第六章 動画ジャンル

第一節 分析

 第五章と同じ調査対象者が、どのようなジャンルの動画を投稿しているかを概観したものが表6-1、表6-2である。表6-1からYouTuberの投稿動画は商品紹介、やってみた、ゲーム実況、企業コラボ、料理、英会話など様々なジャンルがあり、多岐に分かれていることが分かる。また、特定のジャンルの動画のみ投稿している者もいたが、大部分の投稿者は複数のジャンルを投稿していた。これに対し、ニコニコ動画の投稿者の投稿ジャンルは、ゲーム実況、歌ってみた、弾いてみたの3つしか見られず、投稿者は基本的に1つのジャンルに絞って投稿していた(表6-2)。

 

6-1 投稿ジャンル(YouTube)

 

6-2 投稿ジャンル(ニコニコ動画)

 

 

第二節 まとめ

 YouTubeの投稿者は活発なチャンネル運営を行っており、様々な役割を一人でこなしていると述べてきたが、それは投稿動画のジャンルにも表れている。YouTuberは様々なジャンルの動画を投稿しているが、毎日チャンネルを更新しなければならないYouTuberにとって、動画の幅を広げることは必要不可欠なのだろう。

 海外ではほとんど見られない商品紹介が、日本のYouTubeでは主要なジャンルとして確立されている。それは商品紹介がYouTuberにとって非常に適しているからであると考えられる。海外に比べ、日本のコンビニやスーパーでは、新商品や期間限定商品が毎週のように店頭に並べられている。日本では商品のサイクルが早いため、紹介する商品に困ることが無い。これはYouTuberにとって非常に都合が良く、また、新商品などは話題性もあるため多くの人が関心を持ち、動画を見てくれる。さらに10分〜20分以上の長い動画になりがちなゲーム実況に比べ、3分〜5分程度の短い時間で手軽に投稿することができるのも大きい。

 前節で、ニコニコ動画ではYouTubeに比べ、ジャンルはほとんど限定され、しかも投稿者は一つのジャンルに絞っていると述べた。このことから、ニコニコ動画の投稿者は活発な動画投稿よりも、より質の高い動画制作を目指しているのではないかと考えられる。

それから、顔出しの点で言えば、ニコニコ動画で主要ジャンルであるゲーム実況や歌ってみたなどの動画は、商品紹介や、やってみたなどの動画に比べ、顔出しの必要性が大きくない。そのためニコニコ動画では顔出しがほとんど行われていないのではないだろうか。