第4章 調査結果の分析と考察
1 分析結果
[1945〜1954]
- 対象図書
1943 『母の記録』 藤森三代、白戸貴美子 報道出版社
1952 『新しい乳幼児の育てかた』 小林彰 二宮書店
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものうそ 1回 (原因1回、単なる例1回)以上1回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なることもある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
[1955〜1964]
- 対象図書
1957 『これからの育児・これからの家庭』 木田文夫 婦人画報社
1957 『こんな子供はどう育てるか』 平井信義 婦人画報社
1960 『私は赤ちゃん』 松田道雄 岩波新書
1961 『私は二歳』 松田道雄 岩波新書
1962 『パパの育児学』 木田文夫 文芸春秋新社
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 18回 (悪影響13回、参加希望4回、母が利用2回、改善希望1回)
- 子どもの学習 4回 (参加希望4回)
- 子どもの遊び 1回 (参加希望1回)
- 子どもをあやす 1回 (悪影響1回)
- 子どもの怪我、病気、その他病院で診察を受けるもの 3回 (参加希望1回、判断希望2回)
- 家庭環境、地域環境 4回 (調整役希望4回)
- 母親の役割の説明 1回 (家庭に悪影響1回)
- 父親の役割の説明 1回 (参加希望1回)
- 子どもの人見知り 1回 (単なる例1回)以上34回(1場面に2以上の立場がある場合があるため、内訳の回数と異なる場合がある)
- 父親のおかれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 子どもに悪影響を及ぼす者 14回 (しつけ13回、あやす1回)
- 家庭に悪影響を及ぼす者 1回 (母親役割説明1回)
- 育児への参加を希望されている 11回 (しつけ4回、学習4回、遊び1回、病気・怪我1回、父親役割説明1回)
- 家庭、地域の調整役を希望されている 4回 (環境4回)
- 冷静な判断をするものとして希望されている 2回 (病気・怪我2回)
- 生活態度の改善を希望されている 1回 (しつけ1回)
- 母親のしつけに利用されている 2回 (しつけ2回)
- 単なる例として 1回 (人見知り1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
[1965〜1969]
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 13回 (単なる例7回、参加希望2回、母納得手段2回、母利用1回、母のしつけの妨げ1回)
- 子どもの入浴 3回 (参加希望1回、悪影響1回、母納得手段1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 17回 (単なる例6回、原因3回、発見者2回、悪影響2回、母精神的支え2回、自己中心的存在2回)
- 子どもの遊び 5回 (参加希望5回)
- 子どもの昼寝 1回 (母納得手段1回)
- 子どもの食事 4回 (単なる例2回、参加希望1回、悪影響1回)
- 子どものおもちゃ 2回 (参加希望1回、単なる例1回)
- 添い寝 1回 (母納得手段1回、悪影響1回)
- 夜泣き 3回 (母納得手段2回、自己中心的存在1回)
- 夜の授乳 2回 (母納得手段2回)
- 夜更かし 4回 (母納得手段4回、悪影響4回)
- 夜尿 1回 (原因1回)
- 人まね 1回 (単なる例1回)
- 乾布摩擦 1回 (母納得手段1回)
- 双子の育児 1回 (参加希望1回)
- 共働き家庭の育児 2回 (参加希望2回)
- 集団保育 1回 (単なる例1回)
以上62回(1場面に2以上の状況がある場合もあるので、内訳の回数と異なる場合もある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 13回 (遊び5回、しつけ2回、共働き育児2回、双子育児1回、入浴1回、食事1回、おもちゃ1回)
