2章 増え続ける空き家の問題

 

総務省統計局の平成25年住宅・土地統計調査の速報集計結果によると、全国の空き家数は820万戸と過去最高となった。全国の住宅の13.5%を空き家が占めていることになる。空き家の数は、調査の度に増加し、平成5年に448万戸だったところ、平成25年では820万戸と、この20年間で1.8倍にまで増加している。空き家率でみると、平成10年に1割を超え11.5%となり、その後も一貫して上昇を続けている状態である(図1)。

 これら空き家の主な原因は、少子高齢化の進展である。高齢者世帯の住宅において、家に介護者がおらず、介護施設に入居、病院に入院するなどして、誰も住まなくなった持ち家が放置される。高齢の世帯主の死去に伴って遺族が相続するも、別のところに新たな住居を持つなどし、相続した住宅が放置される。高齢者世帯が自分の子世帯の新居に移住する。このような高齢化やそれに伴う人口移動によって空き家がうまれる。また、こういった住宅を解体しようにも高額な解体費用の問題、住宅よりも更地のほう固定資産税かかるといった問題なども空き家が放置される原因1である。さらには、現在の建築基準法により建て替えが不可能な空き家が存在することも問題の一つである。

 

1 空き家数及び空き家率の推移―全国(昭和38年〜平成25年)

タイトル: ※の数値は沖縄県を含まない

※印の数値は沖縄県を含まない

資料:総務省統計局「住宅・土地統計調査」

 

空き家の存在は、短期的にみれば防災、防犯、環境衛生上の問題につながる。若者のたむろ場所、ゴミの不法投棄が行われたりしやすく、地域の治安悪化を招きやすくなる。防災の観点からいうと、管理されない空き家が自然災害等で被災する、建物の一部が飛散する等により近隣住民に危害が加わる可能性がある。それだけでなく、避難経路をふさぐというような被害も想定される。長期的にみると、空き家が増加することで地域コミュニティの崩壊や地域の持続性に関する問題が考えられる。空き家が増加し、居住者が減っていくことで、地域全体に対する監視の目が行き届かなくなり地域コミュニティの弱体化が生まれやすくなるのである。