴屋がやってきます。靴屋は学があって人生論をにじませたことを言うやりとりをします。屈折した表現が多いので読みにくいですが次の語の説明を参考に雰囲気だけでもつかんでください。Piss aller は小便をかけるというフランス語で最後の手段もしくは最後通告のこと。 a fit o’ the motherは hysteriaのこと。母親的要素が人の中で多くなってヒステリーが起ると考えられていた。 I’ll uncaseは Strip you of your liveryの意味。 ‘Zbudというのは God’s bloodの省略を音だけ表現したもので間投詞です。おや、とか、まあ、の意味。 Engrossは monopolize。 Commentariesにはラヴレターの中身のような軽いことから treatiseとか satiric commentととか重いものもあります。シーザーのような論文といって軽薄なラヴレターをからかっています。 truth is in ale as in historyという諺があります。Dorimantは知らないようです。Soakは drinkのこと。

 

作品についての課題: 本来学があるべき中流階級以上の人が軽薄な情事にうつつをぬかし、靴屋のような無学なはずの人が学があって人生の知恵があるという対比はイギリス文学で良く出てきます。こうした発想について感想を述べ、深く論じられることがあれば論じなさい。

 

課題3(生活)

靴をあつらえるというのは上流階級のすること。ロンドンでボンド・ストリートを散歩したことがありますが、高級車で乗り付けて行き付けの店でもない限り、中へ入ることすら出来ない場所でした。靴と関連する生活英語としては、靴そのものより靴の収納に関することです。次の英語を読んで、それがどのような商品か、また、そのような靴の収納の仕方を日本人もするかどうか論じなさい。

 

 Overdoor Shoe Rack.  Coated wipe clean steel.  Holds up to 10 pairs of shoes.  Gripper hooks are easily attached to top of door.  Size (W) 40, (D) 11, (H) 98cm.

 

また靴についてインターネットで調べ、英米と日本の違いなど、わかることがあれば述べないさい。

 

課題4(作品)靴屋にお駄賃が出たところで靴屋はHandyを一杯飲もうと誘います。Tope もbloody drunkも酒浸りになる意味ですが前者の方が上品な表現です。靴屋が退場したところでBellairという人物が現れます。Old BellairとYoung Bellairという風に二人登場するときは大抵父子です。とすれば子の方でしょう。愛人の許しを得て来たのかとMedleyが言って、結婚や恋愛と信仰とを結び付けたやりとりになります。Bethlem というのはBethlem Hospitalのことで、シェイクスピア時代からある救貧院兼精神病院のような施設です。現在のリヴァプール駅の近くにあったといわれています。服装の趣味のことからSir Fopling Flutterのことが話題になり、いわゆる好き者論になります。DorimantBellinda(ここでその前日、Dorimantと一緒に芝居を見ていた女性の名が明らかになります。この女性にDorimantは乗り換えようとしていたわけです。)の仲をYoung Bellairがたずね、捨てる女だといいながら付き合っているじゃないか、といった話題になります。

 

さて作品についての課題ですが、徹底して服装などにこだわる男性は富山にはあまりいないかもしれません。首都圏や関西にはいます。イギリスでは、この作品のように嘲笑の対象になりながらも存在します。少し上の階級だと、洋服ダンスは女性より男性の方が充実しているともいわれます。フランス、イタリアなどヨーロッパ大陸ではもっと多くの男性にそうした行き方が浸透しています。実在の人物としては、そういうことですが、では、富山など、あまりこうした傾向を持つ実在の人物がいない地域で上演したら、こうした作品は無意味なのでしょうか。もし、意味があるとしたら、それはどんな意味があるでしょうか。

 

課題4(生活)

前問と同じく、服装追求はボンドストリートの世界で、生活英語の範囲をこえていますが、中流以下の暮らしの中にも洋服ダンスが存在しないわけではありません。次はそうした洋服ダンス(Wardrobe)のカタログに出てくる英語です。

 

Blue and pine washed effect.  Wooden feet, drawer and door knobs.  Fully assembled.  Free home delivery.  Wardrobe.  Hanging rail.  Size(W)96.5, (D)58, (H)181cm.

 

どういった洋服ダンスで、どんなサービスが受けられるか説明しなさい。またBlueの洋服ダンスをどう思いますか。(実際カラー写真もあるのですが、緑がかった青い色は私の日本人感覚として異様な感じがします。) インターネットで作品に出てくるような高級紳士服関連のサイトがあるかどうか調べ、あれば特徴などを述べなさい。

 

課題5(作品)

Bellairが退場したあと、彼についてハンサムだとか何だとか、噂話になり、BellairのつきあっているEmiliaについて結婚した方がいいとかといった話になります。つきあっているからといって必ずしも結婚を前提としない感覚は現代と同じです。つきあう男女即結婚といった観念が生じるのは18世紀半ば以降のことです。やがてBellairが戻ってきて父親がやってきて結婚を押しつけようとしているという情報が入ったという話になります。父親はまさにEmiliaが住んでいる家に宿をとり、Emiliaのことは知らないという想定です。Bellairのお目付役の叔母の家で会おうと言っているという話です。

 

さて作品についての課題ですが、親が子に一定の結婚を押しつけようというのはよくあることで、文学の主題になります。その典型がシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』です。この主題の「文学的効果」について論じなさい。(是非論ではなく)

 

課題5(生活)

次はArgosという倉庫式スーパーマーケット(倉庫があって、カタログやインターネット端末で客が商品を選べるロビーがあり、そこで注文して、倉庫から出した商品をカウンターで受け取る方式の店)のカタログに結婚式のサービスがあったので紹介するものです。

 

Wedding List Service

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3 Gifts from your wedding list can be bought from any Argos store where your list will be updated instantly.

