用語集
EMAS
EU理事会規則「環境管理・監査スキーム」1993年6月公布、1995年4月実施。EU規則であり、EU加盟国に直接適用される。しかし、この規則は参加は任意であり、強制力はない。枠組みは@環境マネジメントシステムを構築、A環境改善を進め、実績を出す、B内部環境監査を実施、Cこの結果を環境声明書に記述し、外部の公認環境検証、D環境声明書を外部に公表する。これは法律であり、継続的な環境実績の向上を求めている。
ISO
国際標準化機構1947年設立されたスイスにある民間法人である。電気関係を除くあらゆる分野の規格を制定する代表的な国際標準機関である(電気・電子分野はIECがある)。18ヶ国が理事国で128ヶ国が参加している(1998年1月末現在)。日本からは通産省工業技術院に設置されている日本工業標準調査会JISC)が加盟している。 日本は米、英、仏、触、露とならんで永久理事国。
ISO
規格の制定CD(分科会の原案)がPメンバーにより承認されるとDISとして中央事務局に登録され、TCによる投票および意見と会員団体による投票および意見を求める。承認されるにはTCでノンバーの過半数を得た後、全Pメンバーの投票で2/3以上の賛成と1/4以下の反対を要する。さらにFDISとして2か月投票が行われ、その後理事会が受理し正式の国際標準規格が発行される。改定は5年ごと。1980年発効の「GATTスタンダードコード」により、ISO規格は同種の規格が国内に必要な場合は、そのまま翻訳されJIS化される。
ISO14001
環境マネジメントシステムの仕様と参考のための附属書からなり、本文は外部へ規格への適合性を表明するための要求事項に関するスペックであり、構築された環境マネジメントシステムが審査認証の対象となる。
1996年9月発行ISO14004
環境マネジメントシステムの一般原則とその適用についてのガイドラインについて記述したもので、環境マネジノントシステム全体を概説している。これはガイドラインであり、第三者機関の審査認証の対象ではない。
1996年9月発行。ISO14010
環境監査の実施に関する一般原則を述べている。環境監査とは何かを知るためには一読しておくとよい。
ISO14011
環境マネジメントシステムの監査実施のための手順について述べたもので、監査の目的、監査員の役割・責任・活動、監査の手順、監査報告書などが含まれている。これもガイドラインであり、審査認証の対象にはならない。
1996年10月発行ISO14012
環境監査員のための資格認定基準について述べており、環境に関する実務経験の最低年数(一定要件下でも2年)と環境マネジメントシステム規格、監査手法、環境関連法規、環境科学・技術、環境施設の技術と環境影響などに関する知識を求めている。内部環境監査員もこれに準ずるとしている。
1996年10月発行ISO16000
まだ、存在しない。労働安全衛生に関する
ISO規格ができた場合の番号といわれている。1996年9月OHS(労働安全衛生)に関する国際ワークショップを開催し、ISO規格化の必要性などを議論した。当面、国際標準化は見送りになったが、いずれ規格化されるとみて準備を始めている国もある。ISO16000のべ一スには、BS8800がなるとみられる。JAB
(財)日本適合性認定協会わが国唯一の認定機関として、1993年11月に関係団体による基本財産拠出の協力を得て財団法人として設立され、1993年12月より運営を開始している。1996年6月に環境その他の分野に対応するため名称変更を行った。それとともに、ISO14001に関連する審査登録機関、公式研修機関、環境審査員などの認定基準等を発表した。
JACO
鞄本環境認証機構日本で初めて、環境に関する認証機関として1994年11月、電機・電子関連の2団体と10社の出資で設立された審査登録機関。
OECD
環境政策委員会OECDは経済政策を審議する先進29カ国からなる国際機関である。1970年「環境委員会」設立、1992年「環境政策委員会」と改称。ここでは、経済と環境政策の統合、環境保全の成果の審査、環境汚染防止管理、化学物質の安全性試験方法などの検討および政策提言などを行っている。
Pメンバー
積極的参加メンバー。ISOのTCでの議決権、会議出席義務、意見を提出する義務があるメンバーで、TC207では1997年4月現在52カ国、0(オブサーバー)メンバーは18カ国。なお、0メンバーは意見を提出できるが、議決権はない。
WT
0/TBT協定 世界貿易機関/貿易の技術的障害に関する協定規格の国際整合性と適合性評価手続きについて国際的指針に基づくことを求めている。@国際規格が存在するときはこれを基礎とするA適合性評価手続きを受け入れるには、資格認定等によりISOにより発表される関連指針または勧告を遵守する B適合性評価手続きは国際貿易に対する不必要な障害をもたらすことを目的として適用しない
アジェンダ21
地球サミットでの「環境と開発に関するリオ宣言」を受けて、
