はじめに(問題意識)

 

1980年代後半頃からエステティック・サロンや美容整形がより身近なものになり、自然食ブームや様々なダイエット法が登場しては消えていくダイエットブームが起こり、化粧品や痩身・整形といった商品、サービスなどによって身体を人工的に整える時代に突入した。

そして1990年代にはその流れは衰えず、塗るだけで痩せると話題になり記録的ヒットとなったディオールの「スベルト」に代表されるように「身体加工」はより手軽で一般的なものになってきている印象がある。また美容整形に対する抵抗感も次第に薄れ、就職活動で有利になるというような理由から安易に整形をする女性も増えてきている。

このように現代では「美しさ」を求めて身体を加工することはもはや自然なことになっているのではないだろうか。また特に若い女性にとっては「身体加工」は当たり前になってきているのではないだろうか。そしてこのような思想、意識を女性たちが抱くようになった背景には、痩せていること、美しくあることをよしとする社会的規範があり、またそのような規範を作り出すものとしてメディア、とりわけ受け手が女性に限定されている「女性雑誌」の存在が大きいと考えられる。「女性雑誌」を分析することにより女性の「美しさは身体加工によって得られる」という意識がどのように形成されていくか考察していきたい。

 

第1章では「女性雑誌」について述べ、女性雑誌の現在と過去における状況を述べる。

第2章ではメディアが女性に対してどのような女性像を提示しているか、性役割の一つとして考えられる「女性は美しくなければならない」という社会規範はどのように形成されていくのか、そして女性たちがそれらのメディアによってつくり出された女性像をどう受けとめているか既存研究に沿って考察していく。

第3章では分析概要を述べ、第4章、第5章において分析を進めていきたい。

第4章の分析では女性雑誌をページ数といった数量的な側面から分析していき、年齢によって「身体加工」が女性たちにとってどのような存在なのか考察する。

第5章では美容に関する『化粧品』や『痩身・整形』広告におけるキャッチコピーなどの表現(女性雑誌が送るメッセージ)について内容的な側面から分析していき、女性たちが「身体加工」へと走る意識の背景にあるものを探る。

第6章では総括としてまとめを行う。