はじめに


 現代社会は音楽で満たされている。
 社会学者である小川博司は、かねてより「音楽化社会」論を唱え、社会現象としての音楽を指摘してきた。そこでこの論文では、現代社会の音楽化を支えている現代の若者と音楽との関わりを考察していくことにする。
 この論文は全体として6つの章から成り立っている。
 まず、第1章「装置による音楽化」では、音楽化社会論の前提となっている装置に焦点を当てる。今日の音楽の遍在化は電気メディアの力によるものなのである。
 そして、第2章「地としての音楽」では、この音の複製装置によって作りだされた「被音楽状況」における、背景としての音楽を取り上げ、それに対する現代の若者の感性に焦点を当てる。
 これに対して、第3章では「図としての音楽」として、現代の若者が意識的に聴いている音楽を取り上げ、そのメディアとしての側面に焦点を当てる。
 この論文を書くにあたって、現代の若者の音楽観や音楽行動を調べるために、大学生を対象とした質問紙調査を実施したが、第4章ではその調査の概要を述べ、また第5章ではその調査結果の分析と考察を行う。そして、第6章で全体のまとめを行う。

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