21世紀に向けて持続可能な開発を実現するために実施すべき具体的行動を定めたものとして同じく地球サミットで採択された。@社会的経済的要素、A開発のための資源の保全と管理、B主要な社会構成員の役割の強化、C実施手段の4部からなっている。国別の行動計画を策定することになっており日本は「アジェンダ21行動計画」を1993年12月策定した。環境影響
有害、有益のいずれをも含み、事業活動、製品、サービスに関連する環境側面が与える影響をいう。換言すれば、環境に何か変化がある場合は環境影響があるという。環境目的を設定するとき環境影響を考慮するということは、環境影響評価をした結果を基にすることになる。
環境影響評価
事業活動、製品、サービスに聞違する環境側面を調査し、決められた手順と判断基準をもとに環境への影響の著しさを評価する。その際、内外からの情報、科学的知見および環境関連法規制などを考慮する。
環境管理規格審議委員会
1993年6月C鞄本規格協会内に設置された委員会で、ISO14000シリーズを審議する。1997年のGATT東京ラウンドで調印された「技術的貿易障害に関する特 別協定」(TBT協定)により、ISO規格が存在するときは、これに整合性をとることが決められており、ISO14001が発行されたので、そのまま翻訳されJIS化された。
環境管理マニュアル
一般に「環境管理マニュアル」は審査登録機関が書類審査の対象とするものである。規格の上では簡単なものでよいことになっているが、社内の実務および教育用にも使用することを考えると、方針、糸且織、責任・権限、目的、文書体系などは具体的に記述しておくとわかりやすいものとなる。
環境審査員登録機関
審査員候補者が
JABの審査員認定基準に適合するかを評価し、登録をする機関。環境審査員になるには、環境審査員研修コースを修了することと、学歴による環境の業務経験年数が必要である。月Y業環境管理協会の中に設けられた「環境マネジメントシステム審査員評価登録センター(CEAR)」がこれにあたる。環境声明書
EU理事会規則「
EMAS」で規定されている情報公開の手法。声明書には、@事業所の有意な環境問題の評価、Aエネルギー・原料の使用量、廃棄物の発生量、汚染物質の排出量等のデータ、B環境マネジメントシステムの説明、C環境監査の結果などを盛り込む。環境側面
事業活動、製品、サービスのうち、環境と影響しあう可能性のある要素をいう。 環境負荷と環境負荷の発生源、装置、施設などを含んだもの。
環境に関するボランタリープラン
1992年10月、通産省は産業界の約400社に対して1993年3月までに「環境に関するボランタリープラン」を策定するよう要請した。これは環境に対する負荷を軽減し、地球環境を保全するために企業等の自主的な取組みを網羅したもので、基本方針、社内体制の整備、事業活動の各段階における環境配慮、広報・啓蒙・社会活動、海外における事業活動などが含まれるとして、モデルのガイドラインが示された。1995年11月、ボランクリープランのフォローアップの要請が出された。
環境にやさしい企業行動指針
1993年2月環境庁から委託された「環境にやさしい企業行動調査検討会」が発表したもの。環境方針、目標・目的の設定、行動計画の実施体制、内外の関係者による協調、記録の保持、環境マネジメントシステムの点検、情報の公開からなっている。
環境パフォーマンス評価
EPEマネジメント分野、実務運用分野(工程・設備)、環境分野(局地、地域、世界規模の影響)に分類して評価する。組織が設定した基準に対して、その達成度を
MPI、OPI、ECLの指数に表わし、測定、分析、評価、報告するプロセス。規格はISO14031。環境負荷 .
日本の環境基本法第4条に「社会経済活動その他の活動による環境への負荷を できる限り低減する…環境への負荷の少ない健全な経済の発展を……」とある。環境負荷という言葉は環境に関するキーワードの一つである。ある活動に必要なもの(エネルギー、原材科、部品など)、活動に伴って発生する歓迎されざるもの(廃棄物、排水、排ガス、騒音など)および有用なアウトプット (製品、サービス)など全てが環境負荷である。
環境マネジメントシステム
EMS環境管理を実行し、維持していくための糸且織の構造、責任・権限の体系、運用、手続きを定めた規定・標準類、プロセス、経営資源をいう。別の表現をすれば、環境に関するいくつかの主要業務を処理するための関連手続きのネットワークである。規格として
ISO14001が1996年に正式に発行。環境ラベル
ELタイプIは日本のエコラベル、ドイツのブルーエンジェルのようなもので第 三者が認証する環境ラベルである。タイプUは企業がマーケティングで利用する環境主張で、シンポル、製品、技術資科、宣伝広告などに利用される。タイプVはインデックスを用いたラベルである。
監査と審査
JABの定義により日本で使い分けている。審査登録機関による監査を審査といい、それ以外の監査は監査という。
グリーン調達(購入)
環境への負荷が少ない製品、部品、原材料、サービスなどを進んで購入するこ とをグリーン購入(
Green purchasing)と呼ばれ、特に行政や企業が調達する場合にグリーン調達(Green procurement)と呼ばれている。ISO14001の「運用管理」の項に関連して、グリーン調達の輪が広がりつつある。 団体として、国、自治体、民間企業、NGO、学識経験者などが集まり結成した「グリーン購入ネットワーク」[事務局:鮒日本環境協会」がある。持続可能な発展