- 母親を納得させる手段として使われている 14回 (夜更かし4回、授乳2回、夜泣き2回、しつけ2回、添い寝1回、昼寝1回、入浴1回、乾布1回)
- 子どもに悪影響を及ぼす者 6回 (病気・怪我2回、入浴1回、添い寝1回、夜更かし1回、食事1回)
- その原因として 4回 (病気・怪我3回、夜尿1回)
- 自己中心的な者として 3回 (病気・怪我2回、夜泣き1回)
- その発見者として 2回 (病気・怪我2回)
- 母親の精神的支えとして希望されている 2回 (病気・怪我2回)
- 母親のしつけに利用されている 1回 (しつけ1回)
- 母親のしつけの妨げになっている 1回 (しつけ1回)
- 単なる例として 18回 (しつけ7回、病気・怪我6回、食事2回、おもちゃ1回、人まね1回、集団保育1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
[1970〜1974]
- 対象図書
1971 『育児百話』 松田道雄 筑間書房
1972 『ミセスの育児書2歳〜6歳』 白井常 文化出版局
1973 『三歳までにこれだけは』 品川孝子 あすなろ書房
1973 『月齢別・赤ちゃんの上手な育てかた』 宮崎叶 講談社
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 11回 (参加希望5回、悪影響3回、単なる例2回、母納得手段1回)
- 子どもの学習 2回 (母利用1回、単なる例1回)
- 子どもの遊び 4回 (参加希望2回、自ら参加1回、自己中心的存在1回、単なる例1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 2回 (原因1回、母納得手段1回)
- 子どもの食事 2回 (悪影響1回、単なる例1回)
- 子どもの精神的発達 2回 (母納得手段1回、自己中心的存在1回、単なる例1回)
- 子どもの寝かしつけ 1回 (参加希望1回)
- 子どもの理想像 1回 (両親納得手段1回、単なる例1回)
- 夜更かし 1回 (参加希望1回)
- よく泣く 1回 (悪影響1回)
- 家庭環境 2回 (原因1回、単なる例1回)
- 親の緊張しすぎ 1回 (原因1回)
- 父子の付き合い方 2回 (参加希望2回)
- 父親の役割の説明 1回 (参加希望1回、母の精神的支え1回、悪影響1回)
- 母親の役割の説明 2回 (一般的父親例1回、父親放棄1回)
- 集団保育 1回 (原因1回)
- 保育園設立 1回 (参加希望1回)
以上37回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なる場合がある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 13回 (しつけ5回、遊び2回、父子付き合い2回、父親役割1回、寝かしつけ1回、夜更かし1回、保育園設立1回)
- 自ら参加している 1回 (遊び1回)
- 子どもに悪影響を及ぼす者 6回 (しつけ3回、父親役割1回、食事1回、泣く1回)
- 両親を納得させる手段として 2回 (精神的発達1回、子の理想1回)
- 母親を納得させる手段として 2回 (しつけ1回、病気・怪我1回)
- 母親の精神的支えとして希望されている 1回 (父親役割1回)
- 母親のしつけに利用されている 1回 (学習1回)
- その原因として 4回 (病気・怪我1回、家庭環境1回、集団保育1回、親の緊張1回)
- 自己中心的な人物として 2回 (遊び1回 精神発達1回)
- 父親の役割を放棄している 1回 (母親役割1回)
- 一般的な父親の例として 1回 (母親役割1回)
- 単なる例として 8回 (しつけ2回、遊び1回、学習1回、食事1回、精神発達1回、家庭環境1回、子の理想1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれ簡略化したもの
[1975〜1979]
- 対象図書
1975 『はじめてのおかあさん入門』 大塚昭二 青春出版社
1975 『育児12ヶ月』 堀誠 日東書院
1977 『はじめての赤ちゃん105の常識』 高橋悦二郎 学習研究社
1978 『はじめての赤ちゃん』 今村栄一 主婦と生活社
1978 『初めての育児12ヶ月』 段塚昭朗 日本文芸社
