第9回 差別と文化
1.文化的埋め込みの理論
1)偏見理論(差別意識論)との対比
- 偏見理論
- 一部の人の意識や態度
- 被差別者についてのマイナスイメージ
- 文化的埋め込み
- 社会全体の主要な価値観や認識枠組
- 被差別者についてのイメージではない
2)能力主義と障害者差別
「能力観」の問題
- 個人主義的能力観
- 「能力」は個人に帰属する
→「成果」も個人に帰属する
- 「自立」という価値観−「自分のことは自分でする」
→障害者の「自立」運動のジレンマ(cf.自己決定権、自己定義権)
- 一元的能力観
- 評価される能力と評価されない能力
- 多様な「能力」ではなく、一元的に序列化できる「能力」
- 生産に結び付く能力、収入に結び付く能力
「不幸」な存在としての障害者
責任能力
- 責任を免除される存在としての障害者と子ども
→責任能力を強制される健全者(大人)
- 経済的・精神的自立、法の遵守
「狂気」と正常
- 合理的判断力を持った個人という前提
→不条理(狂気)の排除
3)性別役割分業と性差別
「男性性」のイメージと価値
- 力、強さ、征服、主体性、責任などの価値を「男性性」と結び付ける
→女性の価値剥奪と男性へのこれらの価値の押しつけ
- 保護される(客体としての)女性と保護する(主体としての)男性
4)科学と思想のセクシズム・エスノセントリズム
- 人間=男性という偏向
- 女性の業績の過小評価 →女性史
- 宗教の中の女性差別
- 先進国−後進国、「未開民属」などの言葉 →西洋文明中心の考え方
2.文化的再生産
- 文化的資本(教養、趣味、言語、日常的な振る舞いなど)を媒介にして社会的地位が再生産される。
- 教育は文化的格差を縮小させるのではなく、むしろ拡大させる。
→教育のあり方の問題
→文化的資本を媒介にした排除の問題
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