4 After your wedding we’ll send you a list of the gifts and who bought them to help you with your Thank You notes.

 

以上の英語を読んで、どんなシステムか想像して説明しなさい。また、こうしたシステムが日本で通用するかどうか論じなさい。

 

課題6(作品)

第二幕に入ります。

Young Bellairの叔母Lady TownleyEmiliaが話している場面からです。Old BellairEmiliaが住んでいる家に宿をとったので、Young Bellairとの仲がばれないか、二人で心配しています。Young BellairがやってきてEmiliaは父親と何を話したか、と二人の仲を心配します。Young Bellairは父親がMrs. Harriet(おそらく亡くなった御主人の遺産を持っている人。お母さんもレイディという称号があるから、かなりの人でしょう。結婚すればお金持ちになれる親子という想定です。)と結婚するか、さもなくば父親自身がMrs.Harrietと結婚して、Young Bellairには相続をさせないといった話をします。 Young Bellairは父親に従うとみせかけて騙すのだといいますが、Emiliaはひどく心配しています。やがてOld Bellairが登場。Emiliaのことを字義通りにはごろつきだの我慢がならないだのといいますが、その実、好感を持って気遣っている様子がうかがわれます。

 

さて作品についての課題ですが、Old Bellairのようなキャラクターをどう思いますか。イギリスにしかいないような老紳士です。英語は難しいけれど、適当に雰囲気だけ感じて読み飛ばしてください。Fourbe’sとはフランス語のfoourbeから来たインチキという意味。Templeは今でもロンドンの中心にある法学院のことです。

 

課題6(生活)

ここでは人の家に泊まるということでベッドを問題にします。作品の登場人物たちは中の上くらいの暮らしぶりのようなので、もっと立派なベッドでしょうが、労働者階級の人々は二段ベッドなども利用します。学生同士で下宿や寮のベッドを借りて泊めてもらったりするときは二段ベッドのお世話になるかもしれません。次は二段ベッドの説明です。どんなベッドで買うときどんなサービスを受けられ、注意点が何かなど、わかりやすく説明しなさい。

 

Play Pine Shorty Bunk. 

Antique effect solid Scandinavian pine with softwood slatted platform.  Sprung mattresses included.  Features blue/pine reversible panels.  Ideal for small bedrooms.  Overall size (W)88, (L)82, (H)148cm.  Top bunk not recommended for children under 6 years old.  Free home delivery.

 

課題7(作品)

Bellair父子が退場した後、Lady TownleyEmiliaがOld Bellairのようなキャラクターをどう思うか話し(まるで課題6のようですが)楽しくて必要な人といいた評価をします。そこへMedleyがやってきてその場の終りまで、王政復古期の享楽的な生活が語られます。Ombregleekもカード・ゲームの名前です。 Gleekergleekをする人、 tourはかつらのようなつけ毛の前髪で、そのカールが出来ないほど疲れたという意味(汗びっしょりで、それが乾いた状態?)。 high trumpはスペードのエースのような切り札。 flutes ducesは高音のフルート French hautboysはフレンチ・オーボエ The Diversions of Brusselsというのは架空の書名です。 the Bear Garden はbear-beitingという鎖でつないだ熊に犬をけしかけるシェイクスピア時代からの遊びです。

 

さて作品についての課題ですが、こうした「遊び」が文学に登場すると、どんな効果がありますか。ここでは登場人物の生活を描くことにもなっていますが、『不思議の国のアリス』ではそれだけではありません。自由に考察してみてください。

 

課題7(生活)

ロンドンの労働者階級の遊びといえば、驚くほど日本のゲームが入っています。ソニーのプレステとか。楽器もヤマハが主流です。変わったもので、ドラムの練習が出来るヤマハのマシンがあります。次にその解説の英語を掲げます。

 

Yamaha DD9 Drum Machine.

4 drum pads.  100 rhythms. 4 sound effect pads. 16 sound effects.  Auto roll. Rotary selector.  9 pre-set kits. 2 drumsticks.  Tutorial CD, which takes you through the basics of playing your pads to laying down solid drum grooves.  Useful techniques and effects are explained and demonstrated step by step.  No previous musical knowledge required.

 

こうした楽器、日本では、少なくとも誰にでも目につくところにあるとは思えません。(みなさんはご存知ですか。)バンドでもやる人だと、もっと本格的になるでしょうし。倉庫式スーパーマーケットのカタログにあるということは、労働者階級の子どもたちはこうした楽器?おもちゃ?で、ビートルズを夢見るのでしょうか。そういう志向にヤマハが目をつけたのかもしれません。こうしたことを参考に、英米と日本のゲーム、楽器の志向について、考えたり、インターネットで調べたりしたことを述べなさい。

 

課題8(作品)

課題7までをやって余力がある人は、ヴァージニア大学プログラムのあらすじをもう一度読んでください。最初よりは人物がよくわかって面白く読めると思います。あらすじから逆に面白そうだと思うシーンをさがして読んでください。どこを読んで、どんなことを考えたか述べてください。

 

課題8(生活)

課題8(作品)で読んだ部分に関連する生活英語について、自分でインターネットなどで調べ、特徴などで気付いたことを述べなさい。