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どもの入浴 7回 (参加希望6回、両親納得手段1回、一般的父親例1回、単なる例1回)
- 子どものしつけ 2回 (母利用2回、自己中心的存在1回、一般的父親例1回)
- 子どもの食事 2回 (一般的父親例1回、単なる例1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 2回 (原因1回、単なる例1回)
- 子どもの誕生 2回 (一般的父親例1回、単なる例1回)
- 子どもの外見 1回 (単なる例1回)
- 子どもの知恵付き 1回 (単なる例1回)
- 子どもの理髪 1回 (参加希望1回)
- 子どものおもちゃ 2回 (単なる例2回)
- 子どものやきもち 1回 (参加希望1回)
- 子どもの1日 1回 (一般的父親例1回)
- よく泣く 1回 (一般的父親例1回)
- 夜泣き 2回 (悪影響1回、母納得手段1回)
- 夜更かし 2回 (悪影響2回、参加希望1回)
- 人見知り 1回 (一般的父親例1回)
- 父子の付き合い方 1回 (参加希望1回)
- 父親の役割の説明 3回 (参加希望1回、育児分担希望1回、家事分担希望1回、しつけ希望1回、判断希望1回、育児協力者1回、舵取り役1回)
- 夫婦関係 1回 (育児協力者1回)
- 親子関係 1回 (原因1回)
- 育児ノイローゼ 2回 (母の精神的支え1回、原因1回)
- 家庭環境 2回 (調整役1回、母の精神的支え1回)
- 共働き家庭の育児 2回 (参加希望1回、夫として1回)
- 集団保育 1回 (一般的父親例1回)
以上41回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なる場合もある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 12回 (入浴6回、父親役割1回、父子付き合い1回、夜更かし1回、やきもち1回、理髪1回、共働き育児1回)
- 母親の精神的支えとして希望されている 3回 (育児ノイローゼ2回、家庭環境1回)
- 母親の育児協力者として希望されている 2回 (父親役割1回、夫婦関係1回)
- 育児の分担を希望されている 1回 (父親役割1回)
- 家事の分担を希望されている 1回 (父親役割1回)
- しつけを教えるものとして希望されている 1回 (父親役割1回)
- 育児の舵取り役として希望されている 1回 (父親役割1回)
- 冷静な判断者として希望されている 1回 (父親役割1回)
- 家庭の調整役として希望されている 1回 (家庭環境1回)
- 母親のしつけに利用されている 2回 (しつけ2回)
- 母親を納得させるための手段として 1回 (夜泣き1回)
- 両親を納得させるための手段として 1回 (入浴1回)
- 子どもに悪影響を及ぼす者として 3回 (夜更かし2回、夜泣き1回)
- その原因として 3回 (病気・怪我1回、育児ノイローゼ1回、親子関係1回)
- 自己中心的な人物として 1回 (しつけ1回)
- 父親でなく夫として 1回 (共働き育児1回)
- 一般的な父親の例として 8回 (しつけ1回、入浴1回、食事1回、誕生1回、泣く1回、人見知り1回、1日1回、集団保育1回)
- 単なる例として 8回 (おもちゃ2回、入浴1回、食事1回、病気・怪我1回、誕生1回、知恵付き1回、外見1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
[1980〜1984]
- 対象図書
1981 『発育と育て方』 主婦の友社 主婦の友社
1983 『ママ先生の育児百科』 浅見薫子 教育出版センター
1983 『月齢別 心をはぐくむ育児』 馬場一雄 主婦と生活社
1983 『赤ちゃんのいる暮らし』 毛利子来 筑摩書房
1984 『幼い子のいる暮らし』 毛利子来 筑摩書房
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 4回 (悪影響1回、間接的参加1回、母利用1回、単なる例1回)
- 子どもの入浴 3回 (参加希望2回、単なる例1回)
- 子どもの遊び 1回 (参加希望1回)
