(注1) ハリー・ベンジャミン(1885〜1986)
アメリカの性科学者。1964年にニューヨークを拠点に「ハリー・ベンジャミン協会」を創設し、実際の臨床にあたる一方でトランスに関する数々の論文を発表した。

(注2) たとえばフィンランドにおいて、同性愛は法の下で禁止されていた。1960年代に学生運動が起こり1971年に違法ではなくなった。また1991年憲法が改正され、いかなる人に対しても差別をしてはいけない条文に加えて、性別や性的指向で人を差別してはいけないという成分が制定された。トランスは性別による差別禁止の条文によって就職などの場で法的に保護されている。フィンランドにおいて、これほどまでに性的マイノリティのための法整備が進んでいる理由は、人口500万人に対し分かっているだけで30万人もの同性愛者が存在することだろう。(参照:松尾)

(注3) 1973年に報告されたキンゼイレポートによると、サンプル3000人の成人の3分の2が同性愛を「非常に猥褻で愚劣」と見なし、3分の1の人が同性愛は刑務所に入れるか、保護観察に付すべきだという認識を持っていることが分かった。

(注4) その他、デボラ・カー主演の映画『お茶と同情』に出てくる「シスターボーイ」という名称を丸山(美輪)明宏に冠したりしていた。シスターボーイも職業的な呼び名である。
「おかま」という呼称はどちらかというと、同性愛者の中でも女役を指して使われているように感じる。だからおかまというと女々しい仕草をしているというステレオタイプがいつの間にか定着しているようだ。反対語としては女性が男性になる時「おなべ」と呼ばれる。

(注5) しかし、TVの事情をこのように語った人物もいる。トランスジェンダーの性科学者でありセクソロジストでもあり、“Transvestia”誌の発行者でもあるバージニア・プリンスは「異性装者は常に、自分が男であることを自覚している」と言っている。つまりペニスを持っていること、ときっぱり言っているのである。つまり男性の性自認をはっきり自覚しているというのである。

(注6) マネー著『性の署名』ではロバータ・カウエル物語をこの例として引用している。

(注7) コンビニエンスストアでは顧客情報収集のためレジ操作の最後に性別、年代で分けられたボタンを押している。店員は客を見た目で判断し例えば「20代女性」というボタンを押す。