1章 問題関心

 

近年、大学のサークルや研究室が中心となりまちづくりに取り組む「学生まちづくり」というジャンルが注目を浴びている。大学生がまちづくりのために何らかの共同体に「参加」するとき、そのなかで構築される人間関係や役割の変化は各個人の活動にどのような影響を及ぼすのだろうか。そして、その「参加」にはどのような特徴があり、共同体内でのアイデンティティの成立とどう結びついているのか。本稿では、富山大学の学生で構成されるまちづくりサークル「街なかメイクアップサポーター(以下、街アップ)」を事例に、まちづくりへの「参加」過程とそれを支えるさまざまな条件を関連付けて考察していきたい。