- 子どもの誕生 1回 (一般的父親例1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 1回 (自己中心的存在1回)
- 子どものおもちゃ 1回 (参加希望1回)
- 子どもと旅行 1回 (一般的父親例1回)
- 子どものやきもち 1回 (参加希望1回)
- 子どもの情緒の発達 2回 (社会人1回、単なる例1回)
- 抱き癖 1回 (自己中心的存在1回)
- 夜泣き 2回 (悪影響1回、自己中心的存在1回)
- (夜の)授乳 2回 (参加希望2回)
- 断乳 1回 (単なる例1回)
- 父親の役割の説明 3回 (参加希望1回、母の精神的支え1回、舵取り役1回、家族安全1回、一般的父親例1回)
- 母親の役割の説明 1回 (単なる例1回)
- 夫婦関係 2回 (育児分担2回、家事分担1回、両親納得手段1回、夫1回)
- 家庭環境 1回 (調整役1回)
- 育児ノイローゼ 2回 (育児分担1回、家事分担1回、原因1回、単なる例1回)
以上30回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なる場合がある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 5回 (入浴1回、遊び1回、おもちゃ1回、やきもち1回、父親役割1回)
- 育児への間接的参加を希望されている 1回 (しつけ1回)
- 育児の分担を希望されている 3回 (夫婦関係2回、育児ノイローゼ1回)
- 家事の分担を希望されている 2回 (夫婦関係1回、育児ノイローゼ1回)
- 母親の精神的な支えとして希望されている 1回 (父親役割1回)
- 育児の舵取り役として希望されている 1回 (父親役割1回)
- 家族の安全を守るよう希望されている 1回 (父親役割1回)
- 母親のしつけに利用されている 1回 (しつけ1回)
- 両親を納得させる手段として 1回 (夫婦関係1回)
- 子どもに悪影響を及ぼす者として 2回 (しつけ1回、夜泣き1回)
- その原因として 1回 (夫婦関係1回)
- 父親ではなく夫として 1回 (夫婦関係1回)
- 社会人として 1回 (情緒発達1回)
- 自己中心的な人物として 1回 (病気・怪我1回)
- 一般的な父親の例として 2回 (父親役割1回、旅行1回)
- 単なる例として 5回 (しつけ1回、断乳1回、情緒発達1回、育児ノイローゼ1回、母親役割1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
[1985〜1989]
- 対象図書
1985 『抱きしめて、語りかけて パパとママの愛情育児』 竹内徹・光山恭子 主婦の友社
1987 『ひとりひとりのお産と育児の本』 毛利子来 平凡社
1988 『0〜3歳〈最新〉安心育児』 池亀卯女
1989 『0歳〜5歳 初めての育児百科』 柴田道子 ナツメ社
1989 『しつけ絵本 初めてのお母さんとお父さんに贈る育児書』 藤谷和子ほか 主婦と生活社
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 4回 (母利用1回、両親納得手段1回、自己中心的存在1回、社会人1回、一般的父親例1回、単なる例1回)
- 子どもの入浴 3回 (参加希望2回、母納得手段1回)
- 子どもの遊び 3回 (参加希望3回、両親納得手段3回、この理解1回)
- 子どもの誕生 3回 (母の精神的支え1回、育児分担1回、家事分担1回、両親納得手段1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 2回 (間接的参加1回、単なる例1回)
- 子どもの食事 2回 (単なる例2回)
- 子どもと旅行 2回 (参加希望1回、一般的父親例1回、単なる例1回)
- 子どもの早起き 1回 (参加希望1回)
- 子どもの散歩 1回 (参加希望1回)
- 子どものおむつ替え 1回 (参加希望1回)
- 子どもをあやす 1回 (参加希望1回、母納得手段1回)
- 子どものやきもち 1回 (参加希望1回、夫1回)
- よく泣く 1回 (母納得手段1回、自己中心的存在1回)
- 人見知り 2回 (原因1回、両親納得手段1回、単なる例1回)
