第6章 調査結果について

 私はこの調査研究の始めに調査の目的及び仮説を述べた。ヒーローに対してのイメージに関しては第5章でまとめたが、その他は果たされたのだろうかについてごく簡単に検討してみたい。
 
 まずは先行研究に書かれているようなマスメディアの作用の害は今回の調査では、問8にある「ヒーローはもてはやし過ぎてはいけない」という意見に対する70%ほどの多数の人が賛成していることである程度は反論できるのではないだろうか。また[ヒーローは必要ない」という意見に関しても、政界ヒーローを待望しているという結果や問8にある「ヒーローが活躍すると人々の励みになる」に約80%「国民的ヒーローが必要だ」に約60%の賛同が得られたことで反論ができるだろう。
 私が仮説で出した3つのヒーローのタイプについては「近いヒーロー」と「遠いヒーロー」はある程度導き出せたと思う。そして政治の問題点が指摘される時代にはやはり、時代に即した政界にヒーローが求められることがわかり、さらに現代の人はスポーツヒーローのような親しみやすいヒーローを求めていることが分かった。そこには確かにヒーローによって時代特有の表現がなされている。
 しかしヒーローのタイプの「共同体ヒーロー」及び第1章第3節で述べたようなヒーロー選択によるヒーロー多様化の仮説に関しては結果として導き出すことはできなかった。仮説をもとにしっかりとした質問紙作りの大切さがわかった気がしている。
 ヒーロー不在論については、決して不在ではないが以前に比べいなくなっていると人々が感じていることは確かなようだ。問3のヒーロー不在の時代だと言う意見に60%を越える人がその通りだと思う方に傾いている。また問8の「豊かな社会ではヒーローは生まれにくい」という意見に賛成の人ほど問3のヒーロー不在に納得している人が増えていることからも言える。
 しかし現代日本は本当に豊かだろうか。
 私は豊かではないという感覚的なもので理由づけをして、であるから今後もヒーローは存在し続けると明言したいと思う。 

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