第三章 質問紙調査概要

第一節 研究方法
 この論文のテーマがヒーローのイメージであるからには、最適の研究方法は質問紙調査だろう。しかも、いままでに出された文献の内容とは異なる結果を求めているのだから、当然自分で新しいデータを得なければならないだろう。
 今回の質問紙調査の対象として富山市選挙人名簿を選択し、選挙区で分けて第一段無作為抽出を行い、さらに抽出された選挙区内で二段階無作為抽出を行い300名を抽出した。なお20代から60代まではそのまま抽出したが70代以上に関しては大正14年9月1日以降出生に限った。
 選挙人名簿から抽出した対象者にあらかじめ「調査協力お願い文」を送付し、特に拒否のなかった方に後日訪問し質問紙を預け、また後日受け取りにいく留め置き調査を行った。実施期間は10月26日から11月10日までの二週間あまりで、社会学調査方法論を受講していた学生に協力してもらった。

第二節 質問紙の説明(添付資料参照)
 質問紙中の各設問にはそれぞれ意味がある。この節ではそれを説明したいと思う。
 まず問1にはヒーローのイメージについてのSD法を20設けた。全質問の中でも最も興味深い設問だと思う。
 この設問には故意に同じ意味合いを持つ対照句を取り入れてあるものもある。それらを挙げると上品下品と粗雑繊細、大胆慎重と派手地味、勝者敗者と光影などだが、離し気味にしたりイメージの左右を逆にしたりすることでヒーローに対する共通のイメージの確立を図った。
 問2ではストレートに自分にとってのヒーローとは何かについて尋ねた。この設問で私が最も期待しているのは年齢による相違だが、選択肢が多いので困らせてしまうこととサンプル数の少ない選択肢が出てしまうことに対する危ぐがある。
 問3ではこの研究のきっかけでもある「ヒーロー不在」についてだ。はたして多くの文献で書かれているように人々はヒーロー不在だと思っているのだろうか。興味深い。
 問4では問3の「ヒーロー不在」論についてあらためて考えてもらうために設けた質問である。設問の中のいくつかの分野をみてヒーローをイメージできるのかそれともイメージできないのかが焦点になる。
 問5では過去にヒーローがいたかどうかを聞き、問4との比較によって現代と過去のヒーローの存在についての人々の考えはどのように変化したかを見ていきたい。
 問6、問7は人々がヒーロー誕生を望む分野及び望むヒーロー観について聞くことによって、現代人が不満や不安感を抱いている分野が明らかにされ、その分野ではどのようなヒーロー像が求められているのかが明らかにされるだろう。ただし今回、単一選択で調査を行なったがあまりに複数の選択があったため便宜的に複数選択の設問として分析を行なった。そのため問6に関する分析については完全とは言いきれない。
 問8はヒーローに関する具体的なイメージを問う14個のSD方が用いられているが私自身は年齢による相違が見られることに期待している。また問1と同じように類似した意味をもつ問が故意に入れられている。結果も類似していることを期待している。
 直接ヒーローに関する質問は以上だが、問23から問30までに性格、生活満足度、生活レベル、社会的地位に関する自己分析、職業、最終学歴、性別、年齢といった質問を設けた。これらには前半のヒーローに関する直接的な質問との強い関連が見られるものもあるだろう。

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