- 夜泣き 3回 (参加希望3回、母納得手段1回、一般的父親例1回)
- 夜更かし 2回 (原因2回、一般的父親例1回)
- (夜の)授乳 4回 (参加希望3回、夫1回)
- 断乳 1回 (参加希望1回)
- 父親の役割の説明 10回 (参加希望5回、母の精神的支え3回、両親納得手段3回、育児協力者2回、母との違い2回、自己中心的存在2回、演じ分け1回、一般的父親例3回)
- 父子の付き合いかた 1回 (参加希望1回、悪影響1回、母利用1回)
- 夫婦関係 1回 (育児分担1回、家事分担1回)
- 親子関係 1回 (一般的父親例1回)
- 親の遊び 1回 (一般的父親例1回)
- 育児ノイローゼ 3回 (母の精神的支え1回、調整役1回、育児分担1回、家事分担1回、夫1回)
以上54回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なる場合がある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 24回 (父親役割5回、授乳3回、遊び3回、夜泣き3回、入浴2回、父子付き合い1回、断乳1回、やきもち1回、おむつ1回、あやす1回、旅行1回、早起き1回、散歩1回)
- 育児への間接的参加を希望されている 1回 (病気・怪我1回)
- 母親の育児協力者として希望されている 2回 (父親役割2回)
- 育児の分担を希望されている 3回 (誕生1回、夫婦関係1回、育児ノイローゼ1回)
- 家事の分担を希望されている 3回 (誕生1回、夫婦関係1回、育児ノイローゼ1回)
- 母親の精神的支えとして希望されている 6回 (父親役割4回、誕生1回、育児ノイローゼ1回)
- 家庭の調整役として希望されている 1回 (育児ノイローゼ1回)
- 母親と内容の違う育児を希望されている 2回 (父親役割2回)
- 父親の演じ分けを希望されている 1回 (父親役割1回)
- 子どもの気持ちを理解するよう希望されている 1回 (遊び1回)
- 1人の社会人として振る舞うよう希望されている 1回 (しつけ1回)
- 両親を納得させる手段として 7回 (遊び3回、父親役割2回、しつけ1回、誕生1回)
- 母親を納得させる手段として 4回 (入浴1回、あやす1回、泣く1回、夜泣き1回)
- 母親のしつけに利用されている 2回 (しつけ1回、父子付き合い1回)
- 子どもに悪影響を及ぼす者として 1回 (父子の付き合い1回)
- 父親でなく夫として 3回 (授乳1回、やきもち1回、育児ノイローゼ1回)
- その原因として 3回 (夜更かし2回、人見知り1回)
- 自己中心的な人物として 4回 (父親役割2回、しつけ1回、泣く1回)
- 一般的な父親の例として 9回 (父親役割3回、しつけ1回、遊び1回、旅行1回、夜泣き1回、夜更かし1回、親子関係1回)
- 単なる例として 6回 (食事2回、しつけ1回、病気・怪我1回、旅行1回、人見知り1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
[1990〜1994]
- 対象図書
1990 『2歳児・自立期の育てかたとしつけ』 佐藤眞子 主婦の友社
1990 『赤ちゃんと楽しく』 高橋悦二郎 朝日新聞社
1992 『育児初めてBOOK』 薗部友良 講談社
1993 『0歳からの育てかた』 岡村桂介 有紀書房
- 父親の登場する場面の分類と出場回数(内訳)
- 子どものしつけ 5回 (一般的父親例2回、参加希望1回、間接的参加1回、単なる例1回)
- 子どもの遊び 7回 (参加希望7回、両親納得手段2回)
- 子どもの入浴 1回 (母納得手段1回)
- 子どもの病気、怪我、その他病院で診察を受けるもの 1回 (原因1回)
- 子どもの誕生 1回 (参加希望1回)
- 子どもと旅行 1回 (単なる例1回)
- 子どもの知能の発達 1回 (参加希望1回、一般的父親例1回)
- 子どものやきもち 1回 (参加希望1回)
- 人見知り 1回 (一般的父親例1回)
- 夜更かし 1回 (原因1回)
- 早寝早起き 1回 (悪影響1回)
- 父親の出勤 1回 (参加希望1回、両親納得手段1回)
- 父子の付き合い方 1回 (参加希望1回、母と違う存在1回、一般的父親例1回)
- 父親の役割の説明 1回 (参加希望1回、母の精神的支え1回、育児協力者1回)
