1章 問題関心

近年、インターネットを始めとするオンラインサービスが爆発的に発展してきた。その中にSNS (Social Networking Service) とよばれるソーシャルメディアがある。これらはインターネット上で人々がコミュニティを形成し、そのコミュニティ内で様々なコミュニケーションを行なうシステムになっている。ただし、これを行なうためには会員登録が必須であり、会員登録さえすればメッセージ交換やお互いの日記の閲覧、自らイベントやその他の宣伝などが簡単に行なえる。さらにはこのソーシャルネットワーク内で新たな人間関係の構築を行なうことができ、高橋ら(2013)はソーシャルネットワークを「人と人とのコミュニケーションを促進・サポートするサービス」と定義している。

 その中でも主に使われているのが特定の相手と手軽にコミュニケーションを行なうことが出来るアプリケーションの「LINE」や、時系列に会員のちょっとしたつぶやきや日記が投稿される「タイムライン」を閲覧することが出来る「Twitter」や「Facebook」である。ICT総研によるアンケート調査ではこれらのSNSが主な利用を行なうSNSとして上位を占めている。(1)

(1  ICT総研による2014アンケート調査 主なSNSの利用率)

 

 この中でも今回筆者が特に迫って行きたいのがTwitterFacebook、そしてLINEである。最近ではこれら3つを始め、様々なSNSを複数利用するといった利用方法が目立っている。総務省の平成23年度のソーシャルメディアの現在の利用数、利用経験の調査によると全体の42.9%の回答者がソーシャルメディアを利用し、その中でも1つだけ利用している人は17.5%だけであるのに対し、複数利用をしている人は25.4%という結果になった。

 では、このような複数利用は一体どのようにして起こっているのだろうか。本調査ではこれを「SNSの平行利用」と称し、それが起こる過程、原因、そしてその目的を明らかにし、平行利用の実態に迫っていきたい。