第一章 問題関心

 近年女性の結婚する年齢が上昇する「晩婚化」が叫ばれているが、その影響で女性の子供を出産する年齢が上昇する「晩産化」という言葉も生まれてきている。日本人女性の平均初婚年齢は、2012年で29.2歳となっており、1980年の初婚年齢は25.2歳であったため、ほぼ30年間で初婚年齢が4.0歳上昇していることになる。さらに、出生したときの母親の平均年齢を見ると、2012年の場合、第一子が30.3歳、第二子が32.1歳、第三子が33.3歳となっており、前年に続いて第一子出産年齢が30歳を超えるようになった。

 以上のように実際に晩婚化、晩産化は進行しているが、こうした現状は女性たちがどのような雇用環境に所属し、どのようなキャリアを形成した結果生まれたのであろうか。現在における女性のキャリア形成の仕方を、インタヴュー調査を行って調べることで、晩婚化、晩産化が生じるパターンと要因について明らかにしたい。

また本稿では、結婚後や第一子を出産した後にも着目し、彼女たちが自身のキャリアと子育てネットワークをどのように形成し、それをどのように生かして第二子以降の出産につなげているのかも調査し、晩婚化、晩産化の中で女性たちが仕事と育児を両立させるためにどのような打開策をとるのかについても明らかにしたい。