- 夫婦関係 1回 (母の精神的支え1回)
- 共働き家庭の育児 2回 (育児分担1回、家事分担1回、責任者1回、育児休業1回)
以上27回(1場面に2以上の状況がある場合があるので、内訳の回数と異なる場合もある)
- 父親の置かれている状況、立場の分類と出場回数(内訳)
- 育児への参加を希望されている 14回 (遊び7回、しつけ1回、誕生1回、やきもち1回、父親役割1回、父子付き合い1回、知能発達1回、父親出勤1回)
- 育児への間接的参加を希望されている 1回 (しつけ1回)
- 育児の責任者としての自覚を持つよう希望されている 1回 (共働き育児1回)
- 母親の育児協力者として希望されている 1回 (父親役割1回)
- 母親と内容の違う育児を希望されている 1回 (父子付き合い1回)
- 育児の分担を希望されている 1回 (共働き育児1回)
- 家事の分担を希望されている 1回 (共働き育児1回)
- 母親の精神的支えとして希望されている 2回 (父親役割1回、夫婦関係1回)
- 両親を納得させる手段として 3回 (遊び2回、父親役割1回)
- 母親を納得させる手段として 1回 (入浴1回)
- 子どもに悪影響を与えるものとして 1回 (早寝早起き1回)
- その原因として 2回 (病気・怪我1回、夜更かし1回)
- 育児休業制度の例として 1回 (共働き育児1回)
- 一般的な父親の例として 5回 (しつけ2回、人見知り1回、知能発達1回、父子付き合い1回)
- 単なる例として 2回 (しつけ1回、旅行1回)
括弧内の内訳の名称はそれぞれを簡略化したもの
2 調査結果の考察
この結果から、2つの点に注目したい。1つは、「父親」が育児に参加してほしいと希望されている状況である。
ここに、1955年から1994年までの「父親の置かれている状況、立場の分類とその出場回数」から、「育児への参加を希望されている」という項目の内訳を並べる。
- [1955〜1964] しつけ4、学習4、遊び1、病気・怪我1、父親役割1
- [1965〜1969] 遊び5、しつけ2、共働き育児2、おもちゃ1、入浴1、食事1、双子育児1
- [1970〜1974] しつけ5、遊び2、父子2、夜更かし1、寝かしつけ1、父親役割1、保育園設立1
- [1975〜1979] 入浴6、夜更かし1、やきもち1、理髪1、父親役割1、父子1、共働き育児1
- [1980〜1984] 遊び1、おもちゃ1、入浴1、やきもち1、父親役割1
- [1985〜1989] 父親役割5、遊び3、夜泣き3、授乳3、入浴2、断乳1、やきもち1、おむつ1、あやす1、旅行1、早起き1、さんぽ1
- [1990〜1994] 遊び7、しつけ1、誕生1、やきもち1、知能発達1、父親役割1、父子1、出勤1
それぞれの年代で、「父親」が最も多く出場している場面が、その時代に父親の参加を最も強く望んでいる場面といえるのではないか。そのように仮定すると、父親の役割の変化が見えてくる。
1955年から1974年まで上位にあったしつけへの参加希望は、1975年以降参加希望が少なくなっている。これは、父親のしつけ参加は不要であると考えられていた、ということへの根拠にはならない。では、どんな意味があるのだろうか。
1975年から79年までの間で参加希望が最も多かったのが赤ちゃんの入浴の場面である。しかし、1980年以降は参加希望が少なかったり、ない年がある。これは、父親の赤ちゃんの入浴への参加は不要であるといっているのではない。なぜならば、1980年以降の育児書の中で入浴の際に「父親」がでてくるからである。『0〜3歳〈最新〉安心育児』の中での赤ちゃんの入浴の場面では、次のように書かれている。「(赤ちゃんの入浴時間は親の都合のよい時間で。)たとえば、夜の9時になるとお父さんが帰ってくるというのであれば、それを待っていれたほうが、お母さんも楽というぐあいです。」赤ちゃんの入浴を父親が行うのは当然になっていて、お願いをする必要がなくなっているのだ。父親の役割が説明されている場面でも、一般的な父親の例として出てくるのは、入浴をさせている父親で、育児への参加をお願いをするのはそれ以外の場面になっている。『抱きしめて、語りかけて パパとママの愛情育児』のなかで、父親の役割の説明の中で次のように書いてある。「・・・赤ちゃんの沐浴(入浴)はお父さんの役割という家庭が多いようですが、おむつの洗濯をしたというお父さんや、会社の帰りにお惣菜の材料を買って、もっぱら食料係をつとめたというお父さんもいます。・・・」
