男性の家事参加

佐藤裕

(富山大学人文学部)

Male Participation in domestic labor

Yutaka Sato

キーワード: 男性の家事参加、性別役割分業意識

1.はじめに

 NHK『国民生活時間調査』1990年によると、共働き家庭の平日の家事時間の平均は、女性が4時間15分に対して、男性はわずか27分である1)。よく言われるように、現代の性別役割分業は「男は仕事、女は家庭」というパターンだけでなく、「男は仕事、女は仕事と家庭」というパターンとしても存在しているのは事実であろう。

 このことは95年SSM調査のデータにおいても明白に現れている。次のページの表2を見ると、共働き家庭の男性のうち約55%はほとんど家事をしていないようである。

 そこで本稿では、特に共働き家庭に絞って、男性が家事参加に影響を与える要因について考察してみたい。

2.分析に用いた変数の特徴

 まず、分析に用いた変数について若干の考察を加えておくことにする。男性の家事参加の度合を測定する変数として、本調査ではB票問22の質問を利用することができる。

 この質問はやや変則的な尋ね方をしている。配偶者が居り、同居している人にのみ尋ねているのであるが、対象者が男性の場合と女性の場合では尋ね方が異なっている。男性に対しては「あなたは、次のような家事をどの程度なさいますか」と、自分自身の家事参加について評価してもらっているのに対して、女性に対しては「あなたの配偶者は…(以下同じ)」と、配偶者(男性)の家事参加を評価してもらっている。

 また、それぞれの項目についての選択肢は、「いつもする」「ときどきする」「ほとんどしない」というやや主観的なスケーリングになっている。

 このため、男性に尋ねた場合と女性に尋ねた場合では評価が違ってしまう可能性がある。これは客観的な測定という観点からはデメリットであるが、逆に男女の評価に違いがあるとすればその違いから何らかの知見が得られるかもしれない。そこで、本稿での分析は男性による自己評価のデータと女性による評価のデータを並行して分析することにする。

 男性の家事参加についての質問には3つの項目があるが、本稿で用いるのはそのうちの2つ、「食事の支度や後かたづけ」と「掃除や洗濯」である。「育児や子育ての協力」は比較可能な対象者が限られてしまうため、それでなくても共稼ぎ夫婦に限っていてケース数が少ない今回の分析では扱うことができなかった。

 2つの質問に対する回答分布は表1の通りである。自己評価と妻の評価はやや異なっており、妻の評価の方が「いつもする」が多くなっているが、「いつもする」と「ときどきする」の合計は自己評価と妻の評価で変らない。

表1 男性の家事参加の趨勢

食事の支度や後かたづけ 掃除や洗濯

自己評価 妻の評価 自己評価 妻の評価

いつもする

 6.5% 14.5%  6.4% 14.4%

ときどきする

34.2% 27.4% 28.9% 22.5%

ほとんどしない

59.4% 58.0% 64.8% 63.1%

 就労パターン別に「いつもする」と「ときどきする」の合計を算出したのが表2である。共稼ぎの場合2)がやはり最も家事をしている比率が高いが、その差はそれほど大きくなく、食事の支度や後かたづけでは5%水準でも有意な差は出なかった。冒頭でも述べたように、共稼ぎ夫婦においても家事をしている男性は半数に満たない。

表2

食事の支度や後かたづけ 掃除や洗濯

就労パターン

自己評価 妻の評価 自己評価 妻の評価

共稼ぎ

46.0% 45.3% 46.0% 44.1%

妻パート

40.4% 46.5% 36.9% 40.7%

妻専業主婦

39.0% 38.8% 32.5% 32.5%

自営

33.0% 35.0% 23.4% 28.6%

n.s. n.s. p<0.01 p<0.05

 妻が専業主婦の世帯や妻がパートの世帯では、男性の家事参加が少なくてもそれはある意味では当然と言えるだろう。しかし、共稼ぎの世帯においても半数近くの男性がほとんど家事をしていないのはどういうわけであろうか。

