コンピュータコーディングとは?


コンピュータを使わないコーディング

 コンピュータを使わずに自由回答のコーディングを行うには、分析者が一つ一つの回答を見てそれにあてはまるコードを記述していくことになります。その際問題になるのはコーディングの基準です。
 単語で答えるような質問の場合はそれほど問題にはなりませんが、文章で答えるような場合だと、どのような回答であればどのようにコードするのかをあらかじめ厳密に決めておくのは困難です。通常はコード作業をしながら曖昧なケースについてそのつど考えていくことになるでしょう。しかし、そのつど考えた新しい基準をすべて記録しておくことは困難であり、実際には「このような回答はどう判断したんだっけ?」と前にコードした文章を見なおすこともあります。これが面倒になってくるとあやふやな記憶に頼って判断してしまうというようなこともあると思います。複数の人が分担してコーディングをするとなるとコーディングの基準はさらに問題になります。

 また手作業によるコーディングを用いた分析を見る方にしてみても、どのような回答をどのように読み取ったのかが明らかにされていないと、分析結果の判断がしにくいことがあります。
 また、手作業によるコーディングは労力も膨大になります。個々の回答を見ながらコードを割り当て、もう一度(あるいは2度、3度)全体をチェックして、それから割り当てたコードをコンピュータに入力し、さらに入力されたデータをチェックする。きちんとやろうとするとこれぐらいの作業は必要でしょう。

コンピュータコーディングのメリット

 コンピュータによるコーディングの一番のメリットはコーディングの基準を明確にできるということです。融通の効かないコンピュータにコーディングをさせるわけですから、その基準は明確でなければなりません。AUTOCODEの場合はコード名と抽出文字列を結び付けるコーディングルールを作成し、それによってコンピュータに指示を与えます。
 コーディングルールの作成は、複数の分析者がデータを共有する場合や、第三者にコーディングの基準を示す場合にも役に立ちます。これによって、コーディングの信頼性を判断してもらうことが可能です。

 いったんコーディングルールを作成してしまえば、あとはコンピュータがデータセットまで作ってくれますので余計な入力作業は必要がないし、その際に発生するかもしれない転記ミスなども防止できます。コーディングのチェックも容易ですし、コーディング基準の修正も比較的簡単にできます。

コンピュータコーディング(AUTOCODE)の限界

 しかし、コンピュータによるコーディングも万能ではありません。
 まず、コーディングルールの作成はかなり大変な作業になります。手作業でのコーディングでは頭の中にあっただけのルールをいちいち記述して作業だと考えてよいでしょう。

 作業の量は回答文の種類や分析目的によってかなり変わりますが、場合によってはコーディングルールが回答文の半分くらいの分量になってしまうこともあり得ます。
 そこで、AUTOCODEのWindows版ではコーディングルールの作成を支援する機能を重視しています。それでもまだ大変な作業であることには変わりありませんが、従来に比べて大幅にルール作成にかかる労力を減らすことができるようになったと思います。
 また、AUTOCODEでは文字列の検索によってコードを割り当てていますが、そのことによる限界もあります。つまり回答文全体の文脈を判断してコードを割り当てているのではないということです。ただし、抽出文字列の長さには制限がありませんので、長い文字列を抽出することによってある程度は対応することができます(コーディングルールは見にくくなりますが)。

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