第一章 問題関心

近年、「アイドル戦国時代」と呼ばれるほど、たくさんのアイドルが登場し活躍しており、テレビや雑誌などでアイドルを見ない日はほとんどない。CDセールスランキングはアイドルのCDで占められることも多く、テレビCMにもアイドルが数多く出演している。このような現在の状況から、アイドル人気が加速していると言える。そのような今日のアイドル人気は、アイドルを支える「ファン」の存在が作り上げたものであろう。

 では、アイドルの「ファン」はどのような活動やファン同士の関わりを通してアイドルを応援し、熱狂しているのであろうか。ファンの活動やファン文化、ファン同士のコミュニケーションを通して、アイドル現象を調査していきたい。ジャニーズアイドルファンが用いる「担当」と、主に女性アイドルグループファンが用いる「推し」を比較しながら、ジャニーズアイドルファンによる「担当制」、「同担拒否」に焦点を当てて研究を進めていく。

 ジャニーズアイドルファンは、「ファンである」という意味や、「自分の一番好きなアイドル」という意味で「担当」という言葉を使用している。また、「担当」とされる対象である「ファンであるジャニーズアイドル」のことを指す場合もある。「担当」から派生したと考えられる「ジャニオタ用語」のようなものも数多く存在する。それらの用語を用いて、ジャニーズアイドルファンはアイドルを応援している。このように、ファンたちが自分の一番好きなアイドルを「担当」と呼び、他のファンとその「担当」を示しながらアイドルを応援することを「担当制」と呼ぶ。そして、自分の一番好きなアイドルが同じである「同担」を避ける行動をとることを「同担拒否」と呼ぶ。本研究ではこれらの「担当制」、「同担拒否」に注目して調査を進める。