 そこで、以下共稼ぎの世帯についてより詳しい分析を試みることにする。

3.共稼ぎ世帯における男性の家事参加の規定要因

 男性の家事参加に影響を与えそうな要因は大きく分けて次のようなものが考えられるだろう。

 まず第一は家事にかけることができる時間的余裕と家事の必要性である。男性の時間的余裕はまず仕事について考える必要があるだろう。95年SSM調査では直接労働時間などについてたずねた質問はないが、その他の職業に関する質問項目を用いてその影響を推定して行くことにする。

 家事の必要性としては、妻の職業条件が考えられる。妻の仕事が忙しく、家事を行う余裕があまりなければ夫の家事参加を促進する要因になると考えられる。

 また、夫婦以外に家事を担当できる家族が同居していれば夫の家事参加の度合は少なくなる可能性がある。

 第二に、夫婦の間の勢力ないし権力関係が考えられる。男性が(時間的に余裕があるにもかかわらず)家事を回避できることが既得権として温存されているとするならばそれは権力関係の問題であると言えるだろう。逆に妻が夫に対して家事参加をさせるような力関係が形成されている可能性もある。このような権力関係は直接測定することは不可能である。そこで本稿では職業関係の変数を調べながら権力関係を推定して行きたい。

 第三に、夫婦それぞれの家事参加に関する意識である。「性別役割分業意識」と呼ばれているものがこの中心になるだろう。夫の側の意識のあり方が直接影響を与えているだろうことは想像に難くないが、妻の側の意識も影響を与えているとが予想される。

 以上のことを踏まえた上で分析に用いる変数を選択してみよう。

 まず夫及び妻の収入を用いる。これは時間的余裕/必要性の指標としても、権力/勢力関係の指標としても考えることができる3)

 次に夫及び妻の教育年数を用いる。これは権力/勢力関係の指標として考えることができる。また、性別役割分業意識は本人についてのものしか得られないため、配偶者の意識の間接的な指標としても用いることができるだろう。ただし、分析に用いたサンプルについて教育年数と性別役割分業意識の相関係数を調べてみたところ、女性については−0.18(性別役割規範意識)と−0.23(家事能力の性差認識)でそれぞれ5%水準と1%水準で有意であったが、男性については−0.13(性別役割規範意識)と−0.18で女性に比べて相対的に低く、前者は統計的に有意ではなかった。

 親との同居の有無も分析に用いた。この変数は本人か配偶者の両親のいずれかと同居している場合を1、いずれとも同居していない場合を0としてコーディングした。これは家事の必要性に関っている。

 性別役割分業意識は6つの項目について尋ねているが、ここでは1番目の「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」と3番目の「家事や育児には、男性よりも女性がむいている」の2つを用いた。前者は性別役割分業の規範的な側面を示しており、後者は男女の家事能力についての認知的側面を示していると考えられる。以下それぞれを「性別役割規範意識」、「家事能力の性差認識」と呼ぶことにする。調査票では「そう思う」を1、「そう思わない」を4としているが、性別役割分業意識の「強さ」を反映させるために値を逆転させた。なお、この質問は本人についてのものだけであるので、自己評価と妻の評価では異なった対象を測定していることには注意が必要である。

 最後に夫の年齢も参考のために分析に加えた。

 これらの変数と家事参加の度合との相関係数を示したのが表3である。家事参加も頻度が多い方が数値が大きくなるようにコードしなおしてある。

表3 家事参加との相関係数(1)

食事の支度や後かたづけ 掃除や洗濯

自己評価 妻の評価 自己評価 妻の評価

夫年齢

 −0.18*  −0.24**  −0.21**  −0.32**
夫収入  −0.11  −0.18*  −0.09  −0.17*
妻収入   0.07   0.05   0.23**  −0.06
夫教育年数   0.23**   0.16*   0.19*   0.23**
妻教育年数   0.22**   0.13   0.25**   0.16*
親との同居   0.11   0.13   0.12   0.06
性別役割規範意識  −0.11  −0.04  −0.22**   0.01
家事能力の性差認識  −0.31**  −0.12  −0.39**  −0.08