「環境と開発に関する世界委員会」(別名:ブルントラント委員会)(
WCED)の報告書(Our Common Future)の中心的な考え方 として取り上げられ、今や環境に関する価値観のキーワードとなっている。この意味は「将来の世代の二一ズを満たす能力を損なうことなく現代の世代の二ーズを満たすこと」としている。この概念は国際社会に定着してきており、環境に関する価値観の基本となっている。地球サミットでもリオ宣言に反映されており、また、日本の環境基本法の理念にもなっている。地球環境問題
1960−1970年代の地域的、局所的な環境問題から、1980年代後半からは地球環境が問題になっている。地球環境問題とは資源の使用によって生ずる環境負荷の影響が、国境を越えて及ぶことにともなう諸問題をいう。オゾン層破壊、地球温暖化、酸性雨、熱帯雨林の減少など。
地球サミット(環境と開発に関する国連会議)
UNCED国連人間環境会議20周年としてブラジルのリオデジャネイロで
1992年6月、200ヶ国の政府首脳と2万人近いNGOが参加して開催された。ここで、気候変動に関する枠組み条約、生物学的多様性保全条約、森林原則声明の採択A「環境と開発に関するリオ宣言」の採択B21世紀に向けた行動計画「アジェンダ21」の採択があった。内部環境監査
環境マネジメントシステムの一要素で、組織が自主的に実施する監査である。種類としては、@環境マネジメントシステムの監査、A遵法監査、B自主的目標、計画への監査がある。審査登録機関は内部環境監査の信頼性に注目している。内部環境監査員は被監査部署からの独立性が求められる。
日本環境協会
1977年に設立された財団法人。エコマークの事務局としてエコマーク商品を認定している。その他環境資料の作成頒布、シンポジュウム開催、国際協力などを行っている。「図でみる環境白書」を発行、分厚い白書を読みやすくしテキスト等として好評。
日本規格協会
JSA1945年12月に設立された財団法人で、工業標準化および品質管理の普及、促進をはかる代表的機関。JISおよび関連出版物の発行、講演会、国際標準化事業などを行う。ISO/TC207に対応するための「環境管理規格審議委員会」の事務局をつとめている。
日本工業標準調査会
JISC工業標準化法に基づいて通産省工業技術院に設置されている機関。
JISは JISCで審議され、日本規格協会より発行される。ISOへの日本の代表。人間環境宣言
「国連人間環境会議」が
1972年6月5日、スウェーデンのストックホルムで開催された。国連として環境間題全般について取り組んだ最初の会議であった。会議には114カ国と国際機関から首脳や環境担当閣僚らを含む約1、300人が参加した。ここで、人間環境の保全と向上が人類共通の原則であることをうたった「人間環境宣言」と「行動計画」が採択された。この宣言の中で後に有名になった(Only One Earth)という言葉が使われている。国連は6月5日を「世界環境デー」と定めた。認証機関と審査登録機関
JABはCertification/Registration Bodyを審査登録機関と呼称している。各国の都合で認証機関、審査登録機関、認証登録機関とも称している。原文ではCertification/Registration Bodyである。 この認証機関は国にいくつあってもよい。この機関が審査対象先と取り決めた規格の基準に従い、審査先が構築した環境マネジメントシステムがその規格に適合しているかを審査し、適合していれば認証(Certificate)を与える。JACO、JQA、BSI、LRQA、BVQIなど世界には数十前後の機関がある。
認定機関
認定機関は国に原則として一つしかないもので、この認定機関が審査登録機関や研修機関などを基準に従い認定する。日本では
JAB(日本適合性認定協会)がこれに当たり、環境マネジメントシステムに関して、1996年6月に認定のための基準を公表した。存外では英国のUKAS、オランダのRVA、 ドイツのTGA、アメリカのRABなどがある。目的と目標
規格でいう目的とは環境方針と環境影響評価結果、法規制の要求事項、技術上やビジネス上の制約などをもとに策定される中長期の目標をいい、 3〜5年あるいはそれ以上の期間に対する目標であり、数字化できるものは定量化する。目標とは1−2年の短期目標をいう。
ライフサイクルアセスメント
LCA原材科採取から原料製造、部品製造、最終製品生産、流通、販売、使用、廃棄まで製品の全ライフサイクルを通じて、環境への負荷がどの程度あり、最終的にどの製品が環境への影響が最小なのかを見極めようとする手法。
ライフサイクルインベントリー⇒環境影響評価⇒
LCA結果の解釈→製品開発、戦略立案、マーケティングなどに用いる。
ISO14040(原則及び枠組)は1997年6月に発行された。リオ宣言
地球サミットでの宣言。人類共通の未来のために、良好な地球環境を確保することをめざすため環境と開発について、人と国家の行動の基本原則を定めた。前文と
27の原則からなっている。