1章 問題関心

 

現在、少子高齢化などの影響によって空き家が全国的に増えつづけている。管理されずに放置されている空き家は、防犯や防災上非常に危険である。実際に2015526日の北日本新聞朝刊7面によると、2013年に魚津市でおこった23棟を焼いた火災において、7棟の空き家が火災の拡大につながる要因となっている。また、傷んだ状態で放置された空き家は、周囲の景観を壊すだけでなく、ゴミの不法投棄や悪臭など衛生面の問題にも繋がる。空き家は、大きな社会問題となっているのだ。

危険な空き家について、市町村が所有者に撤去や修繕を命じることができる空き家対策の特別措置法が施行されるなど、空き家問題に対する関心は高まってきている。空き家問題に対する関心の高まりは行政だけでなく、市民も同様である。全国各地で市民による空き家改修、学生参加の空き家改修が行われてきている。富山県高岡市においても、市民の有志たちが空き家を学生向けのシェアハウスやゲストハウスに改修している。そこでは近辺にある富山大学芸術文化学部の学生も参加している。

では、住人ベースによる空き家活用、学生参加の空き家活用は行政による空き家活用とはどう異なり、そこにはどういった特徴があるのだろうか。本稿では、富山県高岡市で空き家活用を行なっている「高岡まちっこプロジェクト」を対象とし、広島県尾道市の事例と比較したうえで、その特徴を明らかにしていきたい。