第一章 問題関心

「コスプレ」という言葉に対し、人々はどのような印象を抱いているのだろう。「アニメや漫画のキャラクターの恰好をすること」の他にも、ハロウィンの仮装やメイド服、ナース服などの職業制服を着用することをイメージする人は多いのではないだろうか。メディアでも耳にすることは多く、「コスプレ」という語は一般に浸透してきた。またコスプレイヤーの人口は年々増加し、宮本真希(2008)によればコスプレイヤー人口は国内だけで約10万人いるとされる。毎週のように各地でコスプレイベントが開催され、多くのコスプレイヤーが参加している。コスプレは年々盛んになりつつあり、多くの人々がコスプレに魅力を感じていることがわかる。

メディアで取り上げられるキャラクターコスプレに、大きなイベント会場やそのステージで、きらびやかな衣装を着て人々に囲まれながら笑顔でポーズをとるコスプレイヤーといったイメージを抱いている人は多いのではないだろうか。しかしコスプレイベントの会場では、そのようなエンターテイメント性の強いコスプレイヤーを目にすることは少ない。世間のイメージするコスプレ像と実際のコスプレ活動の間には大きなずれが存在する。ではコスプレイヤーたちは、コスプレ活動の内でどのような行為をしているのだろうか。コスプレイヤーへのインタビューを通して明らかにしていく。