*は5%水準で有意、**は1%水準で有意であることを示している。

 まず最初に指摘しておきたいのは、自己評価と妻の評価のくい違いである。性別役割分業意識についてはそれぞれ本人の意識であるから違っていても不思議ではないが、収入や学歴でかなり大きな違いが見られることは、家事参加の評価の基準そのものが異なっている可能性を示唆している。最初にも述べたように、男性の家事参加を調べるために用いた質問はやや主観的な評価を許すものであり、以下の分析はこのことを留意して行わなければならない。

 順序は逆であるが、「掃除や洗濯」から見ていこう。まず収入との相関が自己評価と妻の評価で大きく食い違っていることに注目してほしい。自己評価では妻収入との相関が高いが夫収入との相関はほとんどなく、妻の評価では逆に夫収入との相関は認められるが妻収入との相関はほとんどない。これはどういうわけであろうか。

 収入との相関については先に述べたように二通りの説明が考えられる。一つは時間的余裕/家事の必要性である。収入が「忙しさ」をある程度表しているとするなら、夫の収入が高いほど家事参加は困難になり(負の相関)、妻の収入が高いほど家事参加の必要性は高くなる(正の相関)。もう一つは権力/勢力関係による説明である。収入が権力/勢力の背景になるとするなら、夫の収入が高いほど男性は家事参加を回避できる可能性が高くなり(負の相関)、妻の収入が高いほど男性は家事参加せざるを得なくなる(正の相関)。いずれも相関の方向は同じであるが、データが示すようなくい違いを説明できるのはどちらであろうか。

 自己評価と妻の評価の違いは家事参加の要求水準ないしは妥当と考える基準の違いであろうと考えられる。だとするならば時間的余裕/家事の必要性のほうがくい違いをうまく説明できる。すなわち、夫の側から見れば、自分自身の「忙しさ」が妥当な家事参加の基準に影響を与えており、「忙しい中でこれくらいやっていればまあそこそこのものだ」というような認識になるのではないだろうか。そのため、実際には忙しい人ほど家事をしていないのだろうが、自己評価の相関係数には現れてこない。妻の側から見れば、やはり自分自身の「忙しさ」が家事参加の要求水準に影響を与え、「私がこれだけ忙しいのだからたくさんやってもらって当たり前」という認識になるのではないだろうか。そのため、妻が忙しい方が夫がたくさん家事をしていても、妻の評価では相関係数には現れてこないのであろう。

 以上のことから、収入との相関を見る限り、権力/勢力による説明よりも時間的余裕/家事の必要性による説明の方が妥当性が高いと考えられる。

 教育年数との相関を見ても、権力/勢力による説明は妥当ではない。権力/勢力による説明では、夫の教育年数が高いほど夫の権力/勢力が強く、男性は家事参加を回避しやすいはずであるが、実際のデータでは夫教育年数と家事参加との相関は正であり、逆になっている。教育年数との相関は性別役割分業意識を媒介にしたものと考える方が妥当であろう。

 親との同居は自己評価、妻の評価とも有意な相関が得られなかった。共稼ぎ夫婦に限っては親との同居は男性の家事参加にそれほど影響は与えていないと考えられる。

 性別役割分業意識の影響は、自己評価では性別役割規範意識、家事能力の性差認識ともに相関係数が比較的高い。やはり本人の意識のありようは男性の家事参加にかなり影響を与えているようだ。妻の評価ではほとんど相関が認められないが、妻の意識は男性の家事参加に影響を与えていないのだろうか。ここでもまた、家事参加の要求水準が関っているように思われる。すなわち、性別役割分業を否定する傾向のある妻は、男性の家事参加の要求水準も高くなり、そのために、実際にはある程度家事をしていてもそれほど評価していないのではないかと考えられる。自己評価で妻の教育年数との相関は認められるので、妻の意識も男性の家事参加に影響を与えていると考えてよいだろう。

 次に、食事の支度や後かたづけについて見てみよう。掃除や洗濯と似たような傾向であるが、いくつかの点で異なっている。

 掃除や洗濯と異なる第一の点は、自己評価で妻収入との相関が見られないことである。すなわち、妻が「忙し」くても食事の支度や後かたづけに男性が参入する頻度は増加しないということである。妻の評価で夫収入との相関は認められるので、夫の忙しさは影響を与えているようだ。

