英語のはなし
アメリカ英語では「写真を取る」は'take a picture'ですがイギリス英語ではそうは言いません。必ず'take a photo'といいます。それはなぜでしょう。
写真が発明された時期と、その時の社会の成熟度がこの問題と関わっていると思います。
その他高校までで習うイギリス英語とアメリカ英語の違いは英米社会を考える重要な鍵です。
ただ「違う」というだけでなく、「なぜ違うか」を考えたいものです。とくに17世紀、18世紀がこうしたことを考えるには良い材料を提供してくれます。「英語学」として構えて学習しなくても、演劇の講読で自然にこうしたことへの理解が深まるように授業を工夫します。
'calling at'という表現も上記の一例になると思います。新幹線などで「この列車は東京行きです。途中、京都と名古屋に停まります」の英語アナウンスは色々工夫されていて面白いものです。これを'calling at'を使うと'This is bound for Tokyo, calling at Kyoto and Nagoya.'になります。イギリスのロンドンから郊外に行く列車の掲示やアナウンスにあった表現です。どこか駅馬車風の表現で、しかも、ロンドンのターミナル駅の様子はどこか空港に似ています。つまりイギリスは駅馬車から航空機までの歴史を一国に刻んで、そのどの時期も一応世界の文明国でしたから、古さと新しさが融合した英語になります。その点、アメリカは、駅馬車時代は周縁国でしたし、列車は列車、航空機は航空機という、その都度違う英語表現になるのかもしれないと思います。
こう考えると、車に関する表現と馬車に関する表現が同じものがイギリスでは多いことにも気付きます。例はみなさんで御考えください。あまりに多くてきりがないので。ジェイン・オースティンの初期の小説には若い男女がデートに誘い、車を吹っ飛ばし・・・といったアメリカ現代小説もどきのものがありますが(『ノーサンガー・アビー』)その「車」が馬車であることを忘れてしまいます。車についての趣味、スポーツ・カーやレーシング・カーについての趣味も、馬車や競馬の趣味と共通するところがあります。学生に自由にホームページを造ってもらうと、こうした趣味が混然と出てきます。一見英米言語文化と無関係のようで関係はおおありです。その「関係」を自分なりに整理してほしいものですが。それに関連して女子学生のお菓子についての趣味があります。このことについては、現代感覚の項目をクリックしてください。