まとめ

 今回の調査で事前に仮説として挙げていた

 企業は昨今社会問題としてとりざされてきた環境問題というものを、環境に配慮しようと考えを主におき、ISO14001の承認を選択したのではなく、ISOの取得がこれからの国際的な市場の中では、取引の条件として挙げられるようになり、一種の戦略的な価値としてその認証を必要としたのではないか?   

 企業というものが、時間と労力、新たな設備投資をしてまでISO14001の取得を必要としているのは結局は今後の企業活動として利益を生むと考えたものであり、環境に配慮した考えというものだけで取得したものではない

というものであるが、今回の調査においては肯定されたのではないかと考えている。早く認証を得た企業は、その事での企業イメージの向上に期待し、そうでない企業は認証を得ていない事でのデメッリトを考えている。教育に際しては従業員のモラル向上に期待し、コスト面などでのメリットを模索している。市場をうかがっては今後のグリーン購入の浸透に危機感を抱いている。企業はその活動において何らかの自社の利益、作用を期待しているのではないだろうか。確かに誰でもデメリットをこうむるのは嫌であろうし、できればメリットのある方法を模索するであろう。特に根底に利益を考えている企業という存在にとってはしょうがない事ではないだろうか。

 私は調査前の「環境問題は犠牲がなければ解決しない」というような考えは「環境問題は変化を起こさなければ解決しない」というものに変えなければならないと考えた。誰もが自分だけデメリットをこうむるのはご免なのだから、みんな公平にデメリットをこうむらなければならないのである。国際標準化規格はこの様な「現代の環境問題は世界中で公平に役割を分担すべきである」という考えから成り立っているのである。「みんなですれば…」ではないが、世界中でいっせいに動き出し、このデメリットというものをメリットに変えていく様に考えているのではないか。

 このISO14001の取得の波は企業が環境問題によって起こりうるでデメリットをメリットに変えようとする行動のあらわれだと思われる。この行動がきっかけとなり、我々一般の消費者を始め国際標準化の範囲以外の産業など、世界中のあらゆる活動においてもこの波が伝わっていけば環境問題も「変化」をしてよい方向に向かえるのではないかと考えている。その意味でもISOに対し企業がメリットを探求しているという動きは、今後の環境問題を考える上での人間の活動の変化の指針となり得るのではないかと思うのである。