 もう一つの点は自己評価で性別役割規範意識との相関が認められない点である。家事能力の性差認識との相関は掃除や洗濯と同様に高いが、性別役割規範意識の方だけが低くなっている。

 この違いは、「掃除や洗濯」と「食事の支度や後かたづけ」の「作業」しての性質の違いに起因していると思われる。掃除や洗濯は多少の上手下手はあったとしても通常の家事の範囲で行われる限り、特別な能力は要求されないが、食事の支度は掃除や洗濯と比べると必要とされる能力の水準は高い。すなわち、食事の支度の方が「家事能力」がもたらす影響が大きいのである。

 このことはまず、性別役割分業意識との相関に現れる。規範として「男性も家事をするべき」という意識を持っていたとしても、能力がない(あるいはないと思い込んでいる)場合には食事の支度への参加は行われにくい。性別役割規範意識との相関が低いのはこのためであろう。それに対して自らの家事能力のなさ(あるいは思い込み)を正当化する家事能力の性差認識とは相関が現れている。

 以上のことから、男性の家事参加の規定要因は先に挙げた3つ(時間的余裕/家事の必要性、権力/勢力、意識)の他に、「家事能力」が挙げられることがわかる。

 ただし、「家事能力」の影響については、いくつか留意しなくてはならない点があろう。まず第一には、それぞれの家事の作業内容に大きく依存するという点である。すでに見たように、「掃除や洗濯」では特段「家事能力」について言及しなくてもデータの説明は可能であるが、「食事の支度や後かたづけ」では、「家事能力」が関っていることが推測できる。それでは他の家事はどうだろうか。育児は、住居のメンテナンスは、衣類の管理は、あるいはよりこまごまとした作業を含めた家事全体のマネジメントはどうか。これらそれぞれについて、その作業内容を検討していかねばならないだろう。

 第二に、「能力」という概念は非常に曖昧なものであることに留意しなくてはならない。今回のデータでも、「家事能力」を直接測定しているわけではなく、性別役割分業意識との相関パターンから推論しているにすぎないし、その推論から導かれる「能力」も、本当にある種の技術や知識を保持しているということなのか、それとも「できない」という思い込みがあるということなのかは全く分からない。ある種の心理的な「構え」や極端に言えば「好き嫌い」(食事を作ることが心理的な努力を要する作業なのか、楽しくできる作業なのか)なども関っているように思える。しかし、そのようなものも含んだ、家事活動への心理的あるいは身体化された親和性とでもいうようなものは、家事参加の規定要因として存在し、それは「性別役割分業意識」(特に規範的なそれ)とは一定程度独立した要因として考える必要があることを、今回の分析は示唆している。

4.妻の職業条件と男性の家事参加

 ここまでの分析では、男性の家事参加に影響を与える職業条件としては、収入だけを取り上げてきたが、さらにいくつかの職業条件について家事参加との相関を調べてみた。その結果を表4に示す4)。「夫/妻公務員」は官公庁に勤務している場合を1、そうでない場合を0としてコーディングし、「夫/妻専門職」も同様にコーディングした。

表4 家事参加との相関係数(2)

食事の支度や後かたづけ 掃除や洗濯

自己評価 妻の評価 自己評価 妻の評価

夫公務員

  0.08

 −0.02

  0.17*

  0.04

妻公務員

  0.19*

 −0.06

  0.27**

  0.05

夫専門職

  0.16*

  0.00

  0.20*

  0.09

妻専門職

  0.17*

  0.10

  0.25**

  0.10

 一見して分かるように、自己評価に限って全体的に相関係数が高く、特に妻が公務員か専門職である場合には夫は家事参加の頻度が高いと自己評価している。分析対象の女性の場合、公務員や専門職であることと、収入、教育年数との相関が非常に高いため、それらを介しての関連であることも考えられるが、特に掃除や洗濯の場合は、それだけでは説明できない値を示している。

 それでは、妻が公務員や専門職であるというのはどういう意味を持っているのであろうか。可能な説明としては、女性にとって公務員や専門職が職業を継続するために有利な条件だということである。

 妻が公務員や専門職である場合は、すでに長く働き続けていたり、将来も職業を継続する可能性が比較的高いと思われる。そのため、将来出産などを機会に仕事を辞めることが予想されていたり、一度退職して再就職したような場合と比べて夫婦の間での家事分担のあり方が違ってくることは想像に難くない。

 妻の職業継続がなぜ夫の家事参加に影響を与えるのかを理論的に説明することはそれほど簡単ではない。先の分析で一度否定した権力/勢力による説明を復活させる可能性もあるし、それぞれの夫婦での個別的・継続的な分業意識−妻が働いていることの意味を夫婦がどのように解釈しているのか−が形成されているという考え方も可能である。

 いずれにせよ、職業条件と男性の家事参加との関係は、それぞれの時点の職業条件だけに関っているのではなく、一時退職、再就職などの女性の就労パターンも考慮に入れた上でより詳しく分析しなければならないという課題は明確になったと思われる。

5.まとめ

 本稿での分析は、明確な仮説にもとづいて調査票を構成して行った仮説検証型の分析ではなく、限られた質問項目を組み合わせて行った探索的な分析である。利用できる変数も限られていたため、かなり間接的な分析に終ってしまった。

 しかしそれでも、暫定的な結論はいくつか得られたと思う。最後にそれらをもう一度まとめておきたい。

 まず第一に、共稼ぎ夫婦の男性の家事労働頻度の規定要因としては、少なくとも次のようなものをあげることができる。

  1.夫の時間的余裕

  2.妻の労働条件に由来する夫の家事参加の必要性

  3.夫の性別役割分業意識

  4.妻の性別役割分業意識(ただし、直接的には測定できていない)

  5.夫の「家事能力」

  6.妻の就労パターン(就業の継続)

 逆に、規定要因として確認できなかったものとしては、夫婦の権力/勢力関係、親との同居による家事負担の軽減などがある。

 「家事能力」については、必ずしも技術や知識といったものとは限らず、心理的な構えのようなものである可能性もある。これは今後の研究課題だろう。

 妻の就労パターンについても、本稿の分析では可能性を示唆しているにとどまり、妻の職歴データなどを利用した、より詳しい分析が必要であろう。

 第二に、男性の家事参加に対する夫と妻の評価基準には違いがあることが確認できた。それぞれ自らの職業条件に基づいて要求水準や妥当な家事参加の水準を定めているらしいことがデータから読み取れた。

 第三に、家事の種類によって男性の家事参加の規定要因に違いがあることが確認できた。この違いを生み出す要因としては、必要とされる「家事能力」が異なっていることが考えられる。第一の点でも述べたが、「家事能力」については、今後より詳しく調べていく必要があるだろう。

  1. 井上輝子・江原由美子編, 1995, 『女性のデータブック[第2版]』,有斐閣 による。
  2. 「共稼ぎ」は夫婦とも経営者または常時雇用されている従業者、「妻パート」は夫が経営者または常時雇用されている従業者で妻が臨時雇用・パートの夫婦、「妻専業主婦」は夫が経営者または常時雇用されている従業者で妻が無職または内職、「自営」は夫婦とも自営業主または家族従業者とした。
  3. 収入が本当に時間的余裕/必要性の指標として扱うことができるかどうかは、実は微妙な問題である。収入が労働時間と比例していればそのような扱いは妥当であるが、必ずしもそうとは言えないだろう。しかし、残業や家に持ち帰っての仕事、仕事に関する本を自宅で読んだりする時間なども考慮した「実質的な労働時間」(そして、それこそが家事労働の参加に直接影響を与えると考えられるものである)とは、比例とは言わないまでも相当な大きさの相関があるのではないかと私は考えている。
  4. 他に重要な職業条件としては、役職の有無が考えられる。しかし共稼ぎ夫婦の役職の単純集計を取ってみたところ、「社長、重役、役員、理事」の比率が男女とも10〜20%と異常に高かった。おそらくここにはかなり名目的な役職も含まれると考えられ、分析目的にかなった結果が得られないと判断したため使用しなかった。

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