この事から考えると、子どものしつけでも、同じように、1975年以降は、参加するのが当たり前になったから参加希望が減少したのではないかと考えることができる。そして、しつけへの参加が実現されて、次に母親が協力してほしかった場面が子どもの入浴であると考えられる。
そしてさらに一歩前進したのが、1985年から89年の間に出場している、授乳の参加希望である。それまで赤ちゃんの栄養は母乳が一番良いと考えられていて、したがって、授乳はもちろん母親の、母親にしかできない仕事とされていた。やむなく粉ミルクで育てる場合も母親が行うのが当たり前と考えられていた。それが、この間では、父親にも授乳の参加を希望している。『ひとりひとりのお産と育児の本』では、赤ちゃんの授乳をミルクで行う場合について次のように書かれている。「・・・ミルクで育てる最大のメリットは、男も授乳できるということです。・・・父親は出来るだけ家にいる時間を長くして、授乳すべきです。」また、ただ赤ちゃんにミルクを与えるだけでなく、粉ミルクを作るところから希望されているものもある。他にも、おむつ替えを希望されたり、夜泣きの対応を希望されたり、と以前と比べて参加を希望される育児の範囲が広がっている。
1990年以降では子どもと遊んでほしいという希望が多くなっている。これは、この場面での参加希望は以前からあったが、なぜここでまた希望が多くなったのか。これは、ほとんどの育児書に父親と子どもの遊びの場面が載せられていることが理由の一つだと考えられる。以前は、父親の役割が説明されている中に子どもとの遊びについての記載が入っていることが多かったのが、現在ではコーナーの一つとして取り上げられている。今回調査対象に選んだ育児書のなかでも、1990年以降の4冊のうち3冊が父親との遊びかたをコーナーとして作っている。父親が子どもと遊ぶ時間が増えたからなのか、逆に仕事が忙しくなって、子どもと遊ぶ暇がなくなったからなのか、それとも他の原因があるのかは調査不足で分からないが、ほとんどの育児書が父と子の遊びについて書いている。
次に2つめに注目している点について考えたい。それは、父親への様々な希望の内容である。ここに、父親が育児書の中で「希望」されている状況、立場を「父親が置かれている状況、立場の分類」から抜き出してみる。
- [1955〜1964] 育児参加希望、生活態度改善希望、家庭内調整役希望、冷静な判断希望
- [1965〜1969] 育児参加希望、母の精神的支え希望
- [1970〜1974] 育児参加希望、母の精神的支え希望
- [1975〜1979] 育児参加希望、育児分担希望、育児協力者希望、しつけを教えるもの希望、家事分担希望、育児の舵取り役希望、母の精神的支え希望、冷静な判断希望
- [1980〜1984] 育児参加希望、育児分担希望、育児間接的参加希望、育児の舵取り役希望、家事分担希望、母の精神的支え希望、家族の安全を守る者希望
- [1985〜1989] 育児参加希望、育児分担希望、育児協力者希望、母親と違う育児希望、父の演じ分け希望、子の気持ちの理解希望、社会人希望、家事分担希望、母の精神的支え希望、家庭内調整役希望
- [1990〜1994] 育児参加希望、育児分担希望、育児責任者希望、育児協力者希望、家事分担希望、母の精神的支え希望
以上を見て、すぐ目に付くのが1975年以降、突然に父親への希望の種類が増えていることである。1975年以前までは、希望の種類も少なく、内容も育児に参加してほしい、という希望の他は、子どもとの関わりよりも母親との関わりの場面での希望が中心になっていたが、1975年以降は、子どもとの関わりの場面での希望が増えている。その内容を見ると、以前は、単に育児に参加してほしい、協力してほしい、というものだったのが、以降は、育児の「質」にまで希望が及んでいる。特に1985年から1989年の間には、「母親とは違うのが父親だから、育児もその持ち味を生かして母親との違いを出してほしい」とか、「父親は子どもに社会というものを教える大切な存在だから、父親としてだけでなく一人の社会人として接してほしい」など、父親に対する希望が多種多様なものになっている。
戻る