第七章 考察

 ここまでの、リーダーシップと追加戦士に関する調査から、戦隊という組織の変化について改めて考えてみる。

 初期の戦隊のリーダーは、絶対的な存在であり、チームの頂点に君臨していた。それ以外の戦士はリーダーに従うため、戦隊はピラミッド型の組織構造であった。そして、追加戦士は初期メンバーとの異質性が高く、和解にも時間を要していた。しかし、現在ではそのような強力なリーダーではなく、チームのまとめ役としての存在となっている。チームはメンバー間の上下関係が緩やかなフラット型の構造をしている。さらに、もともと異質性がさほど高くない追加戦士が登場し、初期メンバーとの和解も比較的スムーズに行われるようになった。

 かつての戦隊で描かれていたものは、ある種男らしさの典型であるといえよう。ピラミッド型に君臨していたリーダーは、他者を従え引っ張っていく強さを顕示している。出始めの頃の追加戦士は、初期メンバーと馴れ合うことはせず、いわば一匹狼のような存在であった。だが、その両者がともに描写されなくなくなっている。これは即ち、そのような男性像が理想の姿として支持されなくなっているということではないだろうか。一人で大勢を引っ張っていく男性は、今でも魅力的ではあるはずだ。しかし、そのようなたくましさや強さは、今の時代の男性に対して求められる要素としての優先度が低くなったのかもしれない。ただし、ヒーローに、男らしさが求められなくなったというわけではないだろう。今の時代に支持される男性の要素が、今回調査した項目や場面以外で描かれているはずである。本稿では、今までの男らしさに代わって何が求められているのかまでは、言及できない。しかし、他者を従える強さや一匹狼のような男性を「かっこいい」とする感性が下火になったことだけは確かである。

 リーダーが一強だった組織の形が、互いに協調しあう形に変化した。このような変化により、少子化の時代を生きる子どもたちに、他者と協力して一つのことに励むことの喜びや達成感をより強く訴えることができていることだろう。そして、そのように時代の変化に対応していくことで、スーパー戦隊シリーズが40年もの間愛されるシリーズとなりえるのだろう。