環境ISOとは

 これまでISOについて述べてきたが、今回の調査で対象としているのは 環境ISOいわゆるISO14000s(s:シリーズの略)である。これは環境問題がとりざされてきた現代に、環境に対する工業のあり方について標準化をもたらすものとして注目を得ているものである。

ISO14000シリーズの概要

  1. 環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management Systems)
  2. 環境監査(EA:Environmental Auditing)
  3. 環境ラベル(EL:Eco‐Label)
  4. 環境パフォーマンス評価(EPE:Environmental Performance Evaluation)
  5. ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)

ISO14001の要求事項の概略

1.環境方針(Environmental policy)

*最高経営層は環境方針を定め、以下を確実にする

2.計画(Planning)

環境側面(Environmental aspects)

法規制その他の要求事項(Legal and other requirements)

目的・目標(Objectives and targets)

環境マネジメントプログラム(Environmental management programmes)

3.実施および運用(Implementation and operation)

体制及び責任(Structure and responsibility)

訓練、自覚及び能力(Training,awareness and competence)

コミュニケーション(Communication)

環境マネジメントシステム文章(Environmental management system documentation)

文書管理(Document control)

運用管理(Operational control)

緊急事態への準備および対応(Emergency preparedness and response)

4.点検及び是正事項(Checking and corrective action)

監視および測定(Monitoring and measurement)

不適合並びに是正と予防処置(Non‐conformance and corrective and  preventive action)

記録(Records)

環境マネジメントシステムの監査(Environmental management system audit)

経営層による見直し(Management review)

 ISO14001では、いままでの標準化規格とは違い、具体的な目標数値を示してはいない。これはこの規格が、企業に環境に配慮した活動の持続と、その恒久的な発展を約束できるシステムの構築を求めているものであり、逆に言えば、これで良いという目安はない。企業が活動を続ける限り環境に関する活動については実行し続けなければならないという事である。

 またその活動とシステムの働きなどは内部で定期的に監査し、改善,対処していかなければならない。そしてそれは第三者の監査機関によって監査され、場合によってはISO14001の認証を取り消される事態もある。企業はこのISO14001の認証を得続ける為の努力は絶やせないのである。この環境に対する活動が公開され、その情報の管理についても厳しく定められている事もこの規格の特徴とも言える。それは企業がどのような環境活動を行うのか(環境目標)を明確にし、その情報は結果や改正部分についても正確に認識し、記録に残す事を指す。環境問題というものを公平に企業に責任を振り分け、その活動の透明性を確かなものにするという所が重視されているのである。