第三章 調査概要
第一節 Uターン就職希望者へのインタビュー調査
実際のUターン就職希望者はどのような就職活動を行い、どのような問題に直面しているのだろうか。Uターン就職の実態を明らかにするため、実際にUターン就職に向けて2016年度に就職活動を行っていた3名の学生を対象にインタビュー調査を行った。また、そのうちのNさん、Mさんの2名にUターンのための就職活動中のスケジュールを提供してもらい、就活にかかった費用や時間を調査した。インタビュイーの基本情報と主な質問項目は以下の通りである。
○Nさん(22歳 女性)
・実施日:2016年7月11日14:30〜
・出身:新潟県下越地方(進学で富山へ)
・家族構成:父、母、祖母、長男、次男
(父、母、祖母は新潟、兄2人は東京就職)
・内定企業:新潟県中越地方
○Mさん(21歳 女性)
・実施日:2016年7月12日17:00〜
・出身:石川県羽咋(進学で富山へ)
・家族構成:父、母、祖母、弟
(父、母、祖母が石川、弟は兵庫進学)
・内定企業:石川県金沢市
○Kさん(21歳 女性)
・実施日:2016年8月12日14:00〜
・出身:富山県富山市(進学で東京へ)
・家族構成:父、母、姉
・内定企業:富山県富山市
<主な質問項目>
・進学の際に地元を離れようと思った理由は何か。(望んだ進学だったのか。)
・進学先での暮らしについてどう思っているか。
・地元のどんなところが好きか。
・なぜUターン就職を考えるようになったのか。
・いつ頃からUターン就職を考えるようになったのか。
・就職について誰かに相談したか。
・どんな業種・職種を希望しているか。
・企業規模の大小にこだわりはあるか。
・企業を選ぶ際にどのようなことを重視しているか。
・就活はどのように進めているか。
(地元一本なのか、地元と進学先の両方で活動しているか)
・Uターンのため就活で今までに何回ほど地元に帰省してきたか。
・一回の帰省でどれくらいの期間地元に滞在しているか。
・Uターンのための就活に具体的にどれくらいの費用をかけてきたか。
・地元の企業の情報はどのようにして入手しているか。
・Uターン就職について困難に感じていることは何か。
・地元行政のUターン就職支援制度を利用したことはあるか。(どんな制度を利用したか)
・地元行政のUターン就職支援に足りないと感じるものはあるか。
第二節 地方行政のUターン就職支援策
先行研究において、Uターン就職が困難となる理由について、進学先・就職先と地元の往復でUターン希望者自身に時間的・距離的・費用的負担が大きくのしかかることや、行政や企業の発信力が弱く、Uターン希望者が地元の情報を受け取りづらくなっていることが挙げられていた。では、これらの問題に対し、地方行政はどのような取り組みを行っているのだろうか。Kさんの地元である富山県、Nさんの地元である新潟県、Mさんの地元である石川県に注目した。富山県については富山県商工労働部労働雇用課雇用対策係主事である工藤さんにインタビュー調査を行い、新潟県、石川県については、各県のHPなどに基づいて調査を行った。インタビューでの主な質問項目は以下のとおりである。
<主な質問項目>
・現在、Uターン就職希望者に対してどのような支援を行っているのか。
・東京での活動が多いようだが、東京以外では何か活動を行っているのか。
・それぞれの取り組みに使用した予算はどれくらいか。
・過去にはどのような取り組みを行っていたのか。(資料はあるか。もらえるか。)
・実際に富山県へUターンをした人はどれくらいいるのか。