第3章: 調査についての概略


第一節: 調査の目的

 日本戦後の広告のめざましい発展にともなって、人びとの広告に対する見方や考え方や感じ方は大きく変化したと言われる。また、現代社会において、マスメディアは日常生活の指針となる貴重な情報源の一つであり、日常生活でのコミュニケーションが円滑に行なわれるためには、的確な情報による、相互の正しい認識と理解が必要である。マスメディアの提示する内容は人の国際化に対応し、円滑なコミュニケーションを助長する内容となっているだろうか?そこで、今回、私の調査の目的では『テレビコマーシャルが映し出す「外国人」と日本の国際化』というテーマを取り上げて調査したい。
 M.WEBERのいうごとく「時代における人間性の運命如何」という問題こそが社会学的な発想をささえるものだからである。このような問題関心から、ここでは「広告一般にたいする人びとの態度」、「外国人タレントのテレビ広告にたいする人々の態度」、「日本人の国際化・国際観」という分析対象を取り上げる。
 つぎに、そのような対象を分析する「方法」についてであるが、これまで社会調査における観察の技術には、(a)社会現象がその上に痕を残しているところの諸資料を分析する方法、(b)社会に観察する方法、の2つの種類があるとされている。具体的に言えば、前者には「内容分析の方法」が、後者には「質問紙調査の方法(エクステンシヴ)」と「自由面接調査の方法(インテンシヴ)」がある。
 以上のような「対象」と「方法」を組み合わせて、この研究では、広告にたいする人びとの態度を捉えるために、(1)広告に関する本、評論、雑誌などの内容分析、(2)富山大学に在籍している男女学生全員を対象して、質問紙調査を行なった。

第二節: 調査の方法

 私が調査を実施するにあたって参考にしたのは、真鍋一史さんの『広告の社会学』中の「外国人の登場するテレビ・コマーシャルに関する意識調査」である。真鍋さんのアンケート調査の問題に基づいた一方で、私は広告のイメージとか、国際化に関する問題なども加えていった。
 調査対象としては富山大学に在籍する1年生から4年生、大学院生、研究生の男女学生全員です。
 つぎに、調査方法は二つがあり、一つは講義の時間を約15分ほど割りてもらい、私が配った調査票(質問紙)に被調査者が回答を記入する「自記式」の「集合調査法」をとった。二つ目は、私が校内の学生にくばった調査票に被調査者が回答を記入する「自記式」の「分散調査法」をとった。
 大学生対象の調査は、実施・回収期間は調査期間は1997年10月20日から1997年10月30日までの10日間であった。配票方式の調査で、回収部数は203部、回収率は81.2%。学年の構成は一年生1.5%、二年生68.0%、三年生12.3%、四年生12.3%、研究生・聴講生4.9%、大学生4.4%であった。
 回収した調査票は、人文学部の社会学コースのコンピュータにかけて機械集計を行なった。使用ソフトウェアはSPSS(統計データの集計、整理、解析、グラフなどを行なうためのソフトウェアである)。
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