第一章 問題関心

 近年育児に積極的に取り組む男性、いわゆる「イクメン」がしばしばメディアにおいて取り上げられている。2010年のユーキャン新語・流行語大賞で「イクメン」がトップ10にノミネートされるなど、現在イクメンは世間で注目される存在であり、民間団体や行政なども男性の育児参加を促進するために支援活動を積極的に行っている。彼らは父親のために育児・家事の手法をレクチャーする活動や、子どもとの遊び方を親子で学ぶイベントなどを始めとし、多くの面で男性の支援を行っている。このような男性の育児参加を促進するための取り組みの中でも重要とされている活動の1つに「父親サークル」「パパサークル」などと呼ばれる父親同士の交流の場を設ける活動がある。こういったサークルは、次第に注目されているもののいまだに絶対数の少ないイクメンたちが精神的に支え合い、互いの経験談を語り合うことで育児に関する知識や経験を共有する場として、その重要性が語られている。本稿ではこのような父親サークルに焦点を当て、サークルの運営者とその利用者への双方への調査を行う。そこからどのような意図を持って運営が行われているのか、参加者は何を求めてサークルに参加するのかを明らかにした上で、今後の父親サークルの可能性について考察を行う。