1  問題関心

 

 

現在、日本では多くの人々がペットを飼っている。そして近年ペットはただの飼育動物としてではなく、「コンパニオンアニマル」として、飼い主にとって非常に親密な存在となっている傾向が増えてきている。そんなペットの死や行方不明などによるペットの喪失体験により、飼い主に強い悲嘆をもたらすということを「ペットロス」という言葉で表されることがある。元々ペットロスという言葉は1970年代にアメリカで生まれたといわれ、1990年代頃より精神疾患の契機として重要視されるようになり、日本では、2000年代頃から注目を集め始めてきた。しかし、いまだに「たかがペットのことで」という周囲との認識の差によって、傷つくペットロス経験者は多く、ペットロスに対する社会的理解はまだまだ低い。  

そんな中、ペットロスの克服・軽減をめぐって、現在の日本ではどのような営みが行われているのだろうか、また、ペットロスを経験している飼い主にとってペットロスとはどのようなものとして捉え、何を必要としているのだろうか。現代社会におけるペットロスの